『エリア88』(エリアはちじゅうはち・エリアエイティエイト)は、新谷かおるによる日本の傭兵戦記漫画。本作は小学館の漫画雑誌「マンガくん」が「少年ビッグコミック」に誌名変更される際の新連載作品の一作であり、1979年から1986年までの8年間にわたり連載された。精緻なメカ描写や、リアリティのある舞台設定、空軍基地エリア88の一癖ある傭兵たちが交わす哀愁の漂うセリフなどの独特な特徴から広範な支持を受け、あだち充の『みゆき』と並ぶ同誌の看板作品となり後発の作品にも多大な影響を与えた。単行本は全23巻、復刻版(ワイド版)は全10巻、文庫版(スコラ漫画文庫シリーズ版、MFコミックス版)と完全版(メディアファクトリー・フラッパーシリーズ)は全13巻が刊行されている。第30回(1984年度)小学館漫画賞受賞。最終回は巻末の掲載で異例の「前半モノクロページ、後半カラーページ(2色カラー)」という構成であり、通常のカラーページを掲載する場合とは逆であった。これは作者の強い要望により実現したもので、最終ページの見開きのコマはカラーということも相まって大きな反響を呼んだ。この後半のカラーページという新谷の要望に対し、担当の編集者は「麻雀漫画みたいでイヤだ」といい顔をしなかったという。単行本では再現されなかったものの、のちにメディアファクトリーから発売された「完全版」ではカラーページも完全再現された。最終回の1ページ丸々使ってのスタッフロールでは、当時『うる星やつら』を連載していた高橋留美子から、「私が『うる星やつら』の最終回でやりたいと思っていたのに、先を越された」といった旨の言葉を言われたという。ちなみにここにはアシスタント時代のゆうきまさみの名前もある。作品が生まれるきっかけは、ある一本のテレビCMから。ベトナム戦争真っ只中の時期に放送され反響を呼んだナショナルのBCLラジオ(RF-1150)のCMに、「異国に出兵中のアメリカ人兵士がラジオから流れる国歌を聴いて涙する」というものがあった。このCMを見た新谷かおるが「もし日本人が似たような状況で、異国の地で『さくらさくら』を聴いたらどうなるのだろう…」と思ったのが本作が生まれるきっかけであった。ちなみに題名にある88は、プラモデルでその出来に満足した88mm対空砲から来ている。(1984年発売のオリジナルBGMから)作者によると『巌窟王』がベースであり、友に裏切られ、恋人を奪われ、エルバ島に流されたモンテ・クリスト伯は…というくだりをそのまま使ったとのことである。この作品の影響力は大きく、作品自体のゲーム化に留まらず、バンダイナムコの「エースコンバットシリーズ」も含め日本製のフライトシューティングゲームでは必ずといって良いほど本作に登場した機体が登場する。海軍機として著名なF-14やハリアーはともかく、なかにはマイナー機のF-5Eや試作機に過ぎないF-20やX-29が登場することも少なくない。また敵を撃墜したスコアに応じて報酬が得られ、それで新しい機体を購入するといった仕様も本作が由来している。大手航空会社である大和航空のパイロット候補生・風間真(シン・カザマ)は親友の神崎 悟と共にパリでの研修訓練を終了し、帰国後に正式入社をすることになっていた。社長令嬢・津雲 涼子との交際も順調でその将来を嘱望されていた。だが、神崎の策略によりフランス外人部隊に入隊させられ、激しい内戦の続く中東のアスラン王国の傭兵部隊へと送り込まれる。そこは地獄の最前線 ─ 作戦地区名エリア88。除隊するには高額の違約金を払うか、契約満了まで生き延びるかのみ。ザク国王率いるアスラン政府軍の傭兵部隊として、東側から武器援助を受けた反政府軍と血みどろの戦いを繰り広げる場所だった。