未完成の音楽作品(みかんせいのおんがくさくひん)では、「未完成交響曲」のニックネームがあるフランツ・シューベルトの交響曲第7番ロ短調D.759など、作曲者自身の手によって完成されることがなかった音楽作品について記述する。未完成の音楽作品は、文字通り完成されていない音楽である以上、作曲者が自身の「作品」として発表することは基本的にはない。また、未完成である以上「作品」として演奏されることは、一部の例外を除き皆無である。むしろ、各々の作曲家を研究する上においての資料として扱われる場合の方が多いであろう。未完成の音楽作品の分類法はいろいろ考えられる。どちらの分類法も、その定義が極めてあいまいであり、完全に分類しきれるものではない。以下では便宜的に後者の分類法を用いることにする。上の分類法においてここに分類されると考えられる作品としては、以下のものが挙げられる。上記のうち、シューベルトの交響曲ロ短調は例外的に「音楽的に完成された作品」とみなされ、頻繁に演奏されている。それ以外はみな、たとえば習作的であったり、途中で作曲家が投げ出したものなどであり、「作品」として演奏されることは少ない。上の分類法においてここに分類されると考えられる作品としては、以下のものが挙げられる。ブルックナーの交響曲第9番は音楽的にほとんど完成しているとみなすことが可能である。すると、ベートーヴェン、ブルックナー、マーラーなど、交響曲の大家とされる作曲家たちは、みな交響曲第9番を完成させたすぐ後に死んでいる、と捉えることもできる。このため、特にブルックナーやベートーヴェンの死を目の当たりにしたマーラーは晩年、交響曲第9番を書くことを非常に恐れていたと伝えられている(第九の呪い)。たまに評論家たちがドヴォルザークをこの範疇に入れることがあるが、それは誤りである。なぜならドヴォルザークの生前、最後の交響曲ホ短調「新世界より」は、出版社の都合で第5番として出版されたためである(作曲者の死後、9曲の交響曲全てに番号が作曲順に付け直された)。上記のいずれも何らかの形で補筆完成され、楽譜の出版や演奏、録音が行われている。なお、この「第九の呪い」のジンクスは、20世紀のソ連の作曲家ショスタコーヴィチが交響曲を15曲作曲したことによって破られたといわれるが、実際にはショスタコーヴィチ以前にラフやブライアン、ミヨー、ミャスコフスキーらが第10番以降の交響曲を作曲している。また、メンデルスゾーンは番号付きの5つの交響曲とは別に、13曲の「弦楽のための交響曲」を作曲している。今日、未完成でありながらも頻繁に演奏されている音楽作品としては、以下のものが挙げられる。このうちシューベルトの未完成交響曲は完成した部分が第2楽章までであるが、そのままでも十分な交響曲と見なしうるとして頻繁に演奏されている。ブルックナーのものは大半が完成されているが、演奏可能な状態まで作曲されたのは第3楽章までである。第4楽章は補筆が試みられており、それを含めて完全な交響曲として演奏される場合もあるが、3つの楽章のみで演奏されることが多い。ブルックナー本人は第4楽章の代わりに「テ・デウム」を演奏しても良いと語ったと伝えられている。ボロディンのものは一部が未完成に終わったが、弦楽四重奏曲から編曲されて充てられている。マーラーのものは、第1楽章はほぼ完成されていたが、他は大雑把な枠組みのみであった。第1楽章単独で演奏されることもあるが、残りの楽章が研究家の手によって補筆完成され、全楽章演奏されることもある。特にクック版が有名である。
出典:wikipedia
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