列車愛称(れっしゃあいしょう)とは、列車に付けられる愛称のことである。似たものに車両愛称があるが、車両愛称が鉄道車両そのものやそのグループ(形式)を象徴する物として付けられるのに対し、列車愛称はあくまで列車(国土交通省の鉄道に関する技術上の基準を定める省令では「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両」のこと。運行されるに当たっての呼称といえる)につけられるところが異なる。類似のものとして、座席指定などの高速バスなどのバスにも、列車と同様の愛称名が付けられることがある。本項ではバスの愛称についても一部記述する。列車愛称が付けられる理由はさまざまであるが、大体以下のように集約できる。日本における列車愛称の由来はさまざまであるが、大体下記のように分類できる。沿線にちなんだものが用いられるのが主流である。基本的には、運行会社の裁量に任せられることから関係者以外では伺い知ることが出来ない。しかし、旧国鉄が命名した列車名では「かつて国鉄では列車名の命名には鉄道管理局を2局以上跨って走行する列車と基本的に支社・管理局内のみの走行する列車とで、命名基準・命名者が決められていた。但し規定は存在しないが暗黙の決めごとであった。」とされ、1.読み易く発音し易い事、2.文字にして書き易く短くて簡単な事、3.覚え易く他の愛称と紛らわしくない事の三点に留意する事としていた。ただし、新幹線では日本の代表的な名称・交通の王者を象徴する斬新な物を、特別急行列車では鳥や花ないしは自然現象に由来するもの、夜行列車・寝台列車では天体に依拠するもの、急行列車では運転区間に関係する有名な山・川・海・地名・史跡や地方の特色ある自然現象が用いられ、おおむね東京から見て下り方向の目的地に関連した物があてがわれる事例が多かった。この点については、下記も参照されたい。私鉄の場合、沿線の代表する景観などや主に下り方向の目的地に関連した物が使用される。また列車の新設に際して一般公募で名称を募集する事例があるが、この場合必ずしも得票数が1位の候補が採用されるわけではない。たとえば、『北斗星』の公募第1位は『北海』であったとされる。東海道新幹線の列車愛称も「ひかり」は1位であったが、「こだま」は10位であった。東北新幹線開通以前に常磐線を経由して上野と青森を結んでいた特急に使用されていた『みちのく』は、同新幹線開業及びその延伸前に何度か行われた愛称公募で常に得票数第1位になっているが、2016年現在に至るもどこにも使用されていない。なお、一般公募で高い応募数を得ながら採用されない愛称として『いなづま』という名前がある。東海道本線特急に使われていた『ひびき』は東海道新幹線の第三の愛称候補に挙げられることもあったが後に騒音・振動問題が取りざたされるようになってからは沙汰やみとなり、東海道線夜行急行に使われていた『すばる』は特定ブランドのイメージが一般に定着するようになってからは使われていない。また、雪に関連する名前も応募者の多くが豪雪地帯に暮らす人々のつらさが理解出来ないと解釈され運行地域での理解が得られないため、余り採用されないとされる。ただし、それでも定期列車として「しらゆき」・『ゆきぐに』という事例があり、またいわゆるスキー臨時列車では、『新雪』・『信州銀嶺』や『シュプール』など広く採用された。ちなみに「はやて」も「はやて(疾風)」が農作物に被害をもたらす風や疫病の異名でもあるためといわれこの例に近かったが、2002年の東北新幹線八戸延伸に際して東京駅 - 八戸駅間直通列車の名称で使用されることとなった。また、著名の場所・物であるにもかかわらず、語呂・語感が悪いなどの理由で採用されなかった愛称も存在するといわれる。「日本国鉄の列車の名前は歴代すべて大和言葉でつけられてきた」(阿川弘之/作家)逆に列車愛称の由来によっては複数の地域で用いられる事例もある。