ハンス・ランダ大佐()は、2009年のクエンティン・タランティーノ監督の映画『イングロリアス・バスターズ』に登場する架空の人物で、同作品の重要な悪役のナチス・ドイツの親衛隊将校である。クリストフ・ヴァルツが演じた。ハンス・ランダは残忍で冷酷な性格に知性を兼ね揃えた人物で、観察眼や洞察力・推理力に優れており、フランスに隠れるユダヤ人を発見する能力が長けていることから「ユダヤ・ハンター」と呼ばれている。フランスの酪農家の家に匿われていたショシャナ(メラニー・ロラン)の家族を発見して殺害した。マルチリンガルで、母国語であるドイツ語の他、熟練度にバラ付きはあるものの、作中では英語、フランス語、イタリア語をあやつった。微笑みを浮かべ、ユーモアを交えた友好的な態度や物腰で人に接するが、その実、有無を言わせぬ威圧感がある。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の親衛隊大佐である。また左袖にSD徽章を着用していることから、国家保安本部(RSHA)の所属とわかる。宣伝相ゲッベルスの信頼も厚く、彼の映画のプレミア上映会の警備を任されていた。多くの功績にもかかわらず、ランダはナチスのイデオロギーに盲従しておらず、野心家で、映画終盤でチャンスが回ってくると、抜け目なく自身の優位性を保ちつつ、連合国側に寝返り、バスターズによるヒトラーやゲッベルスの暗殺に協力した。しかし最後には米軍上層部の命令を無視したバスターズ隊長アルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)により額にハーケンクロイツをナイフで刻みつけられた。『イングロリアス・バスターズ』ではドイツ軍及び親衛隊の制服がかなり忠実に再現されている。そうした考証はハンス・ランダの制服にも良く現れており、着用した徽章・勲章から多くの情報を読み取ることができる。ハンス・ランダの右ポケットには血盟勲章が、左ポケットのフラップには黄金ナチ党員バッジ、古参闘士名誉章が確認できる。これらナチ党でも最高位の勲章・徽章の着用によって、ハンス・ランダがナチ党黎明期の1923年ミュンヘン一揆に参加し、なおかつ1929年以前からナチ党員として活動を続けていた「筋金入りのナチス」という設定を強調している。第一章、1940年のフランス農村部の民家のシーンでは、陸軍型のM36詰襟制服の第2ボタンホールに二級戦功十字章リボンが確認できるほか、略綬の一部がコートから覗いている。このシーンでハンス・ランダはコートを脱がないためその他の勲章徽章類は確認できないものの、オフィシャルの1/6スケールフィギュアでは左胸に略綬と一級戦功十字章が取り付けられている。第三章、1944年パリのビストロでの会食の場で、ランダは開衿型の親衛隊勤務服を着用、その首元には黄金戦功騎士十字章を佩用し、左胸ポケットに一級戦功十字章、対パルチザン戦闘バッジ、ゲルマン技能ルーン章が、ポケットのやや上には略綬が飾られている。略綬は左から二級戦功十字章(剣無し)、不明あるいは欠落、親衛隊勤続12年章、ズデーテン併合記念メダルである。第五章、『国民の誇り』プレミア上映会での礼装では左胸に四連のメダルバーを併用している。左から2級戦功十字章(剣無し)、ナチ党年功勤続章銅賞(細部が不正確な為推定)、ナチ党年功勤続章銀賞、ドイツ赤十字社会奉仕章4級である。制服左腕には鷲の国家徽章の下に、ひし形のSD徽章と何も文字が刺繍されていない、黒いカフタイトルが取り付けられている。これはハンス・ランダが国家保安本部(RSHA)傘下の親衛隊保安部(SD)所属であり、カフタイトルが「(親衛隊保安部-本部)」ではなく、黒無地カフタイトルであることから保安部支部所属であることがわかる。ゲシュタポ(秘密警察)を含む保安警察は、SD徽章だけを着用し、カフタイトルは付けない規定になっていることから、ハンス・ランダはゲシュタポではなく親衛隊保安部所属と考えられる。ただし、これらの考証には考証が不正確な部分も多くある。非前線勤務者の最高勲章である黄金戦功騎士十字章は、1944年10月に制定され、1945年に最高幹部の2名だけが受章している。したがって「(1944年8月に陥落しているはずの)パリで勤務する親衛隊大佐」が受章する可能性はない。礼装時のメダルバーには略綬にあった重要な勲章が欠落しており、並び順も正式ではない。「斜め逆組み」メダルバーでは本来右端に来るべき二級戦功十字章が左端にあり、ボタンに縫い付けられたリボンとの二重装用にもなっている。二級戦功十字章の二重装用は第一章、第三章の略綬でも見られる。また、ゲルマン技能ルーン章は非ドイツ人のナチ党協力者の為の勲章であるため、ドイツ人であるランダに受章資格はない。以下は劇中で確認できるものの一覧である。 黄金戦功騎士十字章(剣付き 戦闘勲功) 一級戦功十字章(剣付き 戦闘勲功) 二級戦功十字章(剣無し 非戦闘勲功)クエンティン・タランティーノは、自分が今までに描いた中で最高のキャラクターかもしれないと述べた。タランティーノは元々、ハンス役にはレオナルド・ディカプリオを希望していたが、後にドイツ人の俳優に演じさせると決め、そして最終的にオーストリア出身のクリストフ・ヴァルツに決まった。ランダを演じたクリストフ・ヴァルツは2009年のカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。2010年1月にはゴールデングローブ賞助演男優賞と全米映画俳優組合賞助演男優賞を受賞した。2月2日には第82回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、3月7日に受賞した。他に、2月21日に行われた英国アカデミー賞助演男優賞を受賞した。ハンス・ランダは、いくつかのフィクション作品の人物と比較された。「並はずれた狡猾さ」と「ヨーロッパ的感覚」は、『ジェームズ・ボンド』映画の悪者と比較された。また、ランダがユダヤ人や裏切り者を捜す洞察力・推理力はシャーロック・ホームズ、周囲の頭の悪い人間を見下す態度は『ダイ・ハード』のハンス・グルーバーと比べられた。クリストフ・ヴァルツは「ランダ大佐は善悪を超えたポストモダン的な悪役だね」と評した。
出典:wikipedia
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