エースパイロットとして頭角を現したシン・カザマは戦闘機乗りとして敵兵を倒して報奨金を稼ぐ傭兵稼業に染まっていく。アメリカ出身でベトナム帰還兵のミッキー・サイモン、デンマーク空軍出身で対地攻撃では右に出る者がいないグレッグ・ゲイツ、西ドイツ出身でNATO空軍の元将校フーバー・キッペンベルク、そして彼らの指揮官であり、凄腕のパイロットでもあるアスラン王子サキ・ヴァシュタール。彼らはそれぞれ心に傷を負い、傭兵とその雇い主に身を落としていた。一騎当千を謳われる戦友たち、そして彼らに武器を売って儲ける因業爺のマッコイと共に、シンは数々の危険な作戦をこなしていく。行方をくらませたシンの身を案じていた涼子は偶然にも欧州に居たサキと飛行機で乗り合わせる。サキ暗殺のため仕掛けられた爆弾を巡り、シンとミッキーが危険な解除作戦を行う。作戦は成功し、サキは涼子に「あれは私の部下のシンです」と告げた。まさかと思う涼子だったが、帰国した涼子は雑誌に載ったサキとシンの写真を見てしまう。シンが中東アスランにいることを知った涼子は社長秘書の安田 妙子とともに旅立つが、その機を操縦するのは神崎だった。シンは偶然にも無線で神崎の名を聞いてしまう。激情に駆られ撃墜を試みるシンだったが、神崎から涼子が搭乗していることを聞かされて思いとどまる。しかし、民間機攻撃の責を問われたシンは独房に入れられ、錯乱したシンはサキの眼に深刻な傷を負わせてしまう。銃殺こそ免れたものの、シンはサキに大きな借りを作ってしまう。事件により涼子はアスラン行きを断念させられ、シンの生存を知った神崎はマフィアの手を借りて刺客を送り込む。外資導入を図ろうとするサキの父アブダエル率いる反政府軍には様々な勢力が石油利権目当てで援助していた。シシリアンマフィアのジュゼッペ・ファリーナは新兵器開発の実験場としてアスラン内戦を利用。反政府軍に売りつけるため財力を注いで地上空母を作り上げる。その頃日本では神崎による大和航空乗っ取りが行われ、新社長となった神崎は安全基準ギリギリの旅客機を運航させ、兵器輸出で利益を上げていく。だが、羽田沖で墜落事故が発生。安田は神崎の情婦ジュリオラに命を狙われるが難を逃れ、かねてからの調査報告を発表することで神崎を失脚に追い込む。地上空母と最新鋭のリモコン式の艦載機にエリア88は苦しめられる。父の代理として地上空母を視察していたサキの弟リシャールは地中ミサイル「グランドスラム」を目の当たりにしてなんとか発射を阻止しようとするが失敗。瀕死の状態で放り出されていたリシャールは偶然にも通りかかったマッコイに救われる。リシャールはサキにグランドスラムの脅威を伝えようとするが時既に遅くミサイルは発射されていた。ミサイルの存在を知ったエリア88はなんとか最悪の事態を免れるため誘爆作戦を敢行。作戦は成功したもののエリア88は主滑走路を失う。だが、もう一発のミサイルが王都に向けて発射されていた。シンはサキと共に王都に向かう。サキはシンと涼子の関係を知り、自分の命令が健在なうちにシンを除隊させようとするが、シンはサキへの恩義から尚も作戦への参加を希望。王都攻撃は不慮の事故により未遂に終わるが地上空母によりエリア88は占拠される。シンは仲間たちと共に地上空母との最終決戦に臨むが一連の戦いで多くの戦友と帰るべき基地を失う。鬼教官ラウンデルの指揮するギリシャの外人部隊訓練基地での再編後、エリア88はアスラン正規軍に編入されることになり、大尉に任官したシンは契約期間満了まで傭兵を続けざるを得なくなる。一部隊の指揮官となったシンの部下として新人パイロットで最年少のキム・アバが編入される。シンは徹底的なシゴキによりキムに生き残るための心構えを叩き込み、一流の戦士へと鍛え上げる。