


エタネルセプト(Etanercept、商品名:エンブレル)とは、分子標的治療薬の一つで関節リウマチなどの膠原病・自己免疫疾患の治療薬である。可溶性炎症性サイトカインの一つである腫瘍壊死因子(TNF)に結合して作用を阻害する。日本で関節リウマチ、若年性関節リウマチの治療薬として承認されている他、海外では、尋常性乾癬、強直性脊椎炎の治療にも用いられる。TNF-αは多くの臓器での炎症(免疫)反応で常連のサイトカインである。自己免疫疾患は免疫反応の過剰活性化が原因であり、エタネルセプトはTNF-αを阻害してこれらの疾患を治療出来る。エタネルセプトはから合成された融合蛋白質である。TNF受容体と免疫グロブリンIgG1の定常部位から構成されている。最初にTNFαと結合する可溶性のヒトでの遺伝子配列が特定され、次にIgG1末端の領域の遺伝子配列が決定された。次いで両遺伝子が結合され、それを翻訳して生成した融合蛋白質がエタネルセプトであり、TNF受容体2とIgG1 Fc領域の機能を保持している。最初にプロトタイプの融合蛋白質が合成されたのは1990年代前半で、in vivo での抗TNF活性が非常に高く、安定性も極めて高かった。その蛋白質に関する特許が取得され、2002年に製薬企業に売却された。エタネルセプトは分子量150kDaの大きな蛋白質で、過剰なTNFαが関与すると思われる自己免疫疾患―強直性脊椎炎や若年性関節リウマチ、関節リウマチ等―でTNFαに結合してその働きを奪い、炎症を抑制する。日本においては、関節リウマチを適応症としている。同じカテゴリーであるインフリキシマブとは異なり、メソトレキセートとの併用は必ずしも必要とはされていない。米国での適応は、中等度〜重度の関節リウマチ、中等度〜重度の若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、中等度〜重度の乾癬である。免疫抑制剤である為、特に結核等の感染症のリスクが高まる。重大な副作用として、が添付文書に記載されている。2008年5月、米国ではエタネルセプトが関係する重篤な感染症の発生が相次ぎ、食品医薬品局から添付文書への黒枠警告の設置が命じられた。潜在性結核感染症の再発や不顕性B型肝炎ウイルスの再活性化等の重篤な感染症(敗血症や死亡例を含む)がエタネルセプトの使用後に発生していた。エタネルセプト投与後のストロンギロイデス感染症の報告が有る。として腫瘍壊死因子TNFα/βの両方に結合し、TNF受容体へのシグナル伝達を阻害し、病勢を沈静化させる。TNFαはリンパ球とマクロファージという2種類の白血球が産生するサイトカインである。炎症部位へと白血球を遊走させ、分子レベルでの炎症応答を開始・増幅させる。エタネルセプトはその作用を遮断する事で、特に自己免疫疾患で、炎症応答を停止させる。TNF受容体には2つの型が知られている。1つは白血球表面に固定されており、白血球がTNFに反応して他のサイトカインを放出する際にそれを経由する。もう1つは"可溶性" で、TNFを不活性化し炎症反応を鈍らせる役割を持つ。更に、TNF受容体は全ての有核細胞の表面に発現している(ヒト赤血球は核を持たないのでTNF受容体を持たない)。エタネルセプトは自然に存在する可溶性TNF受容体を模倣し、自然の受容体よりも遥かに長い血中半減期を持ち、生物学的有効性が持続する。ヒト可溶性TNF受容体(75kDa)とIgG1のFc領域を遺伝子組換えにより結合させたリコンビナント融合蛋白であり、二量体である。エタネルセプトはTNFαに対するモノクローナル抗体であるインフリキシマブの直ぐ後(1998年)に発売された。エタネルセプトは二量体であり、二量体である事がエタネルセプトの有効性に必要である。初期の研究では単量体を用いていたが、充分な効果は得られなかった。エタネルセプトは多くの疾患の治療薬として研究中であり、その中には血管炎症候群が含まれるが、多発血管炎性肉芽腫症には無効であった。
出典:wikipedia
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