


環太平洋戦略的経済連携協定( または単に 、略称、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定、環太平洋経済協定)は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である。TPPの北大西洋版があり、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)と呼ばれる。環太平洋戦略的経済連携協定の原協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月に署名され2006年5月に発効となった。2010年3月から、原加盟4か国にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国を加えた拡大交渉が開始された。2011年時点では、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっていた。9カ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指していた。2006年1月1日に加盟国間の全ての関税の90%を撤廃。産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、。目的の一つは、「加盟国の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である。米国の参加表明によって2010年3月から拡大交渉会合が始まり、レベルの高い自由化を目指す包括的な協定になるとされている。アジア太平洋地域の新たな経済統合の枠組みとして発展する可能性も指摘されている。またTPPは原則非公開とされ全文の閲覧が行えるのは、この協定に関わる各国の3名ずつのみとなっている。拡大交渉中のTPPについて、加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると域内GDPの91%を日本とアメリカの2か国が占めるため、実質は日米のFTAだとする見方もあるが、あくまで原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の拡大 (Expansion) である。バーニー・サンダースとドナルド・トランプという一見すると政治に関するスタンスが大きく違う両者が反TPPでは一致を見ている。左側は「(TPPによって)非民主的な大企業による逸脱行為が正当化される」、右側は「TPPが国家主権を侵食する」と唱え、TPPやTTIPに反対する。NAFTA以後の貿易協定(TPPなど)は、特定の集団にアドバンテージを与え、その他には不利益となるものだった。NAFTAに含まれる条項はゼネラルモーターズ(GM)のような多国籍企業がメキシコに工場を移し、メキシコで自動車を製造した後にその自動車を米国に売りつけることを容易にするものだった。これはGMの収益のためはよい知らせだった。だが米国国内の自動車製造会社にとっては、(メキシコの安い労働力と争わなければならないために)その会社の従業員の賃金カットもしくはリストラせざるを得なくなった。NAFTAは米国の労働者にとっては悪い知らせだった。トランプは、キャリアやナビスコで大規模解雇が行われ雇用がメキシコへ移っていることを指摘しつつ、「サンダースは、米国が貿易で大損してることをわかっている」と述べている。NAFTAでは、貿易の特定の領域に関しては自由どころか保護が強くなった。処方薬の特許や本・映画・ソフトウェア・音楽の著作権などである。2016年4月時点で、米国国民は一人あたりにして年間およそ1300ドルを薬剤購入に費やしている。これが本当に自由貿易ならばその10分の1の費用ですむだろう。TPPには、健康や環境保護を目的とした規制を緩和させる狙いがある。カナダの企業が石油パイプライン建造を米国政府に拒否されたために、米国政府を訴えて(そして多額の賠償金を請求して)いる。TPPのメリットを議論することは特定のグループの利益を議論することだと言っても過言ではないだろう。カリフォルニア大学バークレー校の研究者らはTPPを以下のように説明している。TPPは環境、労働(基準)、ヘルスケア、医療に関しての規制権を大企業に握らせるための協定であり、大企業の利益になるが環境や労働者を保護しない性格をもち、仕事がアウトソースされるために中低所得者を害する協定である。2016年アメリカ合衆国大統領選挙でのアメリカ合衆国大統領候補であるバーニー・サンダース(民主党)とドナルド・トランプ(共和党)、両者ともにTPPに反対している。2016年4月、米国ニューヨーク市長ビル・デブラシオがTPP反対の声を上げた。デブラシオは強い口調で語る。「TPPに反対する熱意が我々にあるのは当然だ。我々米国国民は以前にもこの手の映画(すなわち北米自由貿易協定、NAFTA)を見ているのだから。NAFTAがどれだけひどいものだったか我々は見てきている。その過ちを繰り返すことはない。」「物欲に囚われ米国の中間層を犠牲にした。それがNAFTAだった。NAFTAによって米国の百万もの雇用が失われた。ここニューヨークでも何万という職が海外にもっていかれた。中流生活を送っていた人々がラグを処分させられる破目になった。勤労・誠実だった人々から突如として全てを奪った。それがNAFTAだったのであり、同様にTPPも米国に悪影響をもたらすと考えるべきだろう。よって我々はTPPに反対すべく立ち上がっているのだ。」TPP交渉に関連した文書・メールなどが非公開となっている。しかしながら国際法の観点から条約法に関するウィーン条約を尊守し、交渉過程で何かしらの(直接的・間接的)不正が存在したかどうかを確認することは重要である。例えば同意に至る交渉・調整過程で何らかの詐欺的行為、(直接的または間接的)買収があった場合には、ウィーン条約の49条・50条に則り自国の同意を無効にする根拠となる。脅迫などがあればウィーン条約51条に則り、自国の同意は法的拘束力を失う。主権国家は環境保護、食品衛生、薬価上限、知的財産に関する国内法に基づく決定、公益事業に関連する規制など様々な規制を設けている。TPPに含まれるISDS条項によれば、それらの規制が企業の将来的収益を損ねると判断される(もしくはTPPの取り決めに違反している)などの場合、その企業がその損失の賠償などを求めてその主権国家を訴えることが可能となる。