新生エリア88は山岳を切り抜いて作られた険峻な基地だった。攻勢を強める反政府軍に対し、エリア88は敢然と立ち向かう。また、涼子は安田と共に欧州のアパレル業界で一大ブランドを築いていく。一方、ジュゼッペをジュリオラと共に抹殺した神崎は「サトル・ファリーナ」を名乗り、養父が温めていた悪魔の計画プロジェクト4の実施を宣言。その手始めとしてアスラン内戦に介入し、元ブルーエンジェルスのゲイリー・マックバーン(マック)ら名うての戦闘機乗りを傭兵として送り込む。共に米軍で旧知の仲であるミッキーとマックは戦場で邂逅。ミッキーはマックが娘のために傭兵に身を落とした事情を知ってしまう。一方、シンはプロジェクト4の新兵器対空地雷に気をとられて撃墜され、妖艶な傭兵セイレーン・バルナック(セラ)と知り合う。セラに迫られるシンだったが最愛の涼子でさえ抱けぬ身の上を包み隠さず語る。そんな誠実なシンにセラは一目惚れしてしまう。続く戦いでミッキーがセラを撃墜して捕虜とするが、エリア88の奮闘も空しく、プロジェクト4の攻勢により王都が陥落。アスラン兵による嬲り殺しを警戒したシンはセラを涼子へのメッセンジャーとして脱出させる。「シン・カザマは傭兵としてアスランの空に散った……」セラは気丈にもその言葉を恋敵である涼子に告げる。だが、シンは皮肉にもサキから王都を逃れたザク国王を伴ってフランスに亡命し、その後除隊するよう命じられる。反政府軍の大部隊が迫る中、エリア88のメンバーは決死の覚悟で脱出を試みる。サキは傭兵部隊としてのエリア88を失う覚悟だったが、ミッキー、グレッグ、キムら主要なメンバーは尚もサキと共に戦うことを望んだ。サキは海岸線に仮設基地を建設し抵抗を試みる。そこへプロジェクト4を見限ったセラが合流する。一方、パリで除隊したシンだったが、平和な日常は最早彼には苦痛でしかなくなっていた。シンはマークⅢという傭兵部隊に志願し、パリに滞在する涼子に別れの電話をかける。神崎はアブダエルを傀儡とする新生アスラン王国の建国を宣言。アブダエルを操縦するため、彼が没後も愛するサキたちの母ソリア妃の霊廟を焼き払うように命ずる。中東の石油利権を牛耳る野心から神崎はアスランを隣国ブラシア侵略へと向かわせる。ジュリオラはソリアの遺体が冷凍保存されていたことを知り、密かに欧州に持ち去る。神崎の子を妊娠していたジュリオラは愛を信じたいという気持ちを抑えられなくなっていたのだ。シンの電話にショックを受けた涼子は自殺を試みるが安田に発見されて事なきを得る。ジュリオラもまた頼るあてがなくなり仇である筈の安田を頼ることになる。一方、シンはマークⅢの指揮官としてアフリカの小国バンバラで起きるクーデターの際に大統領一家を保護して逃亡する任務を負う。その準備の過程でマッコイと再会したシンは裏切りを察知。当初の計画通り、大統領一家を護衛しての国境越えを試みるが、追撃を受けたシンは大統領夫妻と部下の大半を失う。死に瀕する大統領から我が子と共にシンに託されたのはスイス銀行のカードだった。マッコイの救援で九死に一生を得たシンはスイスに渡り、途方もない額の金を受け取ることになり、一夜にして大富豪となる。マッコイがシンのために飛び回っている中、エリア88は盗賊紛いの真似で物資を盗み出しては命脈を繋ぐジリ貧状態にあえいでいた。サキは瞬く間に滅ぼされたブラシアの空軍パイロットを強奪するためキムとセラを送り込む。セラの活躍によりブラシア空軍のパイロットを処刑から救い戦力を補充したエリア88だったがプロジェクト4の攻撃により海岸基地を失う。絶望に打ちひしがれるサキに届いたのはマッコイからの無線連絡だった。「何者か」がサキとエリア88の戦士たちのためにエンタープライズ級の原子力空母を艦載機と乗組員付きで無償提供するというのだった。