走出去(ゾウチュチィ、、英語:"Go Global")とは、中華人民共和国が積極的に支持している海外の投資戦略のことである。多くの国々が外国からの資本受け入れ(中国語で引進来(、インジンライ、)に躍起になり、海外への投資に消極的であるのに対し、中国は外資導入と海外への投資拡大に積極的である。走出去戦略の略称として「走出去」と呼ぶ。中国が走出去戦略を行う主因は以下の三つである。走出去戦略は1999年、中国政府が海外投資を推進したことにより始まる。中国政府と中国国際貿易促進委員会( / , CCPIT)は、中国企業が中国市場及び海外市場で発展するための国際的戦略を支持する政策を打ち出した。政策の主要なポイントは以下の五つである。走出去戦略実施後、中国企業とりわけ国有企業の海外投資は増加した。1991年に30億元に過ぎなかった対外投資は、2003年に350億元、2007年には920億元に達した。中国政府の支持のもと、対外投資は増加し、中国は低廉かつ豊富な労働力により「世界の工場」となった。国有企業改革の一環として、中国政府は国務院国有資産監督管理委員会( / , SASAC)を設立した。国務院国有資産監督管理委員会は中国の証券市場を改革し、中国の対外投資をサポートした。国務院国有資産監督管理委員会の役割は以下の五点である。国務院国有資産監督管理委員会は北京財産権取引所(、, CBEX)など四つの取引所を運営している。とりわけ、北京財産権取引所は日、米、伊の三国共同により設立された。ミラノ財産権取引所( / / , CMEX)は2007年、ミラノに設立され、北京財産権取引所初の海外パートナーとなった。ミラノ財産権取引所は中国企業がイタリアをはじめヨーロッパ諸国に進出する際の橋渡しの役割を担っている。800人以上の弁護士を抱える中国最大の法律事務所である金杜(King & Wood)は日本とアメリカに支店を開設した。600人以上のスタッフを抱える国浩弁護士事務所(Grandall Legal Group)は中国企業がヨーロッパに進出するのを支援するためにヨーロッパに弁護士事務所を構え、また、(Carone & Partners)が国浩弁護士事務所のパートナーとなった。走出去戦略の事例として主なものに以下のものがある。表外にも中国の三大国有石油企業(中国石油天然気集団公司(CNPC、子会社に中国石油天然気(ペトロチャイナ))、中国石油化工(Sinopec、子会社に中国石油化工集団公司(シノペック))、中国海洋石油総公司(CNOOC)は旧ソ連諸国(ロシア、カザフスタン、アゼルバイジャンなど)、中東(イラン、オマーン、サウジアラビア、シリアなど)、アフリカ諸国(スーダン、アルジェリア、ナイジェリア、アンゴラなど)、北中南米(カナダ、ベネズエラ、エクアドル、ブラジルなど)にも多くの利権獲得をしている。中国企業による先進国企業の買収は、それまでは資源分野に集中していたが、2015年ごろから、先端技術やブランドをもつ企業に広がってきた。例えば、安邦保険集団が、アメリカの高級ホテルであるウォルドルフ・アストリア・ニューヨークを19億5000万ドルで買収した案件、大連万達集団が、アメリカ映画製作会社であるレジェンダリー・エンターテイメントを35億ドルで買収した案件、中国化工集団が、イタリアの高級タイヤの会社であるピレリを71億ユーロで買収した案件、紫光集団が、アメリカ半導体大手であるマイクロン・テクノロジーに対して230億ドルの出資をした案件、アメリカ電機大手のゼネラル・エレクトリックの家電部門を海爾集団が54億ドルで買収した案件、中国化工集団がスイスの農薬大手企業のシンジェンタを430億ドル以上で買収した案件などが挙げられる。「産業の高度化」を国策に掲げる習近平指導部の意向も働いているとされる。その後、2016年3月15日、日本の東芝が冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業について、中国家電大手の美的集団に売却を検討しているとの報道がされた。売却額は100億円を超える規模とみられる。白物家電については、このほかにも家電大手のハイアールが旧三洋電機の冷蔵庫と洗濯機事業を引き継いだパナソニックから事業を買い受け、「アクア」ブランドで販売している。中国商務省によると、2015年の中国企業の対外直接投資額(金融を除く)は、1180億ドル(約14兆円)となり、前年比で15パーセント増加し、過去最高を記録した。足元の国際経済の減速が続く中、それでも対外投資の拡大に動く背景には、技術力やブランド力を高めないと、成長維持がおぼつかないとの危機感があるとされる。企業買収の専門サイトディーロジックによると、2015年の中国企業による外国企業の買収案件は約600件であり、金額は計1123億ドルで、2014年を5割以上も上回って過去最高であった。中国経済の伸びが鈍るなかで、企業は国外でも利益をあげることの必要性を意識している。元安傾向が続くなか、「さらなる下落の前に買おうとする心理も働いている」との分析もある。また、中国企業の外国企業の買収の特徴として、現地市場での経験や販売ルートをより早く確実に手に入れようと、業界の常識を上回る買収金額を示すことがある。アメリカと関係が疎遠、険悪な関係諸国--イラン、スーダン、ベネズエラ--にまで中国の対外投資は拡大していることもあり、権益をめぐっての対立が発生している。また、オーストラリアのように、中国の投資を歓迎する一方で資源権益取得に規制をかける動きも出てきている。2010年、日本も中国企業に対抗するために、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法改正により、日本企業が権益を取得する場合、その5割以下の範囲でJOGMECが出資できるようにしていこうとしている。
出典:wikipedia
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