EPUB(イーパブ)は、国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum、IDPF)が策定した、オープンフォーマットの電子書籍ファイルフォーマット規格である。「EPUB」は"Electronic PUBlication"の意味を持ち「epub」「ePub」などと表記される場合もある。EPUBはXML、XHTML、CSSおよびZIPに基づいた規格であり、対応するハードウェアやアプリケーションソフトウェアは多く、電子書籍ファイルの標準となっている。2014年11月5日にはISOより "ISO/IEC TS 30135" として刊行され、国際規格に近い段階である技術仕様書として標準化された。EPUBは、HTMLやウェブブラウザのオープン性を保持しつつ、インターネット接続が切断された状態の携帯情報端末(PDA)やノートパソコンなどでも電子書籍の閲覧が継続できるようにダウンロード配信を前提にパッケージ化された、XHTMLのサブセット的なファイル・フォーマット規格であり、画面の大きさに合わせて表示を調整する「リフロー機能」が特徴である(固定する設定も可能)。EPUBが標準となる以前の電子書籍用ファイル・フォーマットは、独自仕様であって電子書籍を読むハードウェアに固有のものが大半であり、出版社や著者が電子書籍用ソフトウェアを作るにはその会社から制作ツールのライセンスを入手する必要があったが、XMDFの様に制作ソフトは無料だが、出版する場合に規格の利用料を払う必要がある場合や、会社が存在しなくなれば、それまで構築したソフトウェア製作用の環境と経験は無駄となることも考えられる。なにより専用フォーマットに対応するハードウェアが販売されなければ、過去の製作済み電子書籍ソフトウェアの価値も著しく失われる危険性があった。IDPFではこのような依存性を排除し、公開された共通規格による電子書籍用ファイル・フォーマットとしてEPUBを提供することで、電子書籍用ソフトウェアの製作を希望する誰でも自分の作品を作ったり関連アプリケーションが開発できるように、世界標準の規格化を進めている。EPUB形式の電子書籍のファイル構造は、XHTML形式の情報内容(コンテンツ)が、指定の形でZIPによって圧縮された後、ファイル拡張子が「.epub」に変更されたものである。元々、小説作品の電子化を念頭に標準規格化が始められたEPUBではあるが、HTMLでサポートされる一般的なビットマップ画像データやCSSによる最小限のデザイン制御に加え、SVG 1.1もサポートしているため、図版や数式などを多用する作品への対応度は高い。現在、最新版であるEPUB 3.0は、縦書き・ルビも含む日本語組版に対応しており、多くのEPUBリーダがこれらを実装している。しかし、EPUBリーダごとに挙動が異なること、出版側の意図した通りの結果にならないことは存在する。これらの諸問題に対応するため、電書協により『電書協 EPUB 3 制作ガイド』が策定されており、日本の電子書籍出版シーンでは電書協仕様に準拠することが業界標準となっている。また、出版社等による電書協仕様のさらなるサブセットも作成されており、KADOKAWAでは『KADOKAWA-EPUB 制作仕様』を、電書ラボでは『電書ラボEPUB制作仕様』をそれぞれ策定し公開している。日本語組版、とくに縦書きと禁則処理については、CSS3の草案で提案されていたプロパティを、-epub-というプレフィックスを追加して採用している。これらの問題点は、"EPUB 2.0.1"のベースとなっているXHTML 1.1とCSS2に起因する。日本語組版の基本的な機能はカバーされていると言える。CSSのWriting ModesモジュールとTextモジュールがW3C勧告になるまでに、構文も意味も変わる可能性がある。EPUBでは、-epub-プレフィックスをつけた構文を採用することによって、構文の不安定さを避けている。ただし、意味については最新版のW3C仕様に従うので変わる可能性がある。その最大のものは、縦書きのときどの文字が直立し、どの文字が寝るかである。HTML5についてもW3C勧告になるまでに、構文も意味も変わる可能性があり、EPUBもその影響を受ける。2011年初頭現在の版である"EPUB 2.0.1"は以下の3つから構成されている。日本電子出版協会は2010年4月に、EPUB日本語組版についての最低限の要求事項(縦書きや句読点の禁則処理、ルビ表記)をまとめ、Minimal Requirements on EPUB for Japanese Text Layoutを公表した。この文書の内容は、2009年6月4日版のW3C 技術ノート日本語組版処理の要件から電子書籍に必要なものを抜き出したものになっている。その後に、IDPFが新しいWGのチャータ(綱領)を出版したが、そこではMinimal Requirements on EPUB for Japanese Text Layoutが参照されていた。この時点で、日本語組版への対処がIDPFの重要な課題として位置づけられた。その後、WGの第一回会議において日本電子出版協会の村田真がEnhanced Global Language Supportサブグループのリーダに選出された。このサブグループが札幌会議と台北会議を経て、EPUB国際化のための要求事項をとりまとめ、仕様にどんな機構を入れるべきかをWGに提案した。これを受けてEPUB WGは、EPUB 3.0の国際化を完成させた。 EPUB 3.0では日本語だけではなく台湾や香港の縦書き、右から左へ書くアラビア語およびヘブライ語にも対応した。2011年5月23日にIDPFから"EPUB 3.0 Proposed Specification"が、同年10月10日に"EPUB 3.0 Final Specification"が公開された。
出典:wikipedia
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