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全日本吹奏楽コンクール

全日本吹奏楽コンクール(ぜんにほんすいそうがくコンクール、)は社団法人 全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催し、毎年開催するアマチュア吹奏楽団体を対象とした音楽コンクールである。1940年に同新聞社が創設したが太平洋戦争で中断、戦後は1956年に再開された。本大会は、日本の吹奏楽界では最大規模の大会である。全日本吹奏楽コンクールは大きく中学校(以下、中学)、高等学校(以下、高校)、大学、職場・一般の4部門に分かれる。中学、高校、大学、職場の各部門については、参加者の全てが同一の学校・企業・官庁の公認団体の団員であることが求められる。中学、高校の各部門では同一経営の小学校の児童、中学校の生徒(中高一貫校や付属校など)の参加も認められている。近年では、同居している連携型中高一貫教育校の大編成部門(A部門)への参加について議論されたが、「同一経営に準ずるもの」として参加が可能となっている。奏者が複数の団体から出演することはできず、また奏者として職業演奏家(中学や高校の音楽科、音楽大学等の音楽専攻団体、そこに所属する在校生も含む)の参加はできない。指揮者については複数団体の指揮をしてもよく、職業演奏家でも問題はない(ただし、これは全国大会に限ってのことであり、支部あるいは都道府県単位では「その小中学校の常勤職員に限る」と規定しているところもある)。参加を希望する団体はまず該当地域の吹奏楽連盟に加盟登録し、連盟理事会で毎年指定する課題曲(吹奏楽連盟会報「すいそうがく」、連盟公式ホームページ、朝日新聞紙上、吹奏楽関連雑誌で発表)と各団体が選曲する自由曲の2曲を決めて参加申込をする。また2009年度より、「職場の部」と「一般の部」の各々の部門が「職場・一般の部」として一つの部門に統一された。当初2008年度からの統一が予定されていたが、更なる検討が必要として、先延ばしされていた。統一後は、これら2部門の団員参加資格を同一のものとし制限人員を新たに設定、連盟への加盟登録については従来通り「職場」「一般」とそれぞれ分かれた形を維持している。この節の審査方法は全国大会のものである。下位大会については「予選」を参照のこと。9人の審査員が上述の課題曲と自由曲のそれぞれに対し、「技術面」「表現面」に分けてABCDEの5段階で各々評価を行う(つまり審査員は、課題曲の技術面・表現面、自由曲の技術面・表現面の4点についてABCDEの評価をそれぞれ行う)。その後、ABCDEの評価を得点化し、その得点の上位順から●金賞・●銀賞・●銅賞のいずれかの賞が与えられる。ただし、審査の公平性をより高めるため、9人の審査員の審査のうち「最も高い評価をした審査員1人・最も低い評価をした審査員1人」の評価はカットされる(カット対象となる評価が同一の場合は、いずれか1人の評価のみをカット)。よって得点化されるのは9人の審査員の評価のうち、最高点・最低点間の評価を行った7人の審査員の評価となる。この上下カットによる審査方法は第44回(1996年)大会から実施されている。結果発表後、各演奏団体の代表者には各審査員から合計9枚の自団体の審査票が渡される。審査票には表があり、課題曲・自由曲の技術・表現の評価がA〜Eのいずれか1つにそれぞれ○がつけられている。特記事項の欄が表の下に設けられているが、書いてあることはまれである。審査員名も書かれておらず、どの審査員の評価かわかることはない。審査結果の一覧は、2012年度までは、開催日の翌年1月発行の「会報すいそうがく」に公開されていた。それまで出場団体も順位がわかることはなかった。そして2013年度よりこの審査方法は、大きな変更がなされている。課題曲自由曲を通して、ABCの3段階の評価を審査員が付け、Aが過半数なら金賞、Cが過半数なら銅賞、それ以外は銀賞という、非常にざっくりとした方式に変更された。その結果として自由曲偏重の評価傾向が色濃くなり、課題曲の存在意義が問われている。