パワーハラスメント()とは、「職場の権力(パワー)を利用した嫌がらせ」のことである。略称は「パワハラ」。パワーハラスメントとは、2001年に東京のコンサルティング会社クオレ・シー・キューブの代表取締役岡田康子とそのスタッフが創った和製英語である。セクハラ以外にも職場にはさまざまなハラスメントがあると考えた岡田らは、2001年12月から定期的に一般の労働者から相談を受け付け、その結果を調査・研究し、2003年に「パワーハラスメントとは、職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える」と初めて定義づけた。その後、マスコミなどで多く取り上げられたこともあり、パワーハラスメントの概念は広く一般に浸透することとなった。東京都は、1995年から「職場において、地位や人間関係で弱い立場の労働者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることにより、結果として労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」という定義のもとで労働相談を受け付けている。2009年の金子雅臣の『パワーハラスメント なぜ起こる? どう防ぐ?』 による定義は、「職場において、地位や人間関係で弱い立場の相手に対して、繰り返し精神的又は身体的苦痛を与えることにより、結果として働く人たちの権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」で、ハラスメントであるか否かの判断基準は、「執拗に繰り返されることが基本」であり、しかし「一回限りでも、相手に与える衝撃の大きさによって」ハラスメントとみなされる。厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」(2012年)は、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう。※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる」という定義を提案した。厚生労働省は、これ以外のパワハラにも十分注意すべきであるとし、2012年1月にパワーハラスメントの典型例を示した。パワーハラスメントの定義・指針を策定した9県は、岩手(2005年)、大分(2006年)、佐賀(2007年)、熊本(2007年)、富山(2008年)、兵庫(2009年)、和歌山(2009年)、静岡(人権啓発センター:2009年、人権問題に関する調査・職場における人権問題)、沖縄県教育委員会(ホームページでもパワハラ定義を公開2010年)。岩手、大分、佐賀、熊本の4県は、「コンプライアンス基本方針」や、セクハラも含む「ハラスメント要綱」などの一部に盛り込んだ。厚生労働省指定法人21世紀職業財団がなどパワハラの類型を提示し、啓発ポスターなどに取り入れ、厚生労働省の定義をより具体化している。パワハラを受けたことが原因で、さらに無視や仲間はずれなどの職場いじめに発展する場合もある。叱責、教育や研修という名目で行われる場合ならば、いかなる方法をとっても許されるのではなく、物理的もしくは精神的な暴力手段や非合理的手段は許されない。例えば、正当な叱責の場合でも、大声で怒鳴りつける、多数の面前での見せしめ・懲罰的な「公開叱責」や人格否定など方法を間違えば違法性が生ずる。パワーハラスメント行為が刑法の規定に触れる場合には、その行為者は刑法によって処罰される可能性もある。たとえば、「Y1から職場に戻るよう言われた際に、同人や作業長ら(に)……腕をつかんで引き戻されるなどし」「右上腕内部に皮下出血」を生じた場合は傷害罪(刑法204条)に該たるし、「全従業員の面前で……横領事件(があったこと)を告げた上、(被害者)らに対し、『二年間も横領が続くことは誰かが協力しないとできないことだ。』、『(被害者)ら二人は関与しないはずはない。』、『正直に言うならば許してやる。』などと告げ」れば名誉毀損罪(刑法230条)に該たりうる。同様に、事実を摘示せずに侮辱すれば侮辱罪(刑法231条)に該当しうるし、と、パワーハラスメント罪というものがない限りは、刑法の適用においてはパワーハラスメント以外のケースと同じ扱いを受けることになる。パワーハラスメントによって被害者に損害が生じた場合には、行為者は民法上の不法行為責任(民法709条)により財産上の損害を賠償する責めを負い、また710条により慰謝料を支払う義務を負う。また、パワーハラスメントが事業の執行に関してなされたものであれば、民法715条によって使用者もこの不法行為の損害賠償責任を負う。さらに、使用者がパワーハラスメントが行われていることを認識していたにもかかわらずこれを防止する措置をとらずに放置していたという事情がある場合には、使用者は雇用契約に基づく安全配慮義務違反による債務不履行責任(民法415条)を負い損害を賠償する義務を負う。つまり、民事の場合も、パワーハラスメント以外のケースとそう変わるものではない。
出典:wikipedia
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