数学・物理学においてヴィラソロ代数(ヴィラソロだいすう、)は円周上定義される複素多項式ベクトル場のとして与えられる無限次元複素リー環で、共形場理論や弦理論において広く用いられる。名称は物理学者のに由来する。ヴィラソロ代数とは交換関係を満たす可算無限個の元 formula_2によって生成されるリー代数である(1/12 という因子は単に慣習的なものである)。ここでの中心元 "C" はセントラルチャージと呼ばれる。ヴィラソロ代数は、円周上の多項式ベクトル場全体の成す複素ヴィット環の中心拡大である。円周上の実多項式場全体の成す実リー環は円周上の微分同相全体の成すリー環の稠密な部分リー環である。弦理論におけるエネルギー・運動量テンソルはの共形群の生成元すべてを含むので、2つのヴィラソロ代数の直積の交換関係に従う。これは、共形群が前方および後方光円錐の分離微分同相に分解されるからである。世界面の微分同相不変性はエネルギー・運動量テンソルが消えることをも意味している。このことはとして知られ、量子化された理論では、すべての状態について成り立つのではなく、物理的な状態(ノルムが正の状態)にだけ成り立つ(参照)。ヴィラソロ代数の最高ウェイト表現とは、を満たし、formula_4 (formula_5)となるようなベクトル formula_6 によって生成されるベクトル空間である。このとき formula_7 の固有値である複素数 formula_8 を最高ウェイトと呼び、ベクトル formula_9 を最高ウェイト formula_8 の最高ウェイトベクトルと呼ぶ。(注意:通常、表現と言った場合にはリー代数から formula_11 への準同型写像 formula_12 のことであるが、ヴィラソロ代数の表現論においては上記の formula_9 によって生成される表現空間 formula_14 そのものを最高ウェイト表現と呼ぶことが多い。また表現の記号 formula_12 は省略して、よく formula_16 を formula_17 と表記する。またヴィラソロ代数の元としての formula_18 とその固有値 formula_19 とに同じ文字 formula_19 が使われることもある。)ヴィラソロ代数の最高ウェイト表現は以下の形のベクトルの線形結合によって張ることができる。またこの形のベクトルがすべて線形独立であるとき、その最高ウェイト表現をと呼ぶ。これらのベクトルはすべて formula_7 の固有ベクトルであり、その固有値は formula_23 である。従って最高ウェイト formula_8 のヴァーマ加群は formula_7の固有空間によって分解され、固有値 formula_26 (formula_27) の固有空間の次元は formula_28 の分割数 formula_29 となる。またこのときの formula_30 をその固有空間のレベルと呼ぶ。最高ウエイトベクトル formula_31 によって生成される最高ウエイト表現 formula_32 には以下の条件によって定まる不偏内積 formula_33 が定義される:最高ウエイト表現の2つのベクトルはレベルが異なるとき不変内積について直交する。どの複素数の組 ( formula_8, formula_19 ) についても、既約最高ウェイト表現が一意的に存在する。既約でない最高ウェイト表現はカッツ行列式から求められる。レベルNのカッツ行列とは、整数 N の分割 formula_37 と formula_38 (つまり formula_39 となる正整数の有限列)に対して、内積を成分にもつ formula_41 行列のことで、その行列式をカッツ行列式という。ヴィラソロ代数の中心 c をとパラメトライズし、整数"r, s"に対してと表示することができる。ただし formula_44 は正規順序化の記号であり、ヴィラソロ代数の中心をformula_45とパラメトライズした。ヴィラソロ代数の超対称的拡大に、と呼ばれる2つがある。これらの代数の理論はヴィラソロ代数のそれとよく似ている。ヴィラソロ代数は、種数 0 のリーマン面上で固定された2点を除いて正則であるような有理型ベクトル場全体の成すリー環の中心拡大である。 はより高い種数のコンパクトリーマン面上で固定された2点の例外を除いて正則であるような有理型ベクトル場全体の成すリー環の中心拡大を発見、また はこれを例外が2点より多い場合に拡張した。ヴィット環(ヴィラソロ代数から中心拡大を除いたもの)は によって発見された。その有限体上の類似物が1930年代にエルンスト・ヴィットによって研究される。ヴィラソロ代数を与えるヴィット環の中心拡大が(正標数の場合に)初めて によって発見され、それと独立に によって(標数0の場合が)再発見された。ヴィラソロは1970年、双対共鳴モデルの研究の中でヴィラソロ代数を生成する演算子のいくつかを書き下ろしているが、中心拡大の発見には到っていない。 によれば、中心拡大がヴィラソロ代数を与えることの物理学における再発見は程なく J. H. Weis によって成されている。
出典:wikipedia
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