たとえば、「くろしお」は紀勢本線特急列車の愛称として固定する以前はこちらを見れば判るように四国・房総半島・紀勢本線の3箇所で用いられたとされる。しかし、後述するが1968年実施の国鉄ダイヤ改正により、座席指定席管理システムであるマルスシステムの拡充の障害となることからこういった事例は解消された。また、「しおかぜ」や『いそかぜ』の様に当初は海水浴臨時列車として使用され、定期列車の初例として山陽本線特急列車から前者は予讃(本)線特急列車→瀬戸大橋線直通予讃線エル特急、後者は山陰対九州連絡特急列車となった事例もある。JR化以降でこの事例は「きらめき」が著名である。この列車の場合、当初は米原駅 - 金沢駅間特急列車として使用されたが、同列車が廃止された後鹿児島本線門司港駅・小倉駅 - 博多駅間を運行したホームライナーなどを格上げ統合したいわゆる通勤特急列車群の愛称で使用している。また、公募による列車愛称選定の結果として全く運行路線区にゆかりがないものの、著名であった列車名が復活する形になる場合もある。この例での近例として「白鳥」が津軽海峡線直通新幹線接続特急列車の愛称となった例がある。この場合、以前著名な列車としては、日本海縦貫線特急列車であり、この列車の場合では運行区間で重複する部分が新青森駅〜青森駅のみとなる。また。九州方面の寝台特急列車で使用されていた「はやぶさ」が東北新幹線新青森駅乗り入れ時のE5系車両使用の最速達列車の愛称として復活した。列車に付けられる愛称の中には鉄道事業者が公式に定めたものではなく、利用者や鉄道ファンの間で非公式に付けられたものが定着したものもある。たとえば、現在でこそ「ムーンライトながら」という正式な愛称があるものの、以前は特に愛称がつけられていなかった東海道本線東京駅 - 大垣駅間で運行する夜行普通列車は、“大垣夜行”と呼ばれていた。国鉄では指定席車両を連結したもの以外で定期の普通列車・快速列車に愛称を付けることはまれであったため、利用者が列車を指す際に便宜上用いたものが根付いたと見られている。同じように紀勢本線のそれは“太公望列車・新宮夜行”、中央本線のそれは“山男列車・山岳夜行・上諏訪夜行”などと呼ばれていた。また国鉄本社が正式に認めた愛称のほかに支局が独自に愛称を付けたものの当局側で認められなかったため、改称を余儀なくされた例もある。たとえば、広島鉄道管理局では東京駅 - 広島駅間を運行する急行列車に一時“ひばり”の愛称を公募で付けていたが、前述のように鳥類の愛称は特急列車に付けるのが原則となっていたため後に「安芸」と改称させられた。近い例として、大阪鉄道管理局が東京駅 - 大阪駅間を運行する夜行急行列車のうち1往復に「流星」の愛称を与えたが、これは後に「彗星」が正式な名称となっている。ただし列車番号による解釈の相違により意見が異なり、同時に大阪鉄道管理局が与えた「明星」がこれにあたるともされている。列車愛称は主に旅客列車に対して付けられるが、貨物列車にも存在する。日本における列車愛称は、戦前の1929年(昭和4年)9月に鉄道省が公募の結果に基き、東京駅 - 下関駅間を運行する特急列車2往復にそれぞれ「富士(ふじ)」・「櫻(さくら)」という愛称を与えたことが始まりとされる。戦中は一時中断したが、国鉄においては戦後の1949年(昭和24年)に特急・急行・準急それぞれで「へいわ」・「銀河」・「いでゆ」といった列車愛称を復活させ、その後国鉄・私鉄ともに日本全国へ広まっていった。私鉄の方でも小田急電鉄や東武鉄道などでは、同じような理由で多種の愛称が存在していた。それは、小田急電鉄では現在の「はこね」に相当する小田原線系統で「あしのこ」・「明星」・「あしがら」・「さがみ」…、東武鉄道では現在の「きぬ」・「けごん」に相当する日光線系統で「さち」・「きりふり」・「おじか」・「かわじ」…、といった具合であった。しかし、以下の時期に列車愛称の整理が行われた。