サキは艦名を「エリア88」としてプロジェクト4の野望阻止に向かう。神崎の次なる狙いはタンカーが往来するスエズ運河だった。神崎とプロジェクト4調査のため日本に一時帰国したシンは空港で海音寺 八兵衛という老人と知り合う。八兵衛に見込まれたシンは彼の主催する園遊会に招かれる。神崎に買収された大和航空を買い戻したシンだが、そうした動きは政財界に通じる八兵衛に筒抜けになっていた。園遊会で八兵衛から詰問されたシンはこれまでの過酷な経緯を語る。一方、八兵衛と旧知の間柄である涼子もまた園遊会に招かれていた。シンと涼子は運命的な再会を果たす。夢にまでみた愛する涼子と結ばれ、束の間の安息を楽しむシンのもとに神崎からの電話が入る。神崎は自分とシンの根深い因縁とそれが故の復讐劇を語り、シンと涼子がつくる平和な日常をすべてぶち壊すと宣言し、置き土産として大手日本企業を欧米に売却する。このことを重くみた八兵衛はシンが自らの懐を痛めてそれらの企業を買い戻したと偽装し、シンを日本国外に送ると告げる。最早、アスランでの戦いが自分とは無関係でなくなり、神崎との決着をつけない限り真の平穏が訪れないと悟ったシンはマッコイを通じ、自らの意志でエリア88への参加を契約する。シンが八兵衛の手で国外に送られたことを知った涼子は落胆に泣き崩れるが、シンの子を宿した彼女は黙っておらず、夫の戦いを支援するため「女の戦い」に臨む覚悟を決める。その頃、欧州ではジュリオラにより持ち出された冷凍保存状態だったソリアが蘇生していた。安田は記憶を喪失したソリアがジュリオラの妹だと信じている事情、そしてジュリオラが神崎の子を宿して苦悩している様を目の当たりにする。プロジェクト4によるスエズ侵攻阻止のためエリア88は全力を挙げる。サキはいずれ訪れる戦いのため陸上空母の攻撃で廃墟となった旧エリア88の再建を目論む。そこで戦死したフーバーの亡霊と出会ったサキは、いずれサキが最も信頼する7人の部下と共に冥府に来ると予言される。ミッキーとセラは互いの想いを語り合ううちに将来を約束する仲になっていた。そんな中、最新鋭機を手に補充兵として加わったシンにミッキーは激怒して手をあげる。ミッキーは心を許せる無二の親友であるシンに自分と同じ地獄を味わって欲しくないと思っていたのだった。シンは仲間達に自分が戦いに加わる意味と神崎の野望を挫くという目的を語る。一致団結したエリア88はスエズ侵攻の出鼻をくじく。スエズ侵攻が膠着状態に陥ったこと、その間に涼子による婦人たちへの呼びかけがプロジェクト4に参加する企業を圧迫していることを告げられた神崎は激高する。また度重なる侵略戦争にアスラン王国軍内では厭戦気分と外国人に指揮される不満が募っていた。反政府ゲリラとなりながら尚も戦いを続けるサキとエリア88に同調したアスラン兵によるクーデターが発生。彼らの中心ははかつて外人部隊として戦うグレッグの演説を聞いた者たちだった。内部の反乱とエリア88の攻撃によりプロジェクト4の軍勢は瓦解していく。エリア88もプロジェクト4もギリギリの状態となっていた。サキは王都奪還を目指してエリア88のメンバーに最後の出撃を命じ、自らも参戦する。ラウンデルの配慮がアダとなりサキは王宮付近で墜落。それを目撃したシンはサキ援護のため機体を捨てる。低空侵入で地上部隊を駆逐していたグレッグは墜落後にクーデター部隊に救出されるが不慮の事故により死亡する。空母で指揮を執っていたラウンデルはサキ援護の為出撃するが対艦ミサイルから空母を守るため戦死。グレッグ、ラウンデルの相次ぐ戦死に不吉な予感を悟ったセラはミッキーに注意を呼びかける。降下したシンは偶然にも神崎と遭遇し、肩に深手を負う。