ヨーロッパヌマガメ("Emys orbicularis")は、爬虫綱カメ目ヌマガメ科ヨーロッパヌマガメ属に分類されるカメ。ヨーロッパヌマガメ属の模式種。イラク北部、キプロス、シリア北部に分布する可能性もあり。イギリス(イングランド)、エストニア、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ベルギー、ドイツ北部、フランス北東部、ポーランド北部、ルクセンブルク絶滅した分布域でも人為的に移入・定着したと考えられている個体が発見された地域もある。最大甲長23センチメートル。オスよりもメスの方が大型になり、オスは最大甲長20センチメートル。背甲はやや扁平か、ややドーム状に盛り上がる。背甲は上から見ると第8-9縁甲板で最も幅が広くなる卵型。種小名"orbicularis"は「円形、丸い」の意で、上から見た背甲に由来する。背甲の表面に筋状の盛り上がり(キール)がなく、成長輪も不明瞭。縁甲板の外縁は鋸状に尖らない。背甲と腹甲の継ぎ目(橋)は甲板では繋がらず靭帯で繋がり、腋下甲板や鼠蹊甲板がない。卵は長径3-3.9センチメートル、短径1.8-2.2センチメートルで、殻は白い皮革状。孵化直後の幼体は椎甲板にあまり発達しないキールがあり、肋甲板にもあまり発達しないキールがある個体もいる。背甲や頭部の明色斑がないか不明瞭。オスは腹甲の中央部より後方が浅く凹む。尾は太くて長く、尾をまっすぐに伸ばした状態では総排出口全体が背甲の外縁よりも外側にある。上顎を覆う角質(嘴)の色彩が黄褐色で、暗色の筋模様が入る。メスは腹甲の中央部より後方が凹まないかわずかに盛り上がる。尾がより細くて短く、尾をまっすぐに伸ばしても総排泄口の一部が背甲の外縁よりも内側にある。属名"Emys"は「陸棲もしくは淡水棲のカメ」の意。形態やミトコンドリアのシトクロムbやリボソームRNAなどの分子系統学的解析から、ブチイシガメ属やブランディングガメ属と単系統群を形成すると推定されている。シシリーヌマガメを本種の亜種とする説もある。14亜種に分ける説もあったが、分布の境界線や形態の差異が不明瞭なこと、中間型の個体が多いことなどから亜種の有効性を疑問視する説もある。そのため亜種クラヌマガメ"E. o. iberica"(カフカース)や亜種アメイロヌマガメ"E. o. luteofusca"(アナトリア中南部)が亜種ペルシャヌマガメ、亜種コルキスヌマガメ"E. o. colchica"(黒海東岸部)が基亜種、亜種"E. o. hispanica"(スペイン西部、ポルトガル)が亜種オプストヌマガメのシノニムとされる。底質が砂や泥で水生植物の繁茂した流れの緩やかな河川や湖、池、沼地、湿原、水路などに生息し、汽水域に生息する地域もある。昼行性。夏季は夜行性傾向が強くなる。日光浴中に危険を感じると水中に逃げ込み、水中の底質に潜り込んだり水辺の茂みに上陸して逃げる。食性は動物食傾向の強い雑食で、昆虫、甲殻類、ミミズ、魚類、両生類やその幼生、動物の死骸、植物の花、果実、藻類などを食べる。幼体は動物食だが、成長に伴い植物食傾向が強くなる。繁殖形態は卵生。主に3-5月に交尾。主に5-6月に1回に3-16個の卵を年に1回(地域によっては4-5年に1回しか繁殖しない)だけ産む。卵は主に60-70日で孵化する。発生時の温度により性別が決定(温度依存性決定)し、24-28℃ではオス、30℃ではほとんどメス、32℃ではメスのみが産まれる。生息地では食用とされることもあった。開発による生息地の破壊、食用やペット用の採集、人為的に移入された動物(アカミミガメなど)との競合および植物による植生の変化などにより生息数は減少している。多くの生息地で保護の対象とされている。ペットとして飼育されることがあり、日本にも輸入されている。主に基亜種が流通する。亜種に細分化されたのが近年であることや、産地不明な個体が多くまた同定も難しいことから亜種を区別せずに流通することが多かった。アクアテラリウムで飼育される。陸場に上がることを好むため、広い陸場を設置する。飼育下では配合飼料にも餌付く。
出典:wikipedia
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