モバイルWiMAX(モバイル ワイマックス、Mobile Worldwide Interoperability for Microwave Access)とは、移動体通信を想定した無線ネットワーク・システムの規格の1つである。最初の規格は、第3.9世代移動通信システムの一つで、2005年12月に、電気通信に関する国際的な標準化団体であるIEEEで、IEEE 802.16e-2005として規格が定められた。後継規格はWiMAX2とも呼ばれ、第4世代移動通信システムの一つで、2011年3月31日にIEEE 802.16mとして規格が定められた。この規格は、固定式、又はほとんど移動しない用途での無線ネットワーク・システムの規格であるWiMAXが元となって策定されたため、主要な部分が同一である。以下では両規格の差異と、出来る限りモバイルWiMAXの独自の点に関して示すものとする。携帯電話の世代では、HSPAやCDMA2000 1xEV-DOなどは第3.5世代にあたり、モバイルWiMAXとその対抗馬とされるLTEは第3.9世代と呼ばれる。これらは世代数を"Generation"の意味で「3.5G」や「3.9G」と表現する。ほとんどの技術は(固定)WiMAXの規格である"IEEE 802.16-2004"と同様である。以下にそれぞれの主な技術を示す。復信方式には、FDDとTDDの2つの方式があり、モバイルWiMAXではTDDが規定されている。FDD(Frequency Division Duplex、周波数分割複信)は携帯電話でも採用されている、上りと下りで別の周波数を使用する方式であり、有線通信ならば4線式全二重通信にあたる。TDD(Time Division Duplex、時分割複信)では上りと下りを同一の周波数を使用して、ミリ秒単位で上下を切り替える方式であり、有線通信での2線式半二重通信に近いがTDDは両端部で時間軸に対して圧縮と展張を行なうことが前提である点では異なる。上り下りで求められる送信容量が異なる場合、その情報量の比率を変えることが出来る点でFDDよりTDDの方が電波の利用効率は上がる。しかし回路はTDDの方が複雑になってしまう。WiMAXではパケットを平等に扱うのではなく、MACレイヤのパケットを見てアプリケーションに応じて5つの異なるQuality of Service(QoS)を提供する。2006年3月にIEEE 802.16jが発足し、マルチホップリレーに関するタスクグループによって標準化作業が開始された。マルチホップリレーには「透過型中継モード」と「非透過型中継モード」がある。いずれの場合も、本技術が関係するのは、1つの移動局(無線端末)に対して、マルチホップリレー対応基地局とマルチホップリレー中継局という2つの固定無線局である。両モードとも、移動局が基地局より中継局のほうが近い場合に、移動局と基地局間の無線データ通信を中継局が中継する点では変わらない。また、ホッピングはいずれも1回のみである。基地局の通信エリアであるセルを越えて移動局が移動し次の基地局のセルに入っている時に通信を担当する基地局を切り替える仕組みであるハンドオーバーは、IEEE 802.16eでは4つの方式が規定されている。これらは、通信が途中で一度途切れる2種類のハード・ハンドオーバーと通信が途中で途切れない2種類のソフト・ハンドオーバーである。移動局は携帯機器が想定され、内蔵電池の消費を抑える必要から通信に関わる2つの省電力化技術が規定されている。WiMAX規格ではARQと呼ばれる誤り検出訂正技術が必須として規定されていたが、モバイルWiMAX規格では新たにFECを含むHARQが必須とされた。WiMAXでは複数のアンテナを使用して通信速度や通信品質を確保する技術がオプションとして規定されている。WiMAXではもともと通信速度向上のためのMIMOが規定されていたが、モバイルWiMAXから通信品質向上のための技術としてAASとSTCが追加で規定された。モバイルWiMAXの後継規格は"IEEE 802.16m"であり、2011年3月31日に承認された。WiMAX 2(WiMAX Release 2.0)とも呼ばれる。ITUの定める第4世代移動通信システムの一つ。現在と次世代とのモバイルWiMAX規格の比較を以下に示す。IEEE 802.16mでは、マルチホップリレー機能やフェムトセルへの対応や、QoSの具体的な数値化が予定されている。WiMAX 2.0の仕様に加え、TD-LTEとの互換性を持たせた物はWiMAX Release 2.1(WiMAX 2.1)と呼ばれる。