走り屋(はしりや)とは、暴走族の一種で、とりわけ高速道路や山岳道路などの公道を自動車やオートバイに乗り危険な高速や違法改造車で暴走する人や集団を指す俗称。警察の使用する「違法競走型暴走族」と言う呼称やほぼ同義の英語「ストリート・レーサー」のように、いわゆる暴走族(共同危険型暴走族)とは違って走りや車の動力性能に重きを置く傾向を持つ。報道機関などは出没する場所や行動により「ローリング族」「ルーレット族」「ドリフト族」などとも呼ぶ。同様の暴走族は、若者にも自動車が普及した国や地域であればほぼ普遍的に見られるが、その文化は大きく異なっているため本稿では主に日本に関して説明する。日本において公道暴走を行う者は、1960年代までは「カミナリ族」と呼ばれたが、1970年代以降「暴走族」として扱われるようになった。この頃からグループごとに特徴が表れ、暴力行為で制圧しようとするグループと、運転技術で勝負しようとするグループに大別される。後者が「街道レーサー」と呼ばれ、後に「走り屋」へと呼称が変遷していった。レースやラリーなどの競技を意識したものが多く、ラリーストが夜間に林道などで無許可の練習走行を行うことも広い意味での「走り屋」に含まれる。また、実際に公式な競技に参加していなくとも、集団を形成している場合は「レーシングチーム」を自称することもある。見物人(ギャラリーと呼ばれる)も多く集まって行われる「レース」の種別は多岐にわたるが、レース競技を模しているものの合法性に欠ける行為であることから、公に広報を行った「行事」として活動されることはなく、あくまでも非合法な「集まり」として展開される。主として深夜帯において、高速道路や俗に「峠」と称される曲がりくねった山岳道路、港や直線が多い新市街地などで、直線やカーブをいかに高速で格好良く走るかを追求した走行を行う。しかし公道であるがゆえに、指定速度の極端な超過や、場合によっては車両の不正改造などによる違法行為を伴うことがある。他の一般車や歩行者(身を守るために歩行自体を避けざるを得ない場合もある)に危険を及ぼしたり通行の妨げになるほか、近隣住民への騒音被害や道路設備の損壊(路面のタイヤのスリップ痕も器物損壊罪である)などが社会問題になっている。走り屋とは、もともとは第三者が走りに秀でている者(速く走る、うまく走るなど)に対し「あいつは走りを生業にしているのではないかと言うほど速い=走り屋」と、ある意味称号的についた呼称であり、自らは暴走族であるまたは暴走族ではないにしろ、違法行為を犯しているという認識を持っていたのだが、現在ではいわゆる走り屋の多くは、自らを暴走族と認めることを嫌い便宜的に「走り屋」を自称し自らに言い逃れをしている傾向がある。『「走り屋」は嗜好の対象が車両または車両の運転にある場合が多く、社会に与える迷惑は副次的に発生する事象であり、一方で「暴走族」は集団で迷惑行為(暴走、暴力など)そのものを嗜好する場合が多い』という観点で区引きが可能である。ただし実際は、前述のように副次的なもの以外にも迷惑行為を行う違法競走型暴走族がおり、また共同危険型暴走族から違法競走型暴走族への流入傾向もあることから、両者ともさまざまな形態が存在するため境界線は明確でない。一定の年齢に達すると共に様々な条件(個々の生活環境、特に結婚・出産などが関連することが多い)が重なって遠ざかっていくことが多い。若者の車離れも参照。
いわゆる団塊ジュニア世代が成人・免許取得・乗用車を所有し始めた1990年代をピークに、その後は走り屋の減少傾向が続いている。そもそもバブル景気の崩壊以降若者が自動車に興味を示さなくなっていった。乗用車の高性能化・安全性追求による車両価格の増大、すなわち「収入減」と「支出増」の経済的理由が大きな要因である。特に車両は新車価格で200万円台を超えるものがスタンダード化したため、若い労働者にとっては車両費・維持費のみならず、改造費を捻出することは困難となった。また警察は同時期、「速度超過」を筆頭に「酒気帯び運転」「シートベルト着用」といった3S運動を徹底的に行い、さらに反則金が大幅に増額された。さらに、平成12年排ガス規制においてスープラ、RX-7、スカイラインGT-R、シルビアといった走り屋に人気があったスポーツカーが次々と生産中止となり、中古スポーツカーの値崩れに歯止めがかかったことが、再び走り屋の衰退を加速させた。2016年現在においては少子化と若者の車離れが顕著化したこと、警察による取り締まりや違法競走暴走行為対策の強化がかなり進んだこと、ハイブリッドカーを筆頭に環境に優しい車が人気を得る一方で、一般的にハイパワーで燃費の悪いスポーツカーはエコカー減税の対象外であること、さらに中古で人気のある車種は軒並み旧型車が多いことから経年劣化やエコカー補助金で絶対数が減っている。その上日本の走り屋文化が海外に知れ渡った(「JDM」、「スポーツコンパクト」の項目も参照のこと)結果、近年では追い打ちをかけるように日本製スポーツカーの海外流出も起こっている。