『運命の人』(うんめいのひと)は、山崎豊子による小説。沖縄返還時の日米密約を題材に、国家権力とジャーナリズムの戦いを描いたもの。『文藝春秋』にて2005年1月号から2009年2月号まで約5年間連載された後、2009年に単行本として全4巻で出版された。2010年12月から2011年2月にかけて、文春文庫版が単行本と同様全4巻で刊行された。取材と執筆に約8年を要した長編作品である。第63回毎日出版文化賞(毎日新聞社主催)特別賞受賞(2009年)。後作の『約束の海』が絶筆作品となったため、完成された作品としては最後のものとなった。「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と冒頭に記載されている。1971年の沖縄返還協定に関する取材で入手した機密情報を記事にする以前に野党国会議員に漏洩した毎日新聞記者の西山太吉らが国家公務員法違反で有罪となった実際の西山事件を想起させる内容である。特ダネ記者である毎朝新聞政治部の弓成亮太は、大詰めとなった沖縄返還の取材中に、日米間で進められている密約の存在に気づく。激しいスクープ合戦の中、弓成は証拠となる機密文書を外務省事務官の三木昭子から入手するが、二人が男女の仲であったことを材料に、国は機密漏洩を追及し、やがて世間の関心は国民の知る権利と国家権力の戦いから、二人の関係の詮索へと変質していく。【】内は作者が意図するモデルと思われる実在の人物・企業。ただしこの作品はあくまでもフィクションであり、実在の人物との関連は無い。2012年1月15日より3月18日までTBS系列の『日曜劇場』枠(毎週日曜日21:00 - 21:54、JST)で放送された日本のテレビドラマ。主演は本木雅弘。弓成亮太役の本木雅弘は原作者・山崎豊子の推薦であり、「強靭さと悲劇性を併せ演じられる俳優さんだと、お見受けしたからだ」という。柳葉敏郎、北大路欣也、伊武雅刀、大和田伸也等、山崎豊子原作の映像化作品出演経験のある俳優が多く起用されている。本作の平均視聴率が12%に留まり、5年前の2007年に同枠で放送された同じ原作者の作品である『華麗なる一族』(木村拓哉(SMAP)主演、TBS開局55周年記念ドラマ)のようなヒット作にはならなかった。原作者・山崎豊子が生前に映像化された最後の作品でもあった。キャッチコピーは「未来は変えられるのか━ 日本中を揺るがせたあの大事件の裏側には、1人の男と2人の女の秘められた真実があった…」。以下の登場人物は最終話のみ出演。基本的に全編を通して原作を忠実に沿っているが、全10話とう短い話数であるためか、登場人物(弓成由里子の兄夫妻、謝花ミチの祖父・謝花栄義など)や具志川闘牛大会のエピソードなどがカットされている。一方では、原作では一切語られなかった、三木昭子が無罪判決を受けた後の消息のエピソードが追加されている。また、最終話では原作では単行本・文庫本第4巻に当たる内容であり、時間経過が約20年近くと非常に長いが、ドラマでは時間経過が1983年まであるため、原作で弓成夫妻の子どもが大学進学して就職や結婚したり、また謝花ミチが結婚して2児の母親になったりするが、ドラマでは省略されている。山部一雄のモデルとされている渡邉恒雄はドラマ版を視聴し、「劇中に登場する山部のエピソードが、どれも事実と異なる作り話」であると憤慨したという。渡邉は『サンデー毎日』2012年2月19日号に「私は『運命の人』に怒っている!」と題した寄稿を行った。また主人公のモデルとされている西山太吉は、原作について「まったく事実と反する所が山と出てくる。ナベさんが怒っている以上に私が怒っている」と述べているという。
出典:wikipedia
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