さらに、「会報すいそうがく」での点数の公開が廃止されたことにより、全体の採点結果は限られた中枢人物のみが知ることとなり、更なる審査の不透明さが指摘される事になった。その中枢人物の中に、コンクールに出場する当事者も含まれているなど、昨今の体制に対する不満の声は大きくなっている。現在のように金賞・銀賞・銅賞のグループ表彰になったのは第18回(1970年)大会からで、第17回(1969年)大会以前は1位・2位・3位…の順位制であり、1位の団体には優勝旗が授与されていた。審査の透明性を出すためにも、かつての順位制への復帰を望む声は多い。参加団体はまず、例年7月ないし8月に行われる地区大会・府県大会に参加する(「コンクール予選構成」も参照のこと)。審査の上、府県代表(北海道・東京都は地区代表)が決められ、上位大会である支部大会(北海道支部・東北支部・東関東支部・西関東支部・東京支部・北陸支部・東海支部・関西支部・中国支部・四国支部・九州支部)に出場し、審査の上、支部代表権を獲得すると全国大会へ出場することができる。審査は上述の方法で行われるが、各支部・都道府県の裁量で審査方法、審査員の人数は決められる。なお、支部・都道府県によっては、前年度の大会で上位大会に進んだ団体に対してシード権を付し、上位大会である県大会や支部大会からの参加を認める場合もある。支部や都道府県単位で、小学校部門や小編成部門(B部門)、合同部門(C部門)を行う場合も多い。全国大会への道は開かれていないが、複数の団体の合同バンドを認めたり人数規制を緩和するなど柔軟な対応ができ、人数や予算に制約のある団体を含めほとんどのコンクールに参加意思のある吹奏楽団体が参加できるようになっている。なお、小中高の小編成部門(B部門)参加団体のうち、北海道・東北・東関東・西関東・東京・北陸支部に所属する団体は最上位大会として東日本学校吹奏楽大会があり、支部代表権を獲得すると出場することができる。BC部門を開催する地域ではこれに対して全国大会の予選としての中・大編成部門をA部門(またはAの部)と呼称する。金賞を受賞しても、その中から上位大会に出場できなかった場合の金賞のことは「ダメ金」もしくは「スカ金」と呼ばれている。銀賞は紛らわしいので「シルバー」と呼ぶ事もある。吹奏楽コンクールで全国大会まで開催される部門(大編成部門・A部門)では課題曲の演奏が義務付けられている。近年は朝日作曲賞の入選作品3 - 5曲と、連盟の委嘱による作品1曲前後が課題曲に選ばれている。過去には團伊玖磨、木下牧子、三善晃、間宮芳生、大栗裕、小山清茂、兼田敏、保科洋など、一線級の作曲家による作品が課題曲となったこともある。また近年では邦人による新曲が主であるが、かつてはジョン・フィリップ・スーザ、アルフレッド・リード、ウィリアム・フランシス・マクベスなどの外国人作曲家の作品も課題曲になった。第41回(1993年) - 第55回(2007年)大会の15年間、西暦で奇数年はマーチの楽曲、偶数年はマーチ以外の楽曲が指定されてきたが、第56回(2008年)大会より以下の通り変更が施行される。課題曲の設定については、時代によって変わってきた。中学の部・高校の部の全国大会は、愛知県名古屋市熱田区にある名古屋国際会議場センチュリーホールで行われる(会場の変遷については後述)。かつては、東京都杉並区にある普門館(立正佼成会所有)で行われた。同館が吹奏楽コンクール全国大会で初めて使用されたのは、第20回(1972年)大会である。その後、第25回(1977年)大会から第59回(2011年)大会まで(後述する第53回大会を除く)、同館で開催されていた。さらに、予選を勝ち抜いた学校のみ同館で演奏できたことから、「吹奏楽の甲子園」と呼ばれていた。例年、定員をはるかに超える入場希望者に対応するため、第44回(1996年)大会以降、中学の部・高校の部それぞれ全29団体のプログラムを更に「前半の部」と「後半の部」の2部に分け、完全入替え制で大会を進行していた。