またかつては近畿日本鉄道(近鉄特急)、名古屋鉄道にもあったが、近鉄は1960年1月20日改正で、名鉄は2000年に廃止されている(なお、名古屋鉄道のミュースカイは列車種別である)。なお名古屋鉄道ではパノラマカー(7000系列の車両)が特急として運行していた時代には列車の行先が列車愛称となっていた。たとえば、内海ゆき特急の場合は『内海○○号』という具合になっていた。列車愛称の設定されている鉄道会社は次のとおりである。(一例)日本国外においても列車愛称は存在する。その扱いは日本と同様のものから、愛称が列車種別を示す韓国や台湾のような例など、国によって様々である。ただし、近年は特にヨーロッパにおいては高速列車の登場や、それに伴う鉄道ダイヤの合理化などにより、個別の列車愛称は廃れつつある。その一方でヨーロッパおよびアメリカでは機関車や客車1両ごとに車両愛称を付ける習慣は根強く残っており、後述するイタリアの例のように車両愛称から列車愛称になった名もある。こうした感覚は日本で言えば船舶に対する命名に似ているといえる。日本では鉄道創業期に機関車ごとに愛称を付けた事例はあったが、車両増加や適当な愛称の払底に伴い廃れていった。現在機関車や、一般旅客向けの個々の車両に命名する例はほとんど見られないが、保有する車両の少ない流鉄のような民鉄や、旧国鉄およびJRではお座敷列車などのジョイフルトレインに類例がある。ヨーロッパでも昔から優等列車にはおおむね愛称が付けられていた。日本と同様に、地名や自然現象、天体の名前が多いが、日本に比べて人名が多いのが特徴である。Friedrich Schiller(「フリードリヒ・シラー」)、Heinrich Heine(「ハインリヒ・ハイネ」)、Erasmus(「エラスムス」)、Rembrandt(「レンブラント」)、Goethe(「ゲーテ」)、Rubens(「ルーベンス」)など、日本人にも良く知られたこれらの著名人の名前は、いずれもTEE列車の愛称として使用されたもので、現在もユーロシティ(EC)などに引き継がれているものがある。伝統的な長距離夜行列車は末尾にExpressの語を入れることが多く、その代表例がOrient Express「オリエント急行」である。ドイツもまた人名の採用が多く、具体的にはICEの多くの愛称に、連絡する都市にゆかりのある人物名が採用されている。ただし、近年は車両愛称の命名が主で、ICEの列車愛称は国際列車を除き廃止された。かつては作曲家や画家、詩人や文豪といった芸術家や、芸術家の遺した作品名やその登場人物名の採用がほとんどだったが、近年は科学者や君主を含む政治家、慈善事業家、社会活動家の名なども採用されている。たとえば、ドイツには以前Wilhelm Röntgen(「ヴィルヘルム・レントゲン」)というICEが運転されていた。これは、大惨事となった1998年のICE脱線転覆事故(エシェデ事故)の列車に付けられていた愛称でもある。また政治家というよりは富豪に過ぎないJakob Fugger(「ヤーコブ・フッガー」)といったICEも設定されていた。人名以外では、ラインの黄金伝説にちなんだ「ラインゴルト」といった愛称が有名である。鉄道発祥の地であるイギリスであるが、(「ロコモーションNo 1」)、(「キャッチミーフーキャン」、意訳すれば「鬼さんこちら」)、 (「LNERクラスA4蒸気機関車4468 マラード」)といった個々の機関車の愛称は著名だが、列車愛称で著名な例はそう多くなく、 (「フライング・スコッツマン」)があるぐらいである。近年ではユーロスターがイギリスを代表する国際列車となっている。フランスでは自然現象や天体の名前を採用したものが多く、Le Mistral(「ミストラル」)やL'Etoile du Nord(「エトワール・デュ・ノール」、北極星)があった。寝台車の車体色に由来するものとしては(「ル・トラン・ブルー」、「青列車」)がある。