情報工学におけるマスク(英: mask)とは、ビット演算と呼ぶビット単位の操作を行う処理である。ビットマスク (bit mask) とも。マスクを使用すると、バイト、ニブル、ワードなどの複数のビットを同時にオンやオフにしたり、ビット単位にオン/オフを反転させたり、また特定のビットの状態を知ることができる。注目するビットを操作し、それ以外のビットを操作対象外として覆うことから、顔の口に当てる「マスク」などのようにマスクと呼ぶ。特定のビットだけをオンにするには、ビット単位のcodice_2演算を行う。codice_3 であり、codice_4 となるORのビット演算となる。したがって、ビットを確実にオンにするには、codice_1 との codice_2 を行えばよい。変更を加えないビット位置では、codice_7 との codice_2 を行う。例: LSBから4番目のビットをオンにするcodice_2演算ではオンのビットをオフにすることはできない。その場合はビット単位のcodice_11を使う。codice_1 との codice_11 を行うと、値は単に元のままとなるので、codice_14 である。しかし、codice_7 との codice_11 を行うと、必ず codice_7 になり codice_18 である。変更しないビット位置では、codice_1 との codice_11 を行えばよい。例: LSBから4番目のビットをオフにするビットマスクを使うと、特定のビットに注目して取り出しその状態を調べることができる。そのためには、ビット単位の codice_11 を行って対象の特定ビット以外の状態に拘わらず全てオフにすればよいので、上述したように対象外のビット位置は codice_7 との codice_11 にすればよい。こうして得られた値を codice_7 と比較し、等しければ(codice_7 ならば)そのビットはオフと分かるし、等しくなければオンだと分かる。このとき具体的にどういう値かを考慮する必要は無く、単に codice_7 かどうかだけで判断できる。例: LSBから4番目のビットの状態を調べるここまでは、ビットをオンにする方法とオフにする方法を解説してきたが、両方を同時に行うにはどうすればよいだろうか。元の値がどうであろうと問題ではなく、単にビット列を反転させたい場合もある。この場合、codice_27 演算を使う。codice_27 は、演算対象の相互のビット(通常は2つ)のうちいずれかのビットのみが codice_1 の場合に codice_1 を返す。つまり、2つのビットが共に codice_1 なら codice_7 を返す。また両方が codice_7 なら codice_7 を返す。結果として、対象とする相互のビットの状態が以前から反転した異なる状態に変えることができる。したがって、反転させたいビット列について全て codice_1 とのビット単位の codice_27 を行えば、元のビット列を反転したビット列が得られる。元のビットが codice_1 なら codice_38 となるし、元のビットが codice_7 なら codice_40 となる。例: すべてのビットを反転するなお、一般に論理演算機能としてバイト単位の処理しかできない場合が多く、特定のビットだけ反転する操作は一度に行えず、一旦全てのビットを反転し、次に特定のビットに対してビット単位の codice_11 を行って、そのビットの反転結果のみを得ることとなる。C言語のようなプログラミング言語では、ビットマスクは関数のブーリアン型の引数を一連の名前付きの値として渡すのに使える。例えば、グラフィックスAPIであるOpenGLには、codice_42 というコマンドがある。これは画面や他のバッファをクリアするもので、4つのバッファ(color、depth、accumulation、stencil)をクリアできるので、これらを指定するのにブーリアン型の引数を4つ使ったAPIが考えられる。すると、その呼び出しは次のようになる。これでは、可読性が低く、何をしたいのかわかりにくい。そこで実際には特定ビット位置をオンにしたビットマスクに codice_43、codice_44、codice_45、codice_46 と名前を付け、codice_42 を次のように宣言している。すると、この関数の呼び出しは次のようになる。このような引数を持つ関数の内部では、個々のビットを取出すのに codice_11 演算を行っている。例えば、codice_42 の実装は次のようになる。この手法の利点は、引数の個数を削減することでオーバーヘッドを削減できる点である。