『お〜い!竜馬』(おーい りょうま)は、原作:武田鉄矢、作画:小山ゆうによる日本の漫画。『少年ビッグコミック』(小学館)で1986年から連載を開始し、同誌と後継誌『ヤングサンデー』(1987年リニューアル創刊、1995年週刊化)に1996年まで連載された。単行本は小学館ヤングサンデーコミックスから全23巻(ワイド版・文庫版は全14巻、新装版は全12巻)。1992年にテレビアニメ化、2005年に舞台化された。幕末の英雄・坂本龍馬の生涯を、虚実を交えながら、時にコミカルに時にシリアスに描いた作品である。「人間をズバズバと斬る漫画が描きたい」という小山ゆうに、担当編集者が武田鉄矢原作で主役が人斬り以蔵の短編漫画を描かせようと判断し、小山に武田を仲介し会談させたものの、何故か武田に「主役が岡田以蔵」という話が伝わっておらず、小山に延々と坂本龍馬の話を続けたことから、徐々に小山が話に乗り気になり、連載が決定した。なお、連載当初は短編のつもりで描いていたため、ほぼフィクションである(後述)。司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』に対抗し、『竜馬がゆく』が書いていない龍馬の幼少時代から描き始めるという形をとり、土佐藩上士による郷士差別など歴史的事実をベースにしながらも(なお、この時点で当初の目的「人間をズバズバと斬る」は達成されている)、竜馬と武市半平太(瑞山)、岡田以蔵の幼なじみ設定、ジョン・エリックというアメリカ人の漂流者を登場させ、海運業への憧れを幼少期の体験に根付くものとするという、小山・武田曰く「嘘と本当のギリギリのところを狙った」独自設定を展開した。なお、連載が長期になることが確定した青年編になったあと、ジョン・エリックは再登場し、実際に竜馬の所在が掴めなかった時期にエリックの船に乗って上海に行っていたという独自設定が登場している。その他のギリギリのところを狙った独自設定には、池田屋事件の際に竜馬が寺田屋に居合わせた、新撰組の沖田総司が龍馬と面識があった、龍馬と三吉慎蔵が14代将軍・徳川家茂と面会する、などがある。主に武田が持つ数多くの資料を基に、隙間を想像で埋めるようなストーリーの作り方をし、どのエピソードもその前後をしっかりつなげて描いたため、ほとんど違和感を覚えさせない物語展開になっている。そのため、それらをそのまま史実と解釈する読者も少なくない。竜馬と武市と以蔵の幼なじみ設定は同作の根幹部分にもなり、武市と以蔵の刑死のくだり(YSの単行本で14巻)は主人公である竜馬がほぼ出てこず、連載時にあまりに主人公である竜馬が出ない回が続き、心配になった小山が担当編集者に大丈夫かと訊いたところ「大丈夫だ、持つ」と言われたと語っている。竜馬と武市と以蔵の「三人組」のパターンを、その後もたびたび別の登場人物で構築しようとしたが、この関係を超えるものは描けなかったという。また、連載当初は土佐藩上士と郷士の構造を、上士を悪人として強調して描き、子供の目に映る封建主義の理不尽さを際立させてていたが(山内家の子孫から「残虐に描きすぎ」と苦情が来たという)、連載を重ねるうちに小山が誰一人として悪人にはしないという方針を打ち出し、原作の武田の最後まで悪人で通せという方針を無視するようになった。そのため、青年編では土佐藩前藩主・山内容堂や、上士の後藤象二郎、乾退助(後の板垣退助)、福岡藤次(後の福岡孝弟)らの酷薄な描写が減り、人間味を感じさせる描写が増えることになった。この作品が描かれた時期にNHKの大河ドラマで同じ司馬原作の『翔ぶが如く』が放送され、近代日本の礎を築いた政治家としての大久保利通の人物評価が高まったが、この作品中での大久保は龍馬に敵対心を持つ陰険で冷徹な人物として描かれている(ただ、大久保が初めて登場する単行本第15巻では、彼を近代日本の礎を築いた人物として肯定的な解説がなされており、大久保が龍馬に嫌悪感を抱く過程もコミカルなものとなっている、また、薩長同盟締結の時は、嫌ってたはずの竜馬の真剣な態度に複雑な表情も見せている)。青年編に差しかかったころから、図書館に置かれる漫画の一つとなったが、単行本4巻にはエッチなシーンがあり、小山の下に読者の父兄から苦情が度々届いたことからエッチなシーンを描く事を自主規制することになった。