この青で統一された寝台列車は、日本のブルートレインの誕生にも影響を与えている。Jules Verne(「ジュール・ヴェルヌ」)など、ドイツ同様人名の採用もある程度見られる。TGV の列車愛称は ICE 同様国際列車を除いてないが、TGV用の個々の機関車にはそれぞれ愛称が付いている。イタリアの(セッテベロ、「settebello-denari」というトランプ・ゲームの役(切り札)。転じて“7人の美女”を表す)は、車両(ETR 300電車)の名前が列車の名前になった特殊な例である。ヨーロッパにおける列車愛称の変り種としては、ドイツのベルリン発着のICEにBlauer Engelという、ドイツ映画のタイトルを冠した列車が存在した。これは邦題は「嘆きの天使」として知られる。日本で言えば、文学作品から採用された「踊り子号」と近い発想である。また、ルーマニアには、1989年のルーマニア革命にちなんだ特急Timişoara 89(ティミショアラ89号)というものもある。ただし、ティミショアラはルーマニア革命のきっかけとなった都市の名前でもあり、都市名にちなんでいるとすればそれほど珍しいとは言えない。オーストリアでは列車愛称の命名権を競売しており、一例を挙げるとウィーン - インスブルック間といった幹線にはWesten Bayern Radio(「西バイエルンラジオ放送」)といった名前の列車が走っている。アジアの国々でも韓国、中国、台湾、マレーシア、インドなどで列車に愛称が用いられている。中国には、共産党軍の軍事行動を記念した「長征号」がある。韓国・台湾の場合、列車愛称は列車種別の区分を兼ねている。たとえば、JRの特別急行列車に相当するものとしては、韓国は「セマウル号」、台湾は「自強号」といった愛称が与えられるが、個々の運行区間ごとや運行時間帯などでの差異はない。インドには、ガンディーの「不殺生」を記念した「アヒムサ急行」がある。アメリカでも(エンパイア・ビルダー、「帝国建国者」の意味)、(20世紀特急)などといった愛称が存在する。アメリカの列車愛称は19世紀から存在し、日本の列車に愛称をつけるきっかけともなった。アメリカでは列車の愛称のほかに、車両や編成、路線の愛称的をつけることも多かった。なお、流線形車両を中心とした画期的な車両編成には、シカゴ北海岸線の(エレクトロ・ライナー)や、シカゴ・バーリントン・クインシー鉄道のZephyr(ゼファー、「西風」の意味)のように編成単位で愛称が与えられた。ちなみに、Zephyrについては、Zが頭文字となる語感や語彙から、"○○Zephyr"として派生した列車が存在する。これについては「ゼファー」と名が付く乗り物も参照されたい。列車の愛称名と同様の理由で、特に全席指定席の高速バスを中心に、バス便に対する愛称が付けられることが多い。特に、「ドリーム号」などJRのみどりの窓口で発売されるものには、マルスへの収録のために鉄道の列車同様に愛称が必要となり、JRの列車と同じ体系(例:「ドリームなごやX号」)を持っている。由来としては、目的地に由来したものよりは、願望やフィーリングが多い。JRバス以外の高速バスのように、JRのみどりの窓口で発売されないバスについては、必ずしも愛称名を持っていないか、個々のバス便ではなく、高速バス路線(事業)全体に対しての愛称名がある(例:「プリンセスロード」・「やまと」・「サラダエクスプレス」など)場合が多い。なお、全席指定席でない(事前予約を取らない)場合には、路線としての愛称(例:「つくば号」など)が付けられることが多い。高速バス以外にも一般の路線バスや地方のコミュニティバスにも愛称を付けているケースがある。特にレトロバスなどを使用している観光を目的とした路線には愛称が付けられているケースが多い。
出典:wikipedia
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