データとして受け渡しできる最小単位は1バイトなので、それぞれの操作を別々の引数で受け渡すと、引数当たり7ビットが無駄となり、余分なスタック領域を占有することになる。実際には引数は32ビットの整数であることが多く、その場合は32個のオプションを1つの引数で指定できる。しかし、この手法を単純に実装すると型安全ではなくなる。codice_50 は単純に codice_51 で定義されているので、コンパイラは codice_52 や codice_53 といった無意味な呼び出しがあってもエラーを検出できない。C++では、glClear が受け取る引数群をクラスとしてカプセル化でき、型安全性を保証できる(外部リンク参照)。剰余を求める計算はビット演算より一般的に低速である。法が2の冪(2^n)のときは、単純に codice_54 でビットマスクをとるだけでよい。例:実用上の例では、ハッシュテーブルのためのハッシュ関数が挙げられる。ハッシュ関数には大きな定義域の関数がよく使われるが、ハッシュ値からハッシュテーブルのインデックスを得るには、合同式の操作を行って配列のサイズに収まるようにする必要がある。配列のサイズを2の冪にしておけば、この剰余演算を高速化できる。IPアドレスのマスクは IP ACL (アクセス制御リスト)で許可されるものと拒否されるものを指定するのに使われる。インタフェース上のIPアドレスを設定するマスクは、先頭が255で左側の方が大きい値になる。例えば、IPアドレス 209.165.202.129 に対して 255.255.255.224 というマスクが対応する。IP ACL のマスクはその逆で、例えば 0.0.0.255 となる。これを逆マスク (inverse mask) あるいはワイルドカードマスク (wildcard mask) と呼ぶこともある。このマスク値をバイナリ(0と1)で表すと、アドレスのビット列のうちどの部分を処理するかが示されている。0となっているビット位置のアドレスビットは考慮され(一致する必要がある)、1となっているビット位置のアドレスビットは考慮しない。マスクの例:バイナリ形式のマスクを見ると、先頭3オクテットは指定されたバイナリ形式のネットワークアドレス (00001010.00000001.00000001) と正確に一致しなければならない。最後尾にオクテットは考慮する必要はない (.11111111)。したがって、10.1.1. で始まるアドレスの全トラフィックを対象とし、最後尾のオクテットは考慮しない。つまり、このマスクでは 10.1.1.1 から 10.1.1.255 までのアドレスを処理する。255.255.255.255 から通常のマスクを引き算すると ACL 用逆マスクが得られる。例えば、ネットワークアドレス 172.16.1.0 の通常のマスクが 255.255.255.0 の場合、逆マスクは次のように求められる。アドレス 0.0.0.0 で逆マスクが 255.255.255.255 なら、アドレス範囲を指定しないことを示している。アドレス 10.1.1.2 で逆マスクが 0.0.0.0 なら唯一のホスト 10.1.1.2 だけを指す。コンピュータグラフィックスにおいて、ある画像を何らかの背景画像の上に配置したい場合、背景画像を透過させる領域をマスクで指定する。この場合、配置対象の画像には2つのビットマップが存在する。画像内の描画しないピクセル(透明部分)に対応するビットを全て0にしたもの(実際の画像)と、描画する部分のピクセルを全て0とし、描画しない部分(透明部分)を全て1にした「マスク」である。右図の例で、黒いピクセルは全ビットが0で、白のピクセルは全ビットが1である。このような画像を背景画像上に配置する場合、まず画面上のピクセルと画像マスクをビット単位のAND操作で合成する。すると、透明部分は背景がそのまま残り、画像を描画したい部分だけが0でクリアされる。次に、実際の画像と背景画像をビット単位のOR操作で合成する。こうすると、画像のピクセル列は前の操作で背景が消された領域にぴったりと嵌まる。このようにして背景と画像を合成する。このような技法は、ポインティングデバイスのカーソルの描画、2次元のゲームのキャラクタなどの描画(スプライト)、GUIでのアイコンの描画、動画への文字の表示(スーパー)といった各種画像合成に使われている。同様の目的の技術として、カラーパレットに透明色を設ける手法や、アルファチャンネルを用いる手法があり、その場合はピクセル画像のビットマスクは不要である。
出典:wikipedia
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