これらの影響で人気車種はタマ数が減る一方であるにもかかわらず新世代ベース車がなかなか出てこない時代が続いていること、ガソリン価格の高騰などから走り屋の割合は全盛期に比べると極端に少ない。なお、これらの行為を助長している雑誌、パーツメーカー、チューニングショップも数多く存在し、違法改造部品の商品開発や性能テストで一般道や高速道路において常識を逸脱した速度で運転することもある。1980年代のオートバイブームの際に、レース専用車両を模したレーサーレプリカと呼ばれる型のオートバイに乗る者が流行した。レーサーレプリカモデルに乗り、フルフェイス型のヘルメット、グローブ、ブーツ、レーシングスーツを着用する事が多い。オートバイ雑誌の連載企画である読者からの投稿コーナーが人気となり、読者からの投稿専門の雑誌『バリバリマシン』が発刊されたこともあった。代表的な漫画としてはしげの秀一の『バリバリ伝説』『頭文字D』や楠みちはるの『あいつとララバイ』『シャコタン☆ブギ』『湾岸ミッドナイト』などが挙げられる。近年、大型やミドルクラスのスーパースポーツが人気であり、各社フラッグシップの車両に乗る者も多い。1980年代後半の関東方面では車体価格が安くて後輪駆動である「ハチロク」(カローラレビンおよびスプリンタートレノのプラットフォームである「AE86型」の通称)やR30スカイラインが人気で、関西方面ではFFであるホンダのワンダーシビックやバラードCR-Xの人気が非常に高かったが、1990年代に入るとシルビアや180SX、R32形スカイラインなどの高性能なFR系日産車が彼らにとっての定番車となる。2000年代に入ってからは、かつてのハチロクやシビックに代表された「ライトウエイトスポーツ」や、シルビアやスープラなどの「スポーティーカー」は、すでに生産されていないため、中古車市場から調達することになる。中古車にしては、その年数と走行距離から見てかなり高めの価格で取引されているが、それでも新車対比では割安感があるため、昨今は、過去のようにスモールクラスの車ではなく、ミドルクラスの高性能モデルを選ぶことが多く、チューンやドレスアップに資金を投入する者が多くなってきている。ロータリーエンジン車RX-7も人気が高かった。
また「FR駆動且つ中古の車体・部品が安く大量に手に入る」ところに「パーツの互換性からチューニングが容易」であったことが加わり、特にドリフト系を中心としてマークⅡ3+1兄弟やローレル、セフィーロといったDセグメント相当、場合によってはクラウンやアリストと言ったEセグメント相当のFRセダンをベース車にする動きも活発である。当然当初は上級ファミリーカーであった為パーツは皆無に等しかったが、2014年現在これらの車種は走り屋のベースマシンとして一定の地位を築いており特にマークⅡ系に関してはパーツ選びに苦労することはまず無い。これらの車は1JZやRB20/RB25などを搭載している為スープラやスカイラインなどの2JZ-GTEやRB26と言った同系の高性能エンジンを換装するケースも多い。駆動方式はシルビアのような後輪駆動、シビックのような前輪駆動、ランサーエボリューションやスカイラインGT-Rのような四輪駆動など様々である。ただドリフト族においてはドリフト状態を維持しやすい後輪駆動が好まれる。変速機はマニュアルトランスミッション(MT)が圧倒的に支持を受けていた。最近ではパドルシフト等の普及、オートマチックトランスミッション(AT)の性能向上やスポーツカーへの搭載(例:ランサーエボリューションXのツインクラッチSST)により、ATを支持する者も増えた。最高速に使用する車両の特徴は、フェアレディZ、スカイラインGT-R、ランサーエボリューション、インプレッサ、RX-7などの各自動車メーカーのフラッグシップに相当する車両が使われることも少なくなく、莫大な資金を投じて改造が施される。また、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、コルベットなどの輸入高級スポーツカーも多い。以下は日本で使われている用語である。走り屋独自の用語と言うよりは、サーキットなどで使われる用語を使っている場合が多い。そのため、一般人でも多少は理解できるものが多い。「走り屋」を購買層に想定した雑誌(多くが月刊誌)が2007年現在でも数誌発売されている。これらの雑誌は、過去においては公道での暴走や道路運送車両法に違反する改造を公然と示唆する内容のものも少なくなかった。近年では、雑誌側でサーキットでの走行会や草レースなどを主催したり、積極的にサーキットでの走行を推奨する記事、あるいは合法的な改造に関する記事も珍しくなくなったが、一方で、やはり公道での暴走に関する記事が完全に消えたわけではない。こうした雑誌に対しては、商業誌において違法行為を助長する行為への批判もある。