戸塚ヨットスクール株式会社(とつかヨットスクール)は、日本のヨットスクール(フリースクール)である。愛知県知多郡美浜町に所在する。校名は創始者の戸塚宏の名字から。1976年、戸塚宏により「オリンピックで通用するような一流のヨットマンを育てる」という理想の下で設立される。教育方針は校長の戸塚宏が提唱する「脳幹論」と称するものに基づいている。この「脳幹論」とは、「青少年の問題行動は、脳幹の機能低下により引き起こされる」という理論に基づき、「アトピーや喘息、出勤・登校拒否、引きこもり、癌なども、脳幹を鍛えることによって克服できる」と説くものである。しかし、それらの主張を裏付ける医学的根拠はなんら存在せず、また第三者による客観的・科学的な検証も不十分である。戸塚は、ヨットやウィンドサーフィンを通じて大自然の中で原始的な状況に直面せざるを得ない状況を作りだし、彼らに直面させることで脳幹に刺激を与え、戸塚が衰えたと考えるその機能を回復させるというもので、薬物やカウンセリング、周囲の思いやりというようなものだけでは治らない者もあり、教育荒廃は決して解決しないとの考えに基づく。戸塚の支援者である石原慎太郎は、この理論はオーストリアの動物行動学者であるコンラート・ローレンツが唱えたものであるとしている。「人間が与えられた『生きる力』を100%開花させることに全力を注ぐ」ことをうたい、「基礎精神力を養う」ことを目的に、現在はウィンドサーフィンを使ったトレーニングを行っている。校内には寮が併設されており、登校拒否、引きこもり、家庭内暴力、非行などの問題を抱えた生徒は合宿が原則となっている。また、入校に際しての年齢制限はなく、4歳から80歳まで受け入れるとしている。指導としての体罰は否定せず、「体罰を使えば期間を短縮できる」が、現状では「使いたいのですがなかなか使えない」としている。合宿中は月曜の休み以外は毎日ウィンドサーフィンによる訓練が行われるが、嫌なことから逃避する癖の付いた大半の生徒は、様々な口実や時には巧みな嘘で逃げようとし、ほとんどの生徒が脱走を試みるという。この事実をあらかじめ想定し、対応しないと生徒の嘘に幻惑され帰宅を許してしまい失敗すると説く。このため、家族には戸塚を信頼し、必ず指示に従うよう求める。1970年代末から1980年代にかけて、スパルタ式と呼ばれる独自の指導により、不登校や引きこもりや家庭内暴力などの数多くの非行少年を矯正させたという触れ込みで、戸塚ヨットスクールはマスメディアに登場し話題となる。当時は校内暴力が社会問題化していたため、問題行動を繰り返す青少年の矯正を行えると自称した同スクールが注目されたものであった。しかし、訓練中に生徒が死亡したり行方不明になったりした、いわゆる「戸塚ヨットスクール事件」が明るみに出た結果、1983年に傷害致死の疑いで捜査が行われ、校長の戸塚以下関係者15名が逮捕、起訴された。長年に及ぶ裁判の末、戸塚およびコーチらは有罪判決を受けた。校長の戸塚は懲役6年の実刑で服役した後、2006年4月29日に出所し、スクールの現場に復帰した。2006年10月9日、25歳の訓練生の男性がスクール近くの沖合で水死体となって発見される事件が起きた。この男性は同月6日に失踪し行方不明となっていた。遺体に外傷はなかったため、事故死か自殺とみられている。2009年10月19日、戸塚ヨットスクールの寮の3階から18歳の訓練生の女性が飛び降りて死亡する事件が発生した。女性は3日前に入所したばかりで、他の寮生・コーチと共に布団干しの作業中に約1.5メートルのコンクリート製の屋上のへりを乗り越え、路上に転落した。愛知県警半田署は自殺とみて捜査している。事件後、戸塚校長は「突発的だった。管理態勢に問題はなかったが、所属した生徒が亡くなったことには責任がある」と話した。2010年12月20日、30代の訓練生の男性がスクール内の寮から転落し重傷を負う事件が発生。愛知県警半田署は事故と自殺未遂で調べていると報じられた。2012年1月9日、スクール内の寮の前で頭から血を流して倒れている21歳の訓練生の男性が発見され、病院搬送後に死亡。「ヨットスクールの生活がつらく、このまま生きていくのもつらい」と書かれたメモがあったことから、飛び降り自殺と考えられている。2016年10月16日、東海テレビ「みんなのニュース One」が密着取材したドキュメンタリー番組(9月28日放送)がnetgeekに掲載される。番組は、3歳〜小学生対象の年に10回合宿を行う「戸塚ジュニアヨットスクール」(2011年7月〜)を取材したもので、幼児虐待として議論を呼んだ。戸塚ヨットスクールの教育・更生方針に賛同する支持者は、厳しい教育訓練のあり方、死亡事故の発生、歪曲された報道などのため、同スクールが様々な誤解と中傷に曝されてきたと主張。「戸塚ヨットスクールを支援する会」を組織し支援に当たっている。主要な支援者の中には石原慎太郎(会長)や伊東四朗などの著名人が含まれている。勾留・収監中も戸塚はマスメディアに依頼された原稿の執筆活動や弁論雑誌への投稿、同スクール支援者団体を通じてのインターネット上での意見表明・コラム掲載などを行っており、支援団体サイト『教育再生!』には支援者による資料が掲載されている。同スクールの遭難・行方不明・傷害致死の事件が大々的に報じられた当時やそれ以降、同スクールは激しい非難に見舞われる一方で、「不謹慎ネタ」として扱われる傾向も見られた。俳優の山本太郎が、かつて箕面自由学園高等学校在学中に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出演した際、グループ名を「アジャ・コング&戸塚ヨットスクールズ」とした。戸塚が逮捕された1983年に開催された、日本テレビ系クイズ番組「第7回アメリカ横断ウルトラクイズ」の第8チェックポイント・レイクパウエルでは、「クイズヨットスクール」を実施している。また戸塚自身のキャラクター性も一種の話題性から報道番組ではなく『ムハハnoたかじん』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』をはじめバラエティ番組のような娯楽を主題とするテレビ番組にゲストとして招かれていた。戸塚は、2014年11月28日・29日に開催された「第27回日本総合病院精神医学会総会」において、「私の脳幹論」と題する講演を行った。この中で戸塚は、「脳幹論」と「本能論」について、と説明し、などと述べ、体罰によって訓練生へ恐怖を植え付けることの正当性を主張した。また、と述べ、精神疾患の診断と治療よりも戸塚の提唱する「トレーニング」が優先し、それによって症状が悪くなってから医療を受ければいいという見解を示した。これに対して、日本児童青年精神医学会の理事会は、などとする声明を発表し、また、本講演の主催者である日本総合病院精神医学会の理事会も、などとする声明を発表した。
出典:wikipedia
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