カリウム40 (Potassium-40) は天然カリウム中に少量存在するカリウムの同位体である。陽子数および中性子数共に奇数である奇奇核であるため、やや不安定で放射性同位体である。半減期は12.48億年。放射性崩壊では全体の89 %はベータ崩壊(β崩壊)によりCaとなる。その崩壊エネルギーは1.31107±0.00011 MeVである。11%は電子捕獲によりArになる。その崩壊エネルギーは1.50469±0.00019 MeVである。さらに、極一部(0.001%)はβ崩壊により陽電子を放出して、Arになる。天然カリウム中に0.0117 %の割合で存在し、カリウム1グラム当りの放射能強度は30.4 Bqである。カリウムは地殻の岩石中では主に長石の形で含まれるため、特に花崗岩中に高濃度で存在する。またカリウムは動植物の必須元素であり、体液や組織中に多量に存在する。このためカリウム40は内部被曝の最大の要因となっている。カリウム40の放射線エネルギーはトリウムやウランと比較して弱いが、カリウム自体の存在量が普遍的であるため、カリウム40の放射線はトリウムおよびウランと共に自然放射線量の約1/3にも達する。また岩石の放射発熱量はカリウム40、トリウムおよびウラン共に含有率が高い花崗岩が高い値を示し、地熱の主因となっている。特にカリウム40およびウラン235は半減期の関係で地質時代の過去において発熱量の主因となっていた。約46億年前の地球創世時には現在の約12倍のカリウム40が存在していた。自然界に存在するカリウム40は殆どが恒星内の元素合成で生成したものだが、極一部は、上空大気中でアルゴン40が宇宙線の作用を受けて生成する。地球のような岩石惑星にはカリウム40が多量に存在し、この放射性崩壊により生成した Ar が地球大気中には多量に蓄積している。現在の地球大気中の希ガス元素のうちアルゴンの存在量が圧倒的に多く、また太陽大気中のアルゴンの同位体比が Ar:84.2%, Ar:15.8%, Ar:0.026% に対し、地球大気中では Ar:0.3365%, Ar:0.0632%, Ar:99.6003%と、Ar が圧倒的に多くなっているのもこのためである。半減期が12.77億年のカリウム40を利用して岩石の生成年代を推定することが可能である。岩石が凝固した後、岩石中に含まれていたカリウム40は崩壊してCaおよびArを生成し、このうちCaはもともと岩石中に多量に存在するため崩壊により生成したものとの区別が不可能であり、崩壊により生成して封入されたArの比率を測定することにより岩石の年代を見積もる。この方法は「カリウム-アルゴン法」と呼ばれる。カリウムは、岩石に大量に含まれるほか、動植物にとって必要不可欠な元素である。食品中にもカリウムが多く含まれ、白米1kg中の放射能は33Bq、乾燥昆布は1600Bq/kg、納豆は200Bq/kg、豚ひれ肉は120Bq/kg、牛乳は45Bq/kgほどになる。外洋の海水中には1リットルあたり12.1Bqが含まれる。カリウムは水に溶けやすくナトリウムと似た性質を持ち、経口摂取するとすみやかに全身に広がる。生物学的半減期は30日とされる。人体が持つ放射能は、体重60kgの成人男子で約4000ベクレルであり、これによる年間の内部被曝線量は、0.17ミリシーベルト(mSv)となる。飲食で人体中に取り込まれるカリウム40の放射能は1日あたり約50ベクレルであるが、通常の生活においては体内の蓄積量が平衡量まで達しているので、人体中の余分のカリウムが排出されるのに伴って同等の量が吸収される。
出典:wikipedia
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