街道レーサーとは富士グランチャンピオンレース(通称グラチャン)の前座であったシルエットフォーミュラに触発された車両の作りが主で、グラチャン仕様やチバラキ仕様とも呼ばれる。前述の通り以前は「走り屋」の同義語であったが、現在では主にシャコタン、リムの深いホイール、派手な装飾パーツ、大音響のエンジン音などの改造を施した旧車のことを指す俗称。「族車(暴走族の改造車)」とほぼ同じ意味で使用されており、こういった改造は旧車愛好の一つのスタイルとなっている。由来は、1980年代に登場したモーターマガジン社の自動車雑誌「ホリデーオート」の読者投稿コーナー「Oh!MY街道レーサー」で、前述のスタイルの改造車が数多く登場したことによる。「レーサー」とついているが、最高速やテクニックでは競わず、危険な走りはしない旧車愛好家であることが多いが、一方で、このような改造車の暴走族は現在でも存在している。日本国外でも、オートバイや自動車で300km/h以上の高速走行をする者がおり、また、その様子を撮影した動画がインターネット上に投稿されることもある。例えば、オートバイ同士や自動車同士、オートバイと自動車の対決動画などを投稿する者がいる。アップロードされている大部分の動画が公道で行われているため、日本国外の交通法規と照らし合わせてみても違法行為と思われる。(ただし、アウトバーンのような制限の無い高速道路も海外には複数存在するため、一概に違法行為とはいえない。)有名な動画では「Bugatti Veyron vs. Yamaha R1 RACING DOWN MOTERWAY」など。アメリカでは峠道が少ないために日本で言うローリング族はほとんど見受けられない。工業地帯や郊外の直線道路を使ったドラッグレースが盛んで、バイクであれば各社のスポーツタイプのバイク、自動車であれば古いアメ車や日本製のスポーツカーが広く使われる。日本製の車ではGTOなどの四輪駆動車や前輪駆動車が人気が高い。中にはナンバープレートのついていないバイクや自動車でドラッグレースにのぞむ人もいる。(アメリカ合衆国では州によっては前ナンバープレートは不要である。)これらもサーキットではなく公道で行われれば違法行為であることに変わりはなく、実際に過去にも警察が逮捕している。一方でこの公道レース撲滅の一環として合法的に走れる場所を提供しようと言う動きがある。なお過去にはアメリカ大陸横断レース(キャノンボール)と言われる非合法公道レースが行われたこともあったが、これは公開された一大イベントのようなものとして行われるため、日本の非合法レースとは状況が異なる。またアメリカ大陸横断レースは必ずしも自動車やバイクで行われるわけではない。オーストラリアではメルボルンとシドニーに多い。オーストラリアでは日本の「走り屋」のような語として"(複数形で"Hoons")と言う語が使われている。Hoonは名詞としてだけではなく時として動詞として使われることもある。1970年以降、メルボルンでは定期的に公道での競争イベントが行われることもあり、最近ではより多くの人がより安全に参加する目的で、警察にも届出を出した上でのれっきとしたイベントとして公道レースが行われることもある。またそれ以外にも、ドラッグレースが複数車線のあるフリーウェイ(高速道路)で行われることや、一般道で街間競争が行われることもある。香港では日本や他のアジア諸国からもたらされた文化(負の文化含め)が大きい。香港では香港警察が道路に置石(数十 - 数百kgもするコンクリートブロックを道路に置く)、検挙するなどしてその対策に乗り出している。頭文字Dのような日本産の漫画を香港の会社が映画化することもあり、香港は他のアジア地域から見ても所得が高い層が多いため、余興のように行われることが多い。主にサウジアラビアに多く、車種は、スポーツタイプよりも日本ではベースにする人がいないFFセダン、特にカムリ(主にXV20系以降)やソナタ(主にEF系以降)、アコード(インスパイア)といったDセグメント車が多い。単独事故だけでなくギャラリーを巻き込んだ事故も多発しており、インターネットの動画投稿サイトで公開された動画の中には同乗者が車内から飛び出すというショッキングな瞬間を捉えたものもある。また、石油関連で裕福な家庭が多く、若者でも最新のフェラーリやポルシェ・カレラGTなど、数千万円はするスーパーカーにてサウジドリフトを楽しんでいる動画も存在する。漫画代表的と思われる作品を挙げている。基準は明確ではないが、前述のメディアミックスや長期連載され、クルマ漫画・バイク漫画のジャンルにおいて知名度が高い作品。おおむね公道での非合法なレースバトルを主題にした作品である(合法的な競技としてのレースの占める割合が多い作品も含む)。映画特に「走り屋」のスタイルに近い2000年以降の映像作品を挙げている(前節の漫画が原作のものを除く)。
出典:wikipedia
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