MSX2+(エム・エス・エックス・ツープラス)とはMSX規格の一つで、1988年に発表された。MSX1からMSX2への大幅な変更と異なり、MSX2+での変更点は、VDP変更による表示機能の追加や一部オプション規格の標準化に留まっている。MSX2+では、従来のV9938に対し上位互換のV9958を搭載した。このことにより、多色表示である自然画モードと横方向のピクセル単位のスクロール機能が追加された。この二点が、MSX2+での規格上の最大の変更点と追加機能ともいえる。自然画モードは、同じVRAM容量で扱える色の分解能を増加させた圧縮画像モードで、色相を4ドット単位にする(輝度は1ドット単位)、青の色相値を省く(赤と緑の色相から求める)ことでデータを圧縮し、SCREEN8と同じ解像度で論理上の発色数を19,268色に上げている。その制約から自然画以外では4ドット単位でブロック歪みが発生する、RGB値で色が指定できないなどの扱いづらさがあり、市販アプリケーションでも特典映像でスキャナーの取り込み画像を表示する程度の使い方しかされなかった。横スクロール機能も、ハードウェアの仕様を利用しソフトウェア的な工夫を施す事により、制限や制約が付くものの、同様の動作をMSX2で実現するものも現れた。また、MSX2+とは機種判別を行い、MSX2+では、横スクロール機能を用いるようになっているものもあった。V9958もV9938同様、処理量の軽減や、高速化などは行われていないため、ビットマップモードでは動きの多いソフトウェアを作成しづらいという状況も変わりは無く、結果として、MSX2+は、MSX2に対して大幅なアドバンテージを有していたとは言えなかった。MSX2ではオプション扱いだった漢字ROMが標準搭載とされた。なお、MSXの漢字ROMはフォントの形状は規定しておらず、特定の文字コード以外は、各社該当する文字が同一であれば、フォントそのものは同一であることを要求していない。また、詳細は各社でまちまちだったフロッピーディスク・ドライブ(MSX DISK-BASIC)の規格や内部スロット配置の標準化された。また、オプション規格として、MSX-JE、MSX-MUSICが定義されている。ただし、実際に発売されたMSX2+機の多くは、MSX2との差別化のためか、これらのオプションの規格も本体に装備している。VDP以外はオプションとして規格に対応するハードウェアが発売されていたものが多い。結果的にMSX2も、ほぼMSX2+相当の機能にすることが可能になっていた。これらの状況から、市販のMSX用ソフトウェアはMSX2+発売以降も、「要・漢字ROM」等の但し書き付きのMSX2対応製品がメインとなり続けた。MSX2+専用ソフトが発売されることは少なく、MSX2用ソフトウェアの一部が、機種判別の上、内部的に最適化された処理がされることがあるという形になっていた。MSX2までの実装では、裏RAMに起動可能なROMイメージをコピーすると起動時にそのイメージを起動可能なROMとして認識し、自動的にそれが起動する可能性があった。通常DRAMは揮発型の記憶装置であり、電源断と共に、有意な値は持たなくなることが期待されていたが、現実には、メインメモリーのチップのCMOS化と、バイパスコンデンサーに蓄積された電力などの要因により内容が保持されてしまい、電源を切っても5分近くその状態が維持されてしまうような状況が発生していた。そのためMSX2+では、起動時にメインメモリーのROM識別IDに該当するエリアをクリアするように変更されている。システムの起動画面は、左右から横スクロールで大きいMSXロゴが現れ、メインメモリーの搭載容量がKB表記で表示された。市販された製品は64KB搭載のものだけだったが、拡張すればその分も加えての表示となる。MSX2では起動時に消去しなかったSCREEN5のページ1は、起動時のスクロール処理に使用されるため実装の都合上、クリアされるという挙動の変化も存在している。また、平仮名など一部の8ドットフォントを変更し、SCREEN0で横2ドットが切れて読み辛くなる問題が改善されている。追加された漢字モードでは、シフトJISコードを使用するため、MSX固有のひらがなやグラフィック文字などのMSXフォントは文字化けする。MSX2+規格に参入したのは、ソニー、三洋電機、松下電器産業の3社だけとなった。ヤマハはVDPとFM音源、東芝はZ80カスタムCPU(MSX-ENGINE2)などの部品を提供するのみになった。発売された機種は全てキーボード一体型となり、セパレートタイプのマシンは発売されなかった。また、規格の上では必須ではないが大半の機種でFDDを1〜2基搭載していたことから、供給ソフトのメディアの主流は完全にROMから価格の安いFDへと置き換わった。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。