当初はもっと構想があったとしている。ちなみに原作者の武田は、2006年放送の大河ドラマ『功名が辻』に山内家の家臣五藤吉兵衛役で出演したが、オファーが来た際は山内容堂に対する悪感情から複雑な気分になったという。だが2010年の大河ドラマ龍馬伝で、坂本竜馬の師匠・勝海舟役を演じることになり「俳優業の集大成」「先生冥利に尽きる」と発言している。同時代を描いた小山の漫画『AZUMI』では、本作のキャラクターがそのままのデザインで登場している。1835年11月15日、高知城下・坂本家の末女・坂本乙女はほうき星を見ていた。その日は母・坂本幸が、まもなく出産を迎えようとしていた日。ほうき星に天翔ける竜と白馬の姿を見た乙女は、その星にこう叫ぶ。「今夜生まれてくる子は男にしておくれ!私がきっと強いサムライにしてみせるから!」その言葉に、ほうき星は優しい輝きを見せた。まもなく、産声があがった。産まれたのは元気な男の子。だがちぢれ毛で、背中にたてがみが生えている変な子であった。そんな我が子に呆然とする父・坂本八平を尻目に、乙女は、その子を抱きかかえ、「竜馬」と名付けた。坂本竜馬の人生が始まったが、乙女の願いとは裏腹に泣き虫で弱虫。岡田以蔵を始めとする、近所の子供達からも、そのちぢれ毛を馬鹿にされ、いじめられる毎日。勉強もからっきしで、塾から放り出される始末。そんな竜馬を乙女や二番目の姉・坂本栄は見放すことなく、厳しく育てる。だが、竜馬の長所は、その優しい心であり、そのことを幸は誰よりも理解していた、気付けば、竜馬の心は、ふとしたきっかけで以蔵たちをも虜にし、竜馬の面倒を見てきた武市半平太も、竜馬の器の大きさに感服。上司の佐々木加代からも強く関心を持たれた。友人たちも出来て、少しずつ勇気も得ていく、竜馬だったが、土佐藩には上士と郷士という差別があり、郷士は上士に逆らう事が出来ないという理不尽があった。そして、12歳の時、藩主・山内容堂の非情な命令により、眼前で友達を斬り殺された竜馬は容堂を斬ろうとするも返り討ちに遭ってしまう。加代と武市の懇願のおかげで、竜馬は命だけは助かったが、謹慎中の間に、幸が病死した。上士と郷士の壁で大切な人たちを喪った竜馬は剣の腕を磨いていく。16歳になった竜馬は、その幼少期からは想像もつかないほど、精悍な青年になっていた。だが、どんなに強くなっても上士と郷士の溝は埋まりようもなかった。それでも、竜馬には強くなる事しか成すべき事がない。18歳になり、江戸の千葉道場へ剣術修行にでた竜馬は江戸の文化にカルチャーショックを受け、故郷の小ささを思い知る。そんな時、前代未聞の大事件が起きた。黒船来航である。あわてふためく幕府の対応を目の当たりにする竜馬。そして一目黒船を見たいと思った竜馬は海辺近くで不思議な一団を見つける。それは吉田松陰と、桂小五郎、高杉晋作といった松蔭の門下生達であった。そして、それまでの竜馬には想像もつかなかった言葉を松蔭から聞く。「異人におびえる、腐った幕府など、ぶっ壊してしまえ!」土佐に帰った竜馬は郷士仲間達にその言葉を伝えた。上士の差別に甘んじるしかなかった郷士達は、松蔭の言葉に生きがいを見出した。やがて彼らは武市を筆頭に「土佐勤皇党」を結成する。だが勤皇党は当時の土佐藩家老・吉田東洋に弾圧を受け続けたため、武市は東洋を暗殺し、これによって容堂に近づこうと計画する。しかし上士以外は人とも思わぬ、そんな容堂の真の姿を知る竜馬は武市に反対する。「容堂を盲信している」と武市を指摘し、みんなでこんな腐れ藩を脱藩しようと言う竜馬に、武市は「出てけ!」と怒鳴った。1人夜道を歩く竜馬。「道が見えん…、誰か道を照らしてくれ…!」そんな龍馬に成すべき事はただ一つ、脱藩である。だが、それは藩への謀反を意味し、結果、竜馬の脱藩は栄を喪う事になった。脱藩後、竜馬は幼少期に会ったアメリカ人、ジョン・エリックをたずねて長崎に向かった。エリックは捕鯨船で遭難にあい、土佐沖に漂着したものの、竜馬に助けられたという過去を持っていた。2人は感動の再会を果たし、一路、上海へ向かう。上海では偶然にも高杉晋作と再会し高杉から同志の証として保身のためのピストルをプレゼントされるが、その上海はアヘン戦争の影響でイギリスの植民地と化していた。