その裁判は特別法廷で行われ、政府側が負けた場合は訴えた企業に賠償金を支払い、仮に政府側が勝ったとしても、裁判にかかる弁護士料など諸費用を政府が負担させられる可能性もある。初期のリークされた文書では特別法廷員にかかる費用の下限は1時間あたり375ドルであったが、最終合意文書ではその費用限度は撤廃された。特別法廷がその裁量で以ってその額を決めることができる。よってその賠償金と特別法廷員にかかる費用などは訴えられた国家の納税者に負担をかけるだろう。ISDSによる特別法廷で、政府側が賠償金を支払うことを命じられた場合はその国の有権者に課される「隠れた税金」となる。それは、政府によってではなく多国籍企業などの企業側によって課される税金である。これまでの判例では、特別法廷は訴えられた側と訴えた側両者に対して、弁護士・特別法廷員料など特別法廷に関連するコストを支払うよう命じている。特別法廷に関連するコストの平均は、政府側が約440万ドル、申し立てた側が約450万ドルとなっている。また、原理的にはTPP非加盟国の企業にも潜在的にTPP加盟を訴える権限がある可能性がある。例えば中華人民共和国の(国営)企業がベトナムやマレーシアに存在し、それらの企業が米国に投資していた場合にISDSを使って米国を訴えることも可能かもしれない。企業とTPP加盟国がその国での投資に関して論争が起きた場合はまず両者の協議などで解決を図る。9条18項協議開始から6か月経過しても論争が決着を見ない場合には、企業側は国家側が9条1項から9条17項の義務を果たしていないことや投資に関する協定に則っていないなどの主張を行うことができる。企業側は国家側のTPP義務不履行によって損失を被ったとする主張も行うことができ、申し立てを行って仲裁に持ち込むことができる。仲裁の方法はthe ICSID Convention and the ICSID Rules of Procedure for Arbitration Proceedings、the ICSID Additional Facility Rules、the UNCITRAL Arbitration Rulesなどから選ぶことができる。9条19項から抜粋一般的には、特別法廷は3人の仲裁人から構成され、申し立てる側・対応する側から各1名選ぶ。残りの1人は法廷の長であり双方の協議で決めるが、申し立てから75日以内に決まらない場合はICSIDのSecretary Generalが決める。当事者同士が特別に同意する場合はそれ以外の方法で仲裁人を構成する。9条22項より抜粋特別法廷は、金銭的損害賠償や資産の損害賠償(資産によっては利子なども対象となる)の額などについて決定する。仲裁にかかった費用や弁護士費用なども支払わなければならない。どちら側がどのような方法で支払うかは特別法廷が決めることである。ICSIDの規約の下で賠償金額が決定した場合は、これが満たされてはじめて賠償金額が最終決定する。ICSIDの追加的ルールやUNCITRALの仲裁ルール、その他で賠償金額が決定した場合は、が賠償金額の最終決定に必要である。各TPP加盟国はTPP域内において賠償金の支払いを施行することとする。対応する側が判定に従わない或いは賠償金を支払わない場合は、申し立てる側の国家が出てくる。申し立てる側の国家はパネルを設け、という手続きをとる。9条29項より抜粋政府側が新しい医薬品・医療機器をリストに加えそれらの価格を決める場合、政府側は価格決定に関する公式かつ正式なすべての提案(医薬品・医療機器メーカーなど企業側からの提案も含める)を検討することを確約する。医薬品・医療機器メーカーなど企業側は、専門家らによる審査を行う機会が政府から与えられる。それは内部審査であり、その製品の価格決定に最も影響を受ける申請者(すなわち企業側)の要請で行われるプロセスである。その内部審査は一回限りでもよい場合がある。そして政府が許可すれば、その内部審査においてその製品の価格を決定することが可能となる。このシナリオでは医薬品・医療機器メーカーが事実上それら製品の価格を決定することになる。政府が内部審査のみでの価格決定を許可しない場合は企業側がISDSを行使し政府側を訴える可能性がある。26条付則Aより政府側は提出された薬剤の認可に関する申請書を速やかに処理しなければならない。特許薬剤の認可では、政府による認可プロセスが遅れる等して実質的な特許期間が短くなった場合には政府が特許期間を延長しなければならない。18条48項より新薬剤の認可プロセスにおいて、政府側が申請者にその薬剤の効能と安全性に関係するデータを提出するよう求めた場合には、その薬剤は保護される。保護されれば、(データ保持者の許可が無い限りは)第三者がそのデータに基づく類似薬剤を販売できない。18条50項より新薬剤の保護期間は最短で5年、バイオ医薬品の保護期間は最短で8年。認可された薬剤の安全と効能に関するデータを第三者が使用する場合は、政府が、仮に特許を侵害するような薬剤の販売がなされたという申し立てがあった場合の対応策をとるための十分な時間と機会を特許保持者に与えなければならない。その場合には対応策は(差止請求権の行使など)迅速であり、法的対応策あるいは行政手続きといったものになる。18条51項より18条78項には企業秘密の公開・取得・無断使用の罰則に関する条項が盛り込まれている。企業秘密の公開・取得・無断使用に対する罰則規程によって、従業員が会社を辞め(同じ産業の)別の会社で働くことができなくなる場合がある。会社勤務の労働者はその会社の企業秘密にアクセスできる。仮にその労働者がその会社を辞め(もしくは解雇され)、同じ産業の別の会社で働き始めたとする。この場合、その労働者は既に知っている企業秘密を新しく勤め始めた会社に持ち込むことが物理的に可能になる。よってTPP18条78項が定める企業秘密の公開・取得・無断使用に該当することになり、その労働者が企業秘密を漏洩させる意図が無いとしても、罰則規定の対象になりうる。これはより高い賃金を目指して別の企業に移ろうとする労働者にとっては厳しい。逆に、企業側にとっては労働者の賃金を固定できる道具となる。同様の理由で、起業や会社の新規設立も制限されうる。競業避止義務はミシガン州では施行されているがカリフォルニア州では導入されておらず、近年の調査ではそれがカリフォルニアでテクノロジー部門が成功した重要な要因だったことがわかっている。環太平洋戦略的経済連携協定 ("Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement
出典:wikipedia
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