心膜炎(、心包炎とも)は、種々の原因によって生じる心膜の炎症である。臨床的には"急性心膜炎"と"慢性収縮性心膜炎"の2つに大別される。剖検においては2〜6パーセントの頻度で見られるが、臨床では入院例の0.1パーセントに認められるに過ぎないことから、不顕性のものが多いと考えられている。病理組織学的には心膜の反応により線維素性、漿液線維素性、血性、膿性などに分類され、頻度上では前二者が圧倒的に多い。以前は心膜炎の原因としてリウマチ性か結核性が考えられていたが、現在は特発性が最も多い。急性心膜炎のなかでは原因不明(ウイルスによる可能性が最も高いが、現在のところ確定されていない)のいわゆる特発性心膜炎が最も多く、そのほか心筋梗塞後、心臓手術後症候群などの頻度が増えつつある。慢性収縮性心膜炎の原因も半数以上が不明であるが、原因のはっきりしたものの中では結核性が最も多い。急性心膜炎()とは、心膜に急性炎症を生じたもの。病理学的には、線維素性、漿液性、化膿性、出血性、肉芽腫性などに分けられる。また、滲出液の有無によって、滲出性(effusive)と非滲出性(noneffusive)に分けられる。滲出液が多量となると心タンポナーデを来たしうるため、注意が必要である。原疾患の治療が原則である。例えば化膿性心膜炎の場合、ドレナージを行なうとともに、起因菌に対し有効な抗菌剤を投与する。疼痛に対しては場合は非ステロイド系消炎鎮痛薬を投与する。また、症状が強ければステロイド剤投与が検討されるが、感染性のものを否定することが必要であり、また短期間の使用にとどめることが望ましい。また、 貯留液が多量の場合、対症療法として、利尿薬などの投与による治療を試みる。効果を得られない場合、あるいは症状が急速に進行している場合は、心膜腔穿刺により排液を行う。15パーセントで心タンポナーデを併発するため、注意が必要である。特発性の場合、予後は良好で、2週〜2か月で治癒することが多い。ただし20〜30パーセントで再発し、また収縮性心膜炎を続発する場合があることに注意が必要である。慢性収縮性心膜炎()とは、心膜が慢性炎症によって線維化・肥厚・癒着を生じ、これによって心膜腔が閉塞して心臓の拡張障害に至ったものである。基本的に、急性心膜炎はすべて慢性収縮性心膜炎に至る危険性を有しているが、特に特発性と結核性が高頻度に慢性移行する。本症の本態は心拡張障害であり、静脈鬱血による症状が出現する。もっとも顕著な症状は腹水貯留による腹部膨満と肝腫大で、このほか、浮腫や表在静脈怒張、肝腫大、胸水が認められる。労作時呼吸困難なども認めるが、急性肺水腫は極めて稀である。軽症例で内科的治療を行ないながらの経過観察もありうるが、進行性病変であることから、外科的な心膜切除術が行なわれることが多い。心膜切除術の手術死亡率は5〜20パーセントであるが、成功例では90パーセントで症状改善が認められる、有効な術式であることから、積極的に手術が検討される。
出典:wikipedia
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