このため、TD-LTEの仕様の一部である都合上、W-CDMAサービスやLTEサービスと同様、UIMカードを採用した認証(厳密には、記録された電話番号を利用)を行う形になっている。UQコミュニケーションズでは、従来のUQ WiMAXの後継サービスとして、WiMAX 2.1 Additional Elementsを利用したサービスを、「WiMAX 2+」のブランド名にて導入した。2013年6月24日に総務省に対して「特定基地局開設計画」の申請をUQコミュニケーションズが行い、2013年7月29日に新規割当て20MHz分を正式に取得、既存30MHz分を含め50MHzでの運用(当初は新規割り当て分のみを使用)で、2013年10月31日に下り最大110MbpsでWiMAX 2+サービスとして開始した。また、2015年3月5日より下り最大220Mbps(4×4 MIMOもしくは40MHzキャリアアグリゲーション)に高速化。通信量の制限は下り最大220Mbpsの場合は3日3GBで、これを超えると下り最大700kbpsになる。時速350kmの高速移動中の通信にも対応する。4×2 MIMOからサービスを開始し、4×2 MIMO→4×4 MIMO→8×8 MIMO、キャリアアグリゲーション(20MHz→40MHz→50MHz)、256QAM変調方式などを順次導入していき、2016年以降に下り最大440Mbps、2020年(当初は2017年)には下り最大1Gbps超を目指す予定。UQコミュニケーションズのMVNOとして、KDDI/沖縄セルラー電話が提供するサービスは、「WiMAX 2+オプション」と称する。IEEEでの標準化後、2009年2月現在すでに日本と米国、韓国で商用サービスが始まっている。固定WiMAXは世界で118ヶ国、305のサービスがはじまっており、モバイルWiMAXは始まったばかりでまだ数える程である。UQコミュニケーションズ株式会社は、2009年2月26日から東京23区、横浜市、川崎市で試験サービス「UQWiMAX」を開始した。7月1日より有償サービスが開始された。2009年7月1日にアイ・オー・データ機器からUSBアダプタが発売になった。これにより、UQコミュニケーションズの純正品に加えて2つのモバイルWiMAXアダプタ製品が市販されることとなった。サービスエリアは、最初期のころには基地局開設にあたり機器トラブルが多発し伸び悩んだが、その後はKDDI系の基地局を積極的に利用併設、特に旧ツーカーの基地局跡地を再利用することで基地局設置に関する交渉および契約が不要なこともあり爆発的にエリアを拡大している。2013年10月31日からはWiMAX 2+のサービスを110Mbpsで開始し、2015年2月からはキャリアアグリゲーション技術を利用して最大速度を220Mbpsへと増速、220Mbpsへの増速に必要な帯域を確保するため、増速したエリアでは従来のモバイルWiMAXは40Mbpsから13.3Mbpsへと減速した。2008年9月に、スプリント・ネクステルによって、最初のモバイルWiMAXサービスが、ボルチモア(メリーランド州)にて、サービスインした。スプリント・ネクステルの当初計画では、2008年中に、1億人をカバーする全国展開を予定していたが、大幅な出遅れと、LTE側の進展に鑑み、独自に、固定のWiMAXネットワークを展開していた、クリアワイアと共闘することを選んだ。2008年5月に両社は、クリアワイアとスプリント・ネクステルのXOHMビジネスユニットの合併を発表し、スプリント・ネクステルが、新クリアワイアの54%株主となり、以後のWiMAXネットワークの建設は新クリアワイアが行い、スプリント・ネクステルの消費者向けWiMAXサービスの販売は、引き続きスプリント・ネクステルが行うことになった。しかし、その後も、全国ネットワーク構築の遅れ、端末の品揃えなどの問題により、WiMAXの加入者数は、伸び悩んだ。2011年には、両社共、WiMAXから、LTEへシフトする方針を発表した。その後、2013年7月には、クリアワイアは、スプリントの100%子会社となり、同時に、スプリントは、ソフトバンクに買収された。2015年7月現在でも、スプリントによるWiMAXネットワークはサービスされているが、新規端末販売および既存端末のアクティベーションはすでに行われていない。さらに2015年9月には、2015年11月6日にWiMAXネットワークを停波することを発表した。
出典:wikipedia
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