現地人による攘夷運動もむなしく、イギリス兵達は野蛮を繰り返す。竜馬はその上海の姿に、列強に囲まれる日本の未来を見ていた。そして追い打ちをかけるように栄の自害を知る竜馬。それは竜馬を世界に旅立たせるための、栄の覚悟であった。竜馬は日本を生まれ変わらせることに邁進する決意を固めた。「日本を直してから、また一緒に旅に出よう。」エリックと別れた竜馬は帰国し、江戸に向かう。江戸で、竜馬は高杉晋作と会い、そこで勝海舟の存在を知らされる。勝が軍艦を独占している事を知った竜馬は勝を斬ろうと決意。千葉道場の若主人・千葉重太郎と勝の屋敷へ向かう。だが勝は用心もせず2人の前に現れ、「斬る前に俺の話を聞け」と持論を展開した。「開国し、外貨を蓄え、軍艦を増備し、さらに清・朝鮮と三国同盟を作り、列強と対等に渡り合う」単純な尊皇攘夷論しか沸き起こらなかった時勢の中で、竜馬は勝の言葉に感動した。そして「わしを弟子にしてつかあさい!」と叫んだ。竜馬はこの日から、まさしく竜と馬のような行動力で時代を駆け抜けることになった。時代の激流は、武市や以蔵ら土佐の仲間達を次々と奪っていった。その怒りがパワーとなり、薩長同盟、大政奉還、海援隊へと竜馬を走らせていく。そして竜馬の活躍は天下に知れ渡る事になった。大政奉還がかない、武力を使わずして幕府から朝廷への政権移譲をスムーズに進めるべく、竜馬は新政府の人事案を練り上げる。新政府人事の中に竜馬自身の名がない事を西郷に指摘された際、竜馬は「わしは窮屈な役人になるのは性に合わん。世界の海援隊でもやりますかいのう。」と語った。だが、1867年11月15日、竜馬33歳の誕生日に、竜馬は暗殺者の刃に倒れた。同日、竜馬の死を感じ取ってか、乙女は竜馬が誕生した日のことを思い出していた。「生まれる時にあの天狗星が、何か細工をしたのかもしれないな」という兄・坂本権平の言葉に、乙女はあの星のあの輝きは、自分の言葉に対する返事なのだと確信した。「きっとそうじゃ、のう、竜馬」そう夜空に微笑む乙女であった。「THE MAKING OFおーい!竜馬」にて、本作は竜馬・武市・以蔵の3人が主人公であると表記されている。中盤、武市と以蔵は処刑されるが、その後も何度も回想に登場し、竜馬を奮い立たせるかけがえのない存在として描かれている。1992年4月7日から1993年3月30日にかけて、NHK総合テレビでテレビアニメ化された。全39話。NHK地上波の新作アニメ枠の作品として初めて、ステレオ放送を行なった作品である。原作での残酷描写やアダルト描写は極力抑えられており、容堂が子供たちを処刑するシーンに関しては、流血や切断はカットされた。アニメ放送中は原作が続いていたことから、原作に先駆け、アニメオリジナルの形で最終回を描くことになり、上海から帰国後の明治維新までの竜馬の行動、及び国内情勢は全てダイジェストで描かれ、暗殺シーンへと繋げている。本放送は火曜19:30枠であったが、この時間帯のアニメ枠は『子鹿物語』以来で、現時点では本作が最後である(実質的に前番組にあたる『アニメひみつの花園』は金曜19:30枠、後番組にあたる『忍たま乱太郎(第1期)』は土曜18:10枠である)。本放送当時の広報資料等では「歴史上の人物の生い立ちが学べる大河アニメ」と書かれていた。主題歌のオープニングテーマ「くそったれの涙」、エンディングテーマ「風の一歩」は原作者の武田が歌っている。VHS化、レーザーディスク化は放送当時にされており、2010年3月に角川映画より完全版DVD-BOXが発売された。また、NHKでは長崎県限定で2009年11月9日より再放送されたものを除き、地上波・BSのどちらでもこれまでに一度も再放送されたことがない。パッケージソフトでは全39話となっているが、本放送時の最終回は第35話から第39話を編集した70分スペシャルとなっている。本編終了後の約5分間を使い、物語に関係する場所・人物等をより具体的に紹介し、補足するコーナー。それ以外にも以下のようなものもあった。
出典:wikipedia
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