


『華麗なる追跡 THE CHASER』(かれいなるついせき ザ・チェイサー)は、1989年10月7日、日本テレビ系で20:00〜22:00に放送されたスペシャルドラマ。松田優作最後の主演作品で、遺作である。当初は、「世界一速い女」フローレンス・ジョイナー(ソウルオリンピック金メダリスト)と「世界で一番速く走っている様に見せられる男」松田優作の共演というコンセプトであったが、この頃松田は膀胱癌が腰まで進行しており、思うように走れなくなっていたため、脚本や演出に手を加え、かなり改変している。成田発バンコク行きの旅客機AT702便がバンコクの南のシャム湾上空で爆発。警視庁公安部外事第二課に所属する兼城(松田優作)とその同僚たち(小林稔侍ら)は、旅客機を爆破したと思われるタイ人の犯人、タムが宿泊するホテルに乗り込む。しかしタムはホテルの浴室で既に死亡。室内に残されていたタイ語で記されたメモには、AT702便に時限爆弾をしかけ、目的を達成。その目的とは、ベトナムの外務大臣の殺害。兼城は、単身タイに渡り、調査を試みるが、収穫はなく、その間にもタイ政府が正式に犯人を発表。解決したかに思われたが、タムの犯行に疑問がのこる兼城。その夜、タムの犯行について聞く為、ゲイル(チャック・ウィルソン)と、クラブで待ち合わせる。そこで兼城はティファニー・ロバーツ(フローレンス・ジョイナー)に出会う。ティファニーもゲイルから事故について聞くために来ていた。ティファニーは、息子であるクリスを最後に見たのは、アメリカからタイに一人で行く時に空港で見送ったのが最後だったという。それだけではなく、その後タムはクリスをタイで出迎え、タムとクリス二人でティファニーに会いに来る予定だった、そんなタムが犯人なわけはない、タムはそんなことをしないと言う。その後ティファニーは兼城に連れられ、兼城たちがキャンプを張っている場所へ行く。息子の死を思い、浮かない様子のティファニー。一方兼城は犯行に及んだタムが替え玉のベトナム人、ライ・チーフォンという人物であったこと、本物のタムが犯人グループに拉致され、ホテルで殺されたことを知り、情報をつかんでいく。その間にティファニーも兼城と芳蘭(沢たまき)に励まされ、次第に笑顔を取り戻していく。その後兼城は聞き込みでつかんだ情報を報告。そこでかかわりのあると思われるアメリカ人ジャーナリスト、トニー・ブラウンが出てくる。ティファニーは単身アメリカに戻る。兼城のもとにもタムの潜伏先が分かったと報告が来て、兼城はタイへ渡る。リー(芥正彦)に護衛を頼み、タムが潜伏している場所へ向かう。しかしリーは兼城を裏切り、リーは犯人グループに射殺される。肝心のライもすでに殺されていた。犯人グループの襲撃を切り抜け、兼城は重要な証人としてタイに残る。証人が消えてしまったと思われたが、元FBIの捜査官フランク・エドワーズが出てくる。また、上院議員アーサー・ケインの何らかの証拠をトニー・ブラウンがつかんでいたこと、クリスと同じAT702便に乗っていたことも判明。そしてその情報を報告した俊平(香川照之)は、犯人グループに誘い出され、重傷を負い、ティファニーの部屋を訪ねたホテルマンとヘンリー(マイク真木)も、爆発に巻き込まれる。兼城は危険を感じ、すぐ日本に戻って来いとティファニーに言う。日本に戻った兼城はエドワーズの一味に襲われるが、山下(山西道広ら)に助けられる。続いてティファニーも日本に戻ってくる。兼城とティファニーは、機内でクリスと知り合った女の子、川口愛に会いに行く。クリスと知り合った愛は、クリスからぬいぐるみをもらっていた。その中にはマイクロフィルムが入っていた。アーサー・ケインと、アラブの武器商人ラミールとの密会を撮ったものだった。黒幕はケインと判明。ブラウンは、アメリカから成田へ行く飛行機で、クリスの隣りに座った際、密かにマイクロフィルムをぬいぐるみの中に入れてたのだ。次第に明らかになっていくが、エドワーズの一味がマイクロフィルムと引き換えに愛を誘拐。兼城とティファニーは取引場所に向かう。撃ち合いの末、愛を救出したかと思ったら、ゲイルが現れる。航空機を爆破し、タムの身代わりを殺したのはケインの一派のアメリカ人のエドワーズらで、ゲイルは有力な大統領候補であるアメリカの上院議員ケインに頼まれ、エドワーズの一味を使って重要な証人である俊平をガス爆発に巻き込み、秘密を知った兼城とティファニーを殺そうとしたことが判明。兼城はゲイルと対決し、ゲイルを射殺する。その後ゲイルの死は飛行機事故と片付けられ、エドワーズらの死体はCIAが片付け、愛を誘拐したことも警視庁がもみ消したりと、すべてがうやむやに終わったが、新聞では、ケインとラミールの密会の写真が公開され、これによりケインの政治生命が危うくなったと載っていた。そして兼城はティファニーを成田空港まで見送ろうとするが、ティファニーは愛が見送りに来るから断る。ティファニーは帰国のため成田空港に行く。そこで、クリスからもらったぬいぐるみを愛からもらい、エスカレーターを降りていくが、見上げるとそこには兼城がいた。最後にティファニーは兼城に"call me"と言うのだった。
出典:wikipedia
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