寄託(きたく)とは、当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物を保管することを約し、それを受け取ることによって成立する契約。日本の民法では典型契約の一種とされ()、商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合(商事寄託)については商法(以下)に特則が置かれている。民法に規定する寄託(民事寄託)は、当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物を保管することを約し、それを受け取ることによって成り立つ契約である()。寄託において目的物の所有者が寄託者である必要はない。寄託は物を保管するために労務の提供がなされる点で他の契約類型とは異なる(通説)。コインロッカー、貸金庫、貸駐車場など物を保管するための場所を提供するにすぎない場合には、寄託ではなく場所の賃貸借契約ないし提供契約となる。他方、単に物の保管にとどまらず目的物の管理(改良・利用)や運営に及ぶ場合には寄託ではなく委任契約となる寄託には委任類似の関係が認められるため、民法は寄託に委任の規定を準用する()。委任と寄託との区別は困難な場合もあり、そもそも寄託は物の保管を内容とする事務処理を委託するもので実質的には委任の一種にすぎないとみる学説もある。受寄者は保管義務を負う。保管における注意義務の程度は有償寄託か無償寄託かにより異なる。このほか保管に付随する義務として以下の義務を負う。返還時期を定めなかった場合には寄託者はいつでも返還請求できる。ただし、消費寄託契約において、返還時期を定めた場合は、寄託者はその時期まで受寄者に対して返還請求をすることができない(の反対解釈)。寄託物の返還は原則として寄託物の保管場所でしなければならないが、受寄者が正当な事由によって寄託物の保管場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる()。なお、契約上の返還請求権が時効により消滅しても、所有権に基づく返還請求権が認められる(通説・判例。判例として大判大11・8・21民集1巻493頁)。なお、寄託における損害賠償義務については委任の規定は準用されず(参照)、後述の通りに定めがある。寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない (本文)。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない (但書)。寄託者の損害賠償義務は寄託物の性質あるいは瑕疵による場合に限定されており、委任契約の受任者に比して損害賠償責任が限定されている。日本の民法は損害賠償義務については委任契約の規定を準用していないが、その理由は必ずしも明らかでないとされる。寄託は継続的契約であるため契約は告知によって終了する。無理由告知であり履行を催告する必要はなく662条・663条によって告知すれば足りる。このほか契約一般の終了原因(期間満了や目的物滅失など)によっても終了するが、委任とは異なり当事者死亡・破産・後見開始は終了原因ではない。寄託物の返還は先述の告知を前提とする。受寄者が寄託物を消費することができることとされ、寄託者により寄託された物と同じ種類・品質・数量の物を受寄者が返還することとした寄託契約を消費寄託という()。不規則寄託とも呼ばれる。消費寄託には原則として消費貸借の規定が準用される(第1項)。ただし、消費寄託契約に返還の時期を定めなかった場合の返還時期については消費貸借の規定(591条1項)は準用されず、寄託者はいつでも返還を請求することができる(第2項)。消費寄託の典型例として銀行預金(預金契約)があり、主に銀行取引約款や取引上の慣習、行政法規(出資法等)によって規律されている。複数の寄託者が同じ種類・品質の物を寄託し、それを混合する形で受寄者が保管し、契約で定められた返還時期に各寄託者が寄託した割合に応じて返還を受けることとした寄託契約を混蔵寄託という。混蔵寄託の目的物としては石油や穀物などが挙げられる。寄託物の消費が予定されていない点で消費寄託とは異なる。商事寄託については商法593条以下に条文がある。商事寄託は社会上重要な役割を果たしている。商人が他人のために寄託をしたときは報酬請求権が認められ有償寄託となる()。他人のために物品を倉庫に保管する営業を倉庫営業という(商法第597条以下)。倉庫営業は実質的には有償寄託であり、沿革的には民事寄託とは別個に発達してきたもので、本来、民法の適用の余地はないとされる。ただ、実際には商法の倉庫営業に関する規定の多くは倉庫証券に関する規定であり、商法学では倉庫寄託契約も寄託の一種であるとして民法の寄託規定の適用があると解されている。なお、倉庫寄託契約が諾成契約か要物契約かという点については論争がある。
出典:wikipedia
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