


『KAGEROU』(カゲロウ)は齋藤智裕の長編小説。朝日新聞の取材により作者が俳優の水嶋ヒロだったことがわかっている。齋藤は命をテーマにしたこの作品で1200以上もの応募があった第5回ポプラ社小説大賞を受賞した。会社をリストラされ、多額の借金を抱えた男・ヤスオは、絶望のあまり廃墟ビルのフェンスから投身自殺を図ろうとした所、黒服の男・キョウヤに阻止される。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ『全日本ドナー・レシピエント協会』の一員であり、彼の勧めでヤスオは、臓器提供の報酬を田舎の両親に送る契約を結ぶのだが…。第5回ポプラ社小説大賞を受賞したが賞金2000万円は辞退している。出版社および作者は応募者が水嶋ヒロであるということは隠して応募、受賞したものであり、受賞してから初めて分かったと主張しているが、詳細は不明。ゴーストライター説もあったが、作家の岩井志麻子は水嶋自身の手によるものだと推察している。週刊ポストは2011年1月1日・7日合併号にて八百長であり、水嶋ヒロのほうから売り込んだものであり、さらにゴーストを部分的に使っていると報じたが、ポプラ社はこれに抗議している。発売を6日後に控えた2010年12月9日、物語のクライマックスシーン(232ページ)で主要登場人物の名前が別の人物の名前になっているという致命的な誤植が発覚した。この時点で発売前重版も含めて43万部という部数が決まっており、刷り直せば発売が翌年にずれ込むことは決定的だったため、ポプラ社は誤植部分に正しいシールを貼るという作業を、全社員総出、印刷会社や取次に力を借りて、全て手作業で行った。販売戦略としてポプラ社は返本がほぼ出来ない責任販売制という方式をとっている。書店にはハイリスクハイリターンな方式であるため、新人作家でありながらこの方式をとったことには疑問が呈されている。部数は発売前から増刷が繰り返されて43万部に達しており、加えて25万部の増刷が決定している。これは初版でも村上春樹の新作である「1Q84」の25万部を越えているが、ネットオークションでは発売してすぐに大量の出品があった上、数日で値崩れの様相を見せていた。これについても出版社の思惑通りであるという見方もある。部数については、このような大ベストセラーになったのは内容が優れているからではなく作者の知名度と話題性ゆえと評された。自殺や臓器移植のような重い問題を扱いながら「イギリスならジンだな。イギリスジン」、「ヘブンでたぶん」、「まさかマッカーサー」、「でまかせで負かせ」といったいわゆるオヤジギャグを多用し、ユーモラスな語り口で書かれていることに特徴がある。1ページあたりの文字数が少ないので読みやすいことも長所にあげられており、書評家の大森望は文章がこなれていないことも関係があるのではないかと述べている。作品について、書評家や編集とは反対にタレントなどは比較的好意的な評価を寄せている。北斗晶は「凄く面白い内容」と述べている。しかし一方で批判的な意見も多い。amazonには発売日から酷評が多く投稿された上、岩井志麻子は「不幸が類型的」「苦しみの描写が脚本みたい」と苦言を呈しており、新潮社の中瀬ゆかりは、ポプラ社小説大賞を受賞したことについて、本書を読んだとき出来レースじゃなければまずいと思ったし、素で受賞したのであれば読み手の能力を疑うと評した。産経ニュースでも覆面座談会の形で内容については否定的な報道をしており、「深みのなさは致命的」や「ビジネスとしてはお見事」と述べている。ただし、こちらでは他の本も売れるという効用への期待も述べられている。一方で「起爆剤になんて考えるなんてバカじゃないかと思う。」という声もある。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。