アグロバクテリウム (Agrobacterium) とはグラム陰性菌に属する土壌細菌であるリゾビウム属 ("Rhizobium") の内、植物に対する病原性を持つものの総称。特にその中で根頭癌腫病に関連するAgrobacterium tumefaciens(Rhizobium radiobacterの異名)を指すことが多い。かつてアグロバクテリウム属という独立の属が与えられていたが、系統解析の結果多くはリゾビウム属に含まれることがわかり、その他も新設された ("Ruegeria")、 ("Pseudorhodobacter")、 ("Stappia") に分類され、学名としては廃された。このため使用には注意が必要である。しかしながら、アグロバクテリウムという分類は便利なため、分野や用途によってはこの呼称も広く使われている。アグロバクテリウムは、植物細胞に感染してDNAを送り込む(形質転換)性質があるため、植物のバイオテクノロジーでよく利用される。"A. tumefaciens"は多くの双子葉植物および一部の裸子植物・単子葉植物に虫こぶ様の腫瘍(根元などに生じ、根頭癌腫、クラウンゴール crown gall と呼ばれる)を起こす。この菌はTiプラスミド(pTi: Tiはtumor-inducingの略)と呼ばれる巨大なプラスミドを有しており、その一部であるT-DNA(transfer DNAの意)と呼ばれるDNA断片を植物細胞に注入し、T-DNAは相同組換えにより植物細胞のゲノムに挿入される。ただし、T-DNAの両末端の極めて短い配列とゲノムの配列との相同組換えであるため挿入位置はかなりランダムであり、実質的にはほとんどが非相同組換えによってゲノムに挿入されるといってよい。T-DNAは植物ホルモン(オーキシンとサイトカイニン)を生成する酵素の遺伝子である"iaaM"("tms1"), "iaaH"("tms2"), "iptZ"("tmr")を含み、これらによって生産される大量のオーキシンやサイトカイニンにより腫瘍("A. tumefaciens"に特有)が形成される。またT-DNAはオパイン (オピン: Opine) と総称される特殊なイミノ酸(アグロバクテリウムは炭素源や窒素源として代謝できるが、他の細菌はほとんど利用できない)を植物に作らせる酵素をコードしている。根粒菌などの窒素固定細菌とは異なり"A. tumefaciens"は寄生細菌であって、植物にとって利益はない。この"A. tumefaciens"の性質は「植物に対する遺伝的植民地化」とも喩えられる。Tiプラスミドは大きい(20万塩基対前後)プラスミドで、T-DNAの他にT-DNAを植物細胞に輸送するのに働く遺伝子群("vir" region)やオパインを分解消費するための遺伝子などを持っている。"vir" regionは"virA
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。