神崎は弾道ミサイルでアスラン全土を灰にすることを目論むが、娘の死を知ったマックは神崎の命令を反故にして部下達に脱出を命じる。シンとサキが王宮付近で消息を絶ったことを知ったキムは救援に駆けつけ、サキを探索するうちに軟禁状態のアブダエルを発見する。救難ヘリを呼び寄せるためキムが基地に戻る間にサキは一時的に自我を取り戻したアブダエルとの因縁に決着をつけるべく、父の亡骸と共に母ソリアの霊廟に向かい自殺を遂げる。聡明なサキを中心とした平和なアスラン建設を望んでいたシンはサキの思いがけない最期に我を失ってしまう。サキとシンを救出するためヘリで急行するキムだったが仲間達の相次ぐ戦死に遭遇する。シンを救出したキムはマックとの決着をつけるため出撃したミッキーがセラを庇うため被弾し、爆破炎上する機体と駆け寄ったセラと共に最期を遂げる場面に遭遇して呆然となる。そのとき神崎からの通信が届く。エリア88で裏切り者のマックを射った神崎はシンとの一騎討ちを求めてきたのだった。シンは止めようとするキムを振り切り出撃する。涼子の乗る国連機とすれ違いに飛び去るシンの愛機。アスランの真っ青な空の下、根深い因縁を抱えたシンと神崎は対峙する。神崎を前にしてシンはやはり銃口を引けない。だが負傷で痙攣する腕と彼に備わった生存本能が神崎の乗る機体を撃墜する。シンの機体は炎上しながらも帰還を果たす。だが、生還を遂げた彼の脳裏からアスランで過ごした過酷な戦いの日々は全て失われていた。涼子に伴われて日本に帰国しようとするシン、それを空港で見送るキム。「あなたの中に、もうぼくはいないのですね、そして共に戦った仲間たちも……」。ジュリオラは出産した我が子を手に抱き、悦びの声をあげる。「わたしのサトル。でも心は真っ白なのね……」。こうしてアスラン内戦は完全終結し、風間 真と神崎 悟の、そしてサキとアブダエルの戦いに終止符が打たれたのであった……。本作に登場する航空機は世界各国の実機をモデルとしているが、作中の描写においてはリアリティよりも漫画(フィクション)としての物語性や娯楽性を優先させた結果、実機とは矛盾した描写も少なからず存在する。このため、作中の描写と実機を同一視すると誤った知識を身に付けてしまうことになるため、注意が必要である。旧東側の機体については、連載当時の西側において信じられていた情報に基づいて描かれていたのが、冷戦終結後に覆った場合もある。航空機については、作者によれば「1キャラ1機体をコンセプトに、それぞれのキャラクターのイメージにあった機体を選んで搭乗させた」とのことである。このように多種の航空機を運用すれば補給面では大きな問題になるが、作者も承知の上でのフィクションである(作中の描写においても、エリア88の機体が正規軍の基地で補給を受けた際に、整備兵が戸惑う場面があった)。アスラン王国空軍の基地を表すコードネーム(作戦地区名)および、そこに駐留する外人部隊を指す名称。主人公・風間真をはじめとする本作の主要キャラクターたちが所属する部隊。本作の舞台となる中東にある小国。地中海に面しており、中部には砂漠が存在する。周辺のアラブ諸国と同様、石油を産出する。国教はイスラム教で王政を敷いており、国王はエリア88指令サキの叔父であるザク・ヴァシュタール。シンは神崎の謀略により、この国の政府軍側の外人部隊に入隊させられ、エリア88で戦闘機のパイロットとして戦うことを余儀なくされた。代々ヴァシュタール王家により統治され、小国ながらも平和で作物豊かな国であった。しかし前国王が次期国王として次男・ザクを指名し、崩御したことで状況は一変する。ザクと兄・アブダエルは前国王の存命中から意見の対立があり、崩御をもって対立が表面化した。