9K720「イスカンデル」(ロシア語:ヂェーヴャチ・カー・スィムソード・ドヴァーッツァチ・イスカンヂェール)はロシア製の短距離・固体燃料推進・移動式・戦域弾道ミサイル複合(TBM、、)である。北大西洋条約機構(NATO)の用いたNATOコードネームでは、“(「石」の意)”と呼ばれた。「イスカンデル」とは古代マケドニアの英雄アレクサンドロス大王の異称である。「イスカンデル」は戦域レベルの紛争用に設計された戦術ミサイルシステムである。ポイントやエリアの標的(移動していても静止していても)に合わせて通常弾頭を使い分けることになっている。例えば敵火力兵器、防空・対ミサイル防衛兵器、司令所や通信ノード、密集地帯の軍隊など特に。そのためこのシステムは敵軍の戦争遂行能力を弱体化させるために、活動中の軍部隊・標的の両方を破壊することができる。このシステムは敵の活動妨害環境の中でも高い確率で任務達成することができ、ミサイルの発射準備中や飛行中でもほとんど故障せず、発射装置がミサイル飛行任務の計算と入力を自動でする。あらゆる種類の輸送手段や耐用年数の長期化、操作の容易さによってシステム搭載車両が移動可能になり、それによって高い戦術レベルの操作能や戦略的機動性がもたらされた。「イスカンデル」はクラスター爆弾弾頭、燃料気化爆弾弾頭、威力増大型弾頭、バンカーバスター用の地中貫通弾頭、対レーダー作戦用の電磁パルス弾頭など、いくつかの異なるタイプの通常弾頭がある。ソ連では、1960年代に大量配備した戦域弾道ミサイル複合9K72「エリブルース」の代替として1980年代初頭よりを配備していたが、これが1987年のINF条約により制限対象となったため、条約に抵触しない別の代替ミサイルが必要となった。1989年にはより射程の短いが実用化されたが、9K714を代替するためには長射程の非核型ミサイルが必要であった。新しい戦域弾道ミサイル複合は9K720と名付けられ、9K79や9K714の開発で知られるコロムナの機械製作設計局(KBM)によって開発が主導された。ミサイル発射装置はヴォルゴグラードの中央設計局「チターン」、自動誘導装置はモスクワの自動化技術・水理学中央科学研究所が受け持った。開発条件としては、特に核弾頭を搭載できないようにすること、その分命中精度を高めること、自動誘導装置を改良することなどが挙げられた。ミサイルの開発はソ連崩壊を経ても継続され、1996年には「イスカンデル」ミサイルの最初の発射がロシアのテレビで放送された。西側では1999年にこのシステムがロシア軍で運用段階に入ったと見ていたが、のちに時期尚早だったことがわかった。2004年9月国防省高官らの会合で当時のプーチン大統領に2005年度の防衛予算の草案を報告、セルゲイ・イワノフ国防相は新しい戦術ミサイルシステム「イスカンデル」の状態テストの完了について発言。2005年にこのシステムの大量生産に入り、年度末ごろにはこの兵器を備えた部隊ができているだろうと話した。2005年3月ロシア防衛産業の情報筋はインテルファクスAVNに既存の「イスカンデルE」戦術ミサイルシステムに基づいた500 - 600kmの範囲への新しいミサイルの開発が可能であると話した。しかしながら、彼はそれには「最大で5、6年かかるかもしれない」と話した。2006年には「イスカンデルM」戦域弾道ミサイル複合の量産が開始された。「イスカンデルM」は「イスカンデル」のロシア連邦軍向けの派生型で、最大500 kmの射程と480 kgの弾頭を持っている。2007年には新しいミサイルシステム(発射装置も)であるR-500「イスカンデルK」巡航ミサイルが試験発射された。2008年11月、ロシアのメドヴェージェフ大統領は大統領就任後初となる年次教書演説で、NATOミサイル防衛システムを中和するために、もし必要なら、ロシアはNATO加盟国であるリトアニアとポーランドの間にある最西端の飛地カリーニングラード州に「イスカンデル」複合を配備するだろうと述べた。「イスカンデル」の使用するミサイルは、前任の9K714の使用する9M714ミサイルよりも優れている。「イスカンデルM」システムは2つの固体推進燃料単段式誘導ミサイル、モデル9M723K1を備えている。各々は全飛行経路中ずっと制御されていて、分離しないタイプの弾頭を備えている。発射台輸送車両に備えられた各々のミサイルは独自に、ものの数秒の間に標的を狙うことができる。「イスカンデル」発射砲座の機動性はミサイル発射を防ぐのを困難にする。ミサイル運搬車輛には、ベラルーシの国営企業ミンスク自動車工場製のMAZ-7930と、ロシア・ブリャンスク自動車工場製のBZ-6909が使用できる。これらの車輛は、従来の9K79や9K714が各車輛ごとに1 発のミサイルしか搭載できなかったのに対し、2 発のミサイルを搭載できるようになっている。「イスカンデル」は精度、射程距離、信頼性(防衛を回避する能力)を獲得し、それは優秀な戦闘機や防空に直面し、空軍の爆撃や巡航ミサイルの発射任務があまり期待できないとき精密爆撃の代替手段をなしている。衛星や航空機だけではなく、従来の諜報センター、または発射を指示する兵士も標的を見つけることができる。コンピュータースキャンされた航空写真から見つけることもできる。標的の移動に合わせて飛行中のミサイルの狙いを修正することもできる。「イスカンデルM」(Eではない)は光学式誘導弾頭で、AWACSやUAVからの暗号化された無線通信によっても制御できる。電子光学誘導システムは自律追尾能を与える。ミサイルに内蔵されたコンピューターは標的の画像を受信し、標的に自動的に照準を合わせ追尾、超音速で標的に向かって降下する。飛行中、ミサイルは弾道ミサイルより低い軌道を取り、飛行最終段階には回避行動を行い、ミサイル防衛システムをかいくぐるため囮を放出する。このミサイルは決して大気圏を離れることはなく、比較的平らな軌道を取る。全ての「イスカンデル」複合を含む このシステムはポイントやエリアに合わせて通常弾頭を使い分けることになっている
出典:wikipedia
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