『饗宴』(きょうえん、、シュンポシオン、)は、プラトンの中期対話篇の1つ。副題は「恋について」。紀元前400年頃のアテナイ。アポロドロスは友人に、紀元前416年にあった饗宴の話を教えてほしいとせがまれる。アポロドロスは、ついこの間も、別の知人からその話をせがまれたことを明かしつつ、その饗宴は自分達が子供の頃のかなり昔の話であり、自分も直接そこにいたわけではないが、そこに居合わせたキュダテナイオン区のアリストデモスというソクラテスの友人・敬愛者から、詳しい話を聞いて知っていること、また、その知人にパレロンの自宅からアテナイ市内までの道を歩きがてら、語って聞かせたので、話す準備はできていることを述べつつ、アリストデモスが述べたままに、回想が語られる。紀元前416年、アテナイの悲劇詩人アガトンが悲劇のコンクールで初優勝した翌日、アガトンの邸宅での祝賀饗宴に招かれているソクラテスが、身なりを整えているところに、アリストデモスは出くわし、一緒についていくことになった。アガトンの邸宅に着くと、28名の男達が集っており、ちょうど食事をするところだった。食事を終え、エリュクシマコスが今夜は演説で時を過ごそうと提案、論題を「エロース」に設定し、順々に演説を行っていくことになる。翌朝、ソクラテスが帰るまでが描かれる。対話篇は大きく三つの部分にわかれる。アルキビアデスの乱入のあと饗宴は混乱し、夜通し騒いだ後みなが宴席で寝静まったところに、ソクラテスは酔い乱れることもなく、体育場へ出て行く。導入紀元前400年頃のアテナイ。アポロドロスは友人(グラウコン)に、かつてアガトン、ソクラテス、アルキビアデス等が饗宴でエロースについての演説を行った話を聞きたいとせがまれる。アポロドロスは、ついこの間も、知人に頼まれて話をしたばかりなので、準備はできていること、また、この話は自分達がまだ子供の頃の話で、そこに居合わせたソクラテスの友人アリストデモスから聞かされた話だと前置きしつつ、話を始める。回想部導入紀元前416年のアテナイ。悲劇詩人アガトンが悲劇のコンクールで初優勝した翌日、アリストデモスは、沐浴を終えて靴を履いたソクラテスに出逢う。アガトンの自宅での饗宴に呼ばれているのだという。そして、アリストデモスも一緒について行くことになった。アガトンの自宅に着くと、28人の男達が集っており、給仕たちが慌ただしく食事の用意をしていた。アガトンがアリストデモスに、ソクラテスはどうしたのか尋ねると、アリストデモスは先程まで一緒だったのにと不思議がる。給仕が外に見に行くと、隣の家の玄関前で立ったまま考え込んでいるという。アリストデモスは、いつものことだから放っておけばいいと言う。皆が食事を始め、半ば済んだ頃に、ようやくソクラテスがやって来た。皆が食後に酒を飲み始めると、パウサニアスが、昨日酒を飲み過ぎたので多少の休養が欲しい、どうしたら気楽に酒が飲めるかと問う。アリストパネスも賛同する。エリュクシマコスがアガトンに問うと、アガトンも賛同した。エリュクシマコスは、酒豪のアガトンがそう言うなら好都合だし、医術的にも酩酊は有害なので、今日は演説をご馳走に時を過ごすことを提案。一同、賛成する。エリュクシマコスは、パイドロスからよく聞かされる「愛の神エロースが、詩人たちから無視・疎外され過ぎている」という意見を引き合いに出し、エロース賛美の演説を右回りで一人ずつ行っていこうと提案。一同、賛成する。最初の演説は、パイドロスが引き受けた。パイドロスの演説パイドロスは、といった旨の演説を行う。次に、他の23人が順々に演説を行ったが、アリストデモスは忘れてしまった。次に、パウサニアスが演説した。パウサニアスの演説パウサニアスは、といった旨の、プロディコスの弟子らしく言葉・概念の区別にこだわった演説を披露する。次はアリストパネスの番だったが、しゃっくりが止まらず、代わりにエリュクシマコスが先に演説を行う。エリュクシマコスの演説エリュクシマコスは、アリストパネスの演説アガトンの演説ソクラテスの演説アルキビアデスの演説終幕エロスに関する演説では、ソクラテスの同時代人の文体と思想がさまざまに模倣されている。特に有名なものは、アリストパネスのくだりである。人間はもともと背中合わせの一体(アンドロギュノス)であったが、神によって2体に切り離された。このため人間は互いに失われた半身を求め、男らしい男は女を求め、女らしい女は男を求め、多くの中途半端な人間は互いに異性を求めるのだ、というもの。この部分はテクストの文脈を離れてしばしば参照される有名な部分である。配偶者のことを というのは、この説話に由来する。ソクラテスが言及するディオティマは、「恋のことでもその他のことでも、何にでも通じる知者」とされる。ヘルダーリンの『ヒュペーリオン』に登場するディオティーマの造形はこれに多く拠っている。ディオティマは紀元前430年頃にはアテナイにいた実在の人物のように書かれているが、一般にプラトンの創作の人物であると考えられている。ただしフェミニズム哲学では、ディオティマの実在性を主張し、女性哲学者としての地位を与えようとする試みがある。
出典:wikipedia
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