フィリッピ・コレクション (Sammlung Philippi) の収集品は、信仰、宗教、心霊といった世界の冠物である。フィリッピ・コレクションは、ある情報通信企業で役員を務める企業家で、 Saarbrücken出身のディーター・フィリッピ（Dieter Philippi）が収集するプライベート・コレクションである。コレクションは、 キリスト教（正教会・東方諸教会・カトリック教会・聖公会・プロテスタント・アナバプテスト・自由教会）、イスラム教、ユダヤ教、カオダイ教、神道、仏教、シク教、スーフィズム、その他の信仰共同体に発する冠物に焦点を当て、その数は、500点を上回る。それに加え、聖職者や教会の分野で見られる装身具が100点を超え、例えば、ローマ教皇の靴や手袋、パリウム（大司教用の肩衣）、カトリック高位聖職者が身に着ける胸の十字架、スータンの腕章、枢機卿のショール、その他、多数がある。さらに、コレクションは、胸飾りの紐（縒り紐）を52点を擁し、一部には、手間と時間を惜しまぬハンドクラフトの紐細工から製作されたものがある。 ローマカトリック教会で、ローマ教皇、枢機卿、司教、大修道院長といった人々が胸の十字架（ペクトラル）を身に装着するときは、こうした胸飾りの紐を使用する。コレクションは、現在のところ、公開展示は行われていないが、電話で事前連絡しておけば、興味を持った来訪者が見学できるよう、開館してもらえる。 コレクションの所在地は、 ドイツは ザールラント州、Kirkel（キルケル）の町にある。当初、こうした冠り物には、保護具としての機能があった。 歴史の経過につれ、これにシンボルとしての機能が加わっていく。 冠物は、人々の出自、地位、職業、所属、ヒエラルキーを識別するラベルとなったのである。 最後が、装飾品としての機能である。 宗教や聖職者関係の冠り物は、1つのグループとして、帽子の世界では、ささやかな一分野を形成する。 それぞれの組織などを代表する、あるいは、顕職にある人々が装着し、そうしたやんごとなき選ばれし少数者の帰属と地位を知らしめるのである。 その上、希少で高価、貴重な素材から仕立てたり、貴金属や宝石を加工したりで、装飾品としての機能を持たせた冠物も中にはある。 ただし、今日、装飾品としての機能は、二の次になっている。

出典:wikipedia