ただ、同館を所有する立正佼成会の予定により全国大会の日程が前後することがあり、また、お世辞にも音楽向きの音響を備えたホールとは言えないため、しばしば会場の変更を求める声があったが、キャパシティ、予算、遠方から参加する団体の楽器運搬車やバスの駐車関係で広大な駐車場が必要であるなどの事情から、同館に代わるホールがないということ、また「普門館を目指す=全国大会出場を目指す」という中高生の吹奏楽奏者の意識が大変強かったため、具体的な変更の計画はなかった。しかし、2012年に立正佼成会が専門家に依頼した耐震調査で、「大ホールの天井について十分な耐震性が確保されていない」ことが判明したため、2013年11月13日に、立正佼成会が普門館ホールの耐震工事を断念、使用停止すると発表。これにより、普門館での開催の歴史に幕を閉じた。普門館でのエピソードとして、第52回(2004年)大会中学後半の部の開催中、新潟県中越地震が発生し、大会史上初めて一時中断するという事態が発生した。また高校後半の部では、演奏中にステージ裏側で誤って次の団体が楽器を落下させてしまうということがあり、これらのことを機に、大会を安全に運営するためのマニュアルが連盟によって作成された。名古屋国際会議場センチュリーホールが初めて会場として使用されたのは、第53回(2005年)大会である。この時は、立正佼成会大聖堂の改修事業に伴い、大聖堂の代替施設として普門館が利用されたことに伴うものであった。第60回(2012年)大会からは、前述した普門館の使用停止に伴い、当ホールが全国大会の会場として使われている、2019年度までは名古屋市で開催が決定している。大学・職場・一般の部の全国大会は、東京都・大阪市・名古屋市・浜松市など各地方(各支部単位)の持ち回りで開催される。近年では、東京文化会館・大阪府立国際会議場・アクトシティ浜松・宇都宮市文化会館のいずれかで開催されることが多くなっている。中学・高校の部とは違い、きちんとした反響設備を備えてあるホールで開催されることが多いが、まれにほとんど響かないホールで開催されることもある(大阪府立国際会議場・仙台サンプラザなど)。また毎年会場を変えているため、会場の特性を把握出来ないまま本番に臨む団体がほとんどである(この場合、必然的にホールを知っている地元支部の団体が有利となる)。ホールと楽曲との相性は決して無視できないものだが、持ち回り開催のためこのような課題が存在する(コンクールが開催された会場については「コンクール開催会場・期日一覧」を参照のこと)。各支部・都道府県・地区での予選はその地区のホールが主に使われる。2004年まで東京都大会は上述の普門館で主に行われていたが、参加団体の増加などで最低でも4日連続でホールを借りなければならず普門館では4日連続で行うことが出来なくなったため、2005年からは都内の他のホールで行われている。連盟加盟支部(本節では所属支部)のこれまでの経緯に関しては、「連盟加盟支部の経緯」を参照のこと。各種TV番組などで度々紹介される。特に最近では、2004年から2005年、また2010年に日本テレビ系列のバラエティ番組『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』で特集が組まれた。この番組で「普門館すなわち吹奏楽の甲子園」というコンクール経験者間の認識が一般にも紹介された。ラジオでは、NHK-FMで「ブラスの響き」というレギュラー番組が放送されていた。現在でも、コンクールシーズンには特番が組まれることがある。約5,000人収容の大ホール普門館は毎年熱心な聴衆で埋め尽くされる。ただ、一部の過度に熱狂的な聴衆のマナーはしばしば問題にされる(顕著な例としては、演奏が終わるか終わらないかのところで残響を無視して奇声をあげる者が毎年いる事があげられる)。第55回(2007年)大会では、NTT東日本のBフレッツ販売促進としてコンクール特集企画が行われ、全国大会までの練習の様子や、大会当日の演奏風景・結果発表の様子などの動画配信を行った。高校の部の入場券は、1990年代に入った頃から、極めて入手困難なプラチナチケットと化している。