ズワイガニ(楚蟹、学名 "Chionoecetes opilio") は、十脚目ケセンガニ科(旧分類ではクモガニ科)に分類されるカニ。深海に生息する大型のカニで、重要な食用種でもある。ベニズワイガニ (紅楚蟹) 等の近縁種についても本項で記載する。体色は全身が暗赤色をしている。甲は膨らみがある三角形、鉗脚(第一胸脚)と第5胸脚は短いが第2 - 4胸脚が長く、大きなオスが脚を広げると70cmほどになる。オスの甲幅は最大14cmほどだが、メスはその半分くらいの大きさである。メスは性成熟すると脱皮を止め、短期間に産卵、抱卵、幼生放出を繰り返すので成長しなくなる。日本産の個体群は歩脚の長節が長く、亜種"C. opilio elongatus" Rathbun, 1924 として分類する見解もある。ズワイガニの「ズワイ」とは、細い木の枝のことを指す古語「楚(すわえ、すはえ)」が訛ったものとされている。漢字では「津和井蟹」とも書かれる。オスとメスの大きさがあまりに違うため、漁獲される多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられている。エチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザ(タイザガニ)などはオスを指し、メガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコ(セイコガニ)、クロコなどはメスを指す。なお本種を記載した"Fabricius"は、オットー・ファブリシウス(Otto Fabricius)であり、動物分類学の基礎を築いたことで知られるヨハン・クリスチャン・ファブリシウス(Johan Christian Fabricius)とは別人である。記載者まで表記する際は"O. Fabricius"として正確を期すことが多い。山口県以北の日本海と、茨城県以北からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布する。水深50 - 1,200メートルほどの砂泥底に生息するが、おもな生息域は水深200 - 600メートルほどの深海で、水温は0 - 3度程度の水域を好む。食性は雑食性だが肉食性が強く、貝類や多毛類などを捕食する。また、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類などの屍骸、脱皮した自分自身の殻も食べる。産まれてから親ガニになるまでに約10年を要し、雄は11齢で漁獲許諾サイズの甲羅幅90mmを超える。最終齢からは4年程度生存する。最終齢までは脱皮すると損傷した足は再生する。産卵期は、初産6 - 7月、経産2 - 4月。深海域に生息するため、脱皮、季節移動、寿命など生態の解明は十分におこなわれていないが、オホーツク海での調査では、脱皮は春で季節により生息域が変化し、雄雌で生息水深が異なっていた。交尾後産卵された卵は、抱卵され(腹節の内面にある腹肢に付着)1年から1年半経過すると、孵化しプレゾエアとなり放出される。放出後、親は短期間で再び産卵するとされている。従って、成熟した雌は生涯の殆どの期間、卵を抱いている。また、1回目の交尾のときの精子は、雌の体内にある貯精嚢(受精嚢)に保存され少しずつ使用される。飼育実験によると、ゾエア幼生からメガロパ幼生期の適正飼育水温は9 - 14度程度、100日から120日で稚ガニとなり着底する。2003年に若狭湾で行われた調査によれば、雌ガニは66,000粒程度の卵を抱き、放出する。放出数は高齢のカニほど減少する事が報告されている。TAC制度(漁獲可能量制度)が導入され海域毎の漁獲量の上限が定められている。日本海での漁は沖合底びき網漁が主体となっているが、かにかご漁、刺し網や板びき網漁も行われている。資源保護の為、省令により海域毎に異なる制限がされている。例えば、富山県以西の海域と新潟県以北の海域では異なる漁獲規制が行われていて、漁期以外の季節にカレイ等の底引き網漁で混獲されてしまうが、日本の漁船での捕獲は禁じられているため海に再放流している。しかし「生存率は30パーセント台とされ実態は死んだカニの投棄に近い」との指摘があったが、京都府農林水産技術センターらが2009年から2010年に行った生存率の調査では、80%程度の生存率であった。この様な状態を解決すべく、混獲されるカニを減らすための技術開発も行われている。資源回復を目指し1964年頃より福井県、兵庫県などで、放流用種苗の稚ガニの生産技術確立すべく飼育研究が行われている。食用として重要なカニで、冬になると生息地の沿岸で多量に漁獲される。2002年度(平成14年)の漁獲量国内で漁獲されるだけではなくロシア・アメリカ合衆国(特にアラスカ州)・カナダ等からも輸入されている。冬の味覚として人気が高い。体色は暗赤色だが、熱を加えると赤くなる。塩茹でや蒸しガニ、カニ鍋(カニスキ)などで食べられ、新鮮なものは刺身や寿司種(寿司ネタ)としても利用されるほか、缶詰などの原料にもなる。上品で甘みがある肉とこってりした味の中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)も食用にする。甲羅によく付着している黒いつぶつぶはカニビルの卵で、これが付着しているカニは「脱皮後の時間が長いことを示しており、身入りが良い」証拠とされることもある。しかしズワイガニの脱皮時期とズワイガニの漁業解禁期間に数ヶ月の期間が開くこともあり、その間にライフサイクルの短いカニビルはすぐ産卵してしまうため、あまり信頼性のある目安にはならない。ズワイガニは冬の味覚の王様といわれるほど人気が高い食材であり、関西地方では、旅行代理店などが温泉地と結びつけたツアーを商品として扱っている。北海道・北近畿・北陸・山陰にはズワイガニ需要によって発展した温泉地も多い。これらの温泉地は冬場に最も集客が見込める。一部の地域の漁港ではズワイガニをブランド化する動きもあり、脚に色違いのタグを取り付けるなど販売に力をいれている。しかし、ブランド化はズワイガニとは異なるカニであるとの誤解を消費者に与える場合がある。地域ブランドの一例
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。