第39回(1991年)大会までは当日券が発売されていたが、徹夜組が行列をつくるなどの混乱があり、翌年第40回(1992年)からは当日券発売を廃止し、事前受付販売のみに変更した経緯がある(1通あたりの申し込み枚数を制限し、申し込み多数の場合は抽選としたこともあった。抽選にもれた入場希望者に対応するため、チケットぴあ・チケットセゾンで第2次前売りを行った年もある)。第44回(1996年)大会以降行われている前後半入れ替え制も、少しでも多くの入場希望者に対応するために、一部の支部予選において以前から行われていたものを参考に導入された。しかし、それでも全自由席であったことから開場時に聴衆が良席を巡って会場内を走ったり、荷物を置いて座席を確保するなど聴衆同士のトラブルも多くあり、安全な大会進行が急務となっていた。そこでまず試行的に第53回(2005年)大会において、高校の部のみ一般向けの入場券を史上初めて指定席制としチケットぴあによるオンライン販売(店頭発売のみ)としたが、発売開始後数分で完売した。連盟側では安全性や、大会のスムーズな進行についても十分な効果があったとして、翌年に開催された第54回(2006年)大会では、高校の部に加え、中学の部でも指定席制として、9月末にチケットぴあでのオンライン発売を行った。チケットは発売初日で中・高両部門共完売したが、特別電話予約のみの予約受付だった(ぴあ通常予約電話番号、ぴあ・ファミリーマート・サークルKサンクス店頭では予約不可)ため、全国からの電話が殺到、ぴあ特別電話予約センターに大変つながりにくくなった(大半は電話番号ダイヤル直後に、大変混雑している旨を知らせるメッセージが流れ、通話を切断せざるを得ない状況となった)ため、高校の部(前半・後半共)においては発売開始後2時間弱をもって完売、中学の部(前半・後半共)も発売開始後3時間程で完売した。第55回(2007年)大会では、全部門において一般向けの入場券を指定席制とし、全てチケットぴあによるオンライン販売を行った。混雑の緩和また部門違いによる誤購入を防ぐため、「中学」「高校」「大学」「職場・一般」それぞれの部門に対し別々のPコードを設定し、更に販売開始日を「中学」「高校」「大学・職場・一般」と3日間に分散した。また、第54回大会では特別電話のみの予約受付であったが、第55回大会からはインターネットでも購入できるようになった。以上のような変更を行ったことから中学の部では34分で完売(ただし中学の部はその後予約流れが発生し、再度余席の購入が可能となった)、高校の部においては7分で完売と、比較的短時間で一般向けの指定席入場券の予定枚数全てが完売した。近年、全国大会の会場では出場団体の演奏を収録したCD-R・の当日販売が行われる。演奏を終えた団体の録音が演奏終了後15分程度で即売ブースに並ぶため、休憩時間などには熱心なファンが列を作る光景が見られる。また大会から1・2ヶ月程度で、実況録音盤CDやDVDが一般のレコード店にて販売される。上述のように部活動としての吹奏楽への注目、知名度が高まったことで、従来から高校入試にあった吹奏楽推薦のほか、普通科吹奏楽コースを設置する高校が増え、音楽活動としての吹奏楽がコンクールでの入賞至上主義へと変質してしまうことへの危惧の声が一部にある。2005年度より高校の部、2006年度より中学の部、2007年度より全部門の一般向けチケットは、チケットぴあ委託により全て指定席発売となったため、以前と比べ、連盟側の事務的負担の軽減や大会運営の円滑化、聴衆側にとっては安全性とチケット購入時期についての公平性の向上などが図られたが、一方、メディアで吹奏楽文化が注目されている影響などから、ダフ屋による転売目的のチケット大量予約が横行し、吹奏楽コンクールに足を運びたい一般聴衆がチケットを入手することがかなり難しくなったことは問題である。「吹奏楽を愛する中高生の憧れの舞台」また「日本の吹奏楽文化の発展を担う大会」として、チケットの販売方法についての再検討が大いに必要であると言えるだろう。などなど(括弧内は主催者)

出典:wikipedia

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