開放政策を唱えていたアブダエルだが逆にザクは一種の鎖国政策を進め、アブダエルは反政府軍を組織し、ザク国王側の政府軍と2派に分かれての内戦状態となった。両軍で使用している兵器は、政府軍はイスラエル製のクフィールやF-4やF-5、F-15、A-4などを保有し、ギリシャに空軍の訓練基地を保有する等、アメリカを中心とした西側諸国やイスラエルと友好的な関係にあるようだ。それに対し反政府軍側は、ソ連を主とする東側の物が多い。外国軍の直接介入や軍事顧問の派遣はないが、両軍ともに外国人傭兵を投入しており、傭兵を中心に構成されているエリア88はその典型例である。アスラン王国への日本からの直行便は設定されておらず、テルアビブ経由になる。付近では大和航空の旅客機が同国空軍機とのニアミス及び襲撃される事件も起きている。内戦は、プロジェクト4が反政府軍を支配下に置いたことで、長らく膠着していた政府軍と反政府軍のパワーバランスが崩れ、表向きには反政府軍が首都を制圧したことによりザク国王がフランスへ亡命し、アブダエルが国王の座に就くことで内戦が終結したが、国の実権はプロジェクト4が握ることとなった。プロジェクト4は中東を支配下に置くため、次のステップとして隣国ブラシアの制圧を計画する。ブラシア軍になり済ましたプロジェクト4別働隊が国境付近のアスラン軍を攻撃し、ブラシアがアスランに侵攻したように見せかけ、ブラシアに対する報復攻撃として開戦口実を得てブラシアへ電撃的に侵攻し、プロジェクト4はブラシアを制圧する。ブラシア制圧に成功したプロジェクト4は、世界経済を握るためスエズ運河を支配下に置くことを計画し、スエズ運河を保有するタンドリアへ侵攻すべく準備を進めるが、エリア88の支援を受けたブラシア国内のレジスタンス運動により、プロジェクト4はブラシアを失う。しかしプロジェクト4はスエズ運河を支配下に置くべくタンドリア侵攻を開始し、タンドリア侵攻を阻止すべくプロジェクト4に対してエリア88も攻撃を開始する。エリア88の攻撃によりタンドリア侵攻は計画通りにいかず、プロジェクト4はタンドリア侵攻をいったん中断し、航空兵力のすべてをエリア88へ差し向けたが、エリア88もかねてからブラシアとアスランの国境付近にゲリラを含む地上部隊を準備しており、プロジェクト4がタンドリア侵攻を中断したのを見計らって地上部隊を反抗軍としてアスランへ送り込む。同時期、アスラン国内でも実態が不明の新政府に対して激しい反発が起こっており、正規軍からも部隊単位で離反者が出て、反抗軍へ合流していった。政府軍と反抗軍の勢力が逆転しての首都攻防戦が起こり、混乱の最中の王宮にてアブダエルとサキは死亡。プロジェクト4の傀儡政府も瓦解し、内戦は終結する。アスランは共和制に移行してザク元国王が首相に就任し、王家はアブダエルの第2子リシャール王子とアブダエルの妻ソリアが継いだ。エリア88の世界に登場する架空の航空会社(実はなどを業務とする会社で大和航空が実在する。ただし「だいわこうくう」と読む)。ロゴマークのデザインはかつての日本航空で用いられていた鶴丸がモデル。英語名は「Yamato Air Lines」(略称:YAL)で、これも日本航空(JAL)から取っている。劇中では日本航空(旧塗装)のボーイング747が描かれたコマもあった。物語の序盤においてシンと神崎はまだパイロット候補生でしかなかったが、シンがエリア88へと送り込まれた後、神崎はマックウェル・インターナショナル社(後述)に対して、同社のMB-14を大和航空の次期主力機として採用する便宜を図る見返りとして、同社経由で大和航空全株の45%を手中にし、国際線機長から社長へと大出世を果たす。のちに神崎がプロジェクト4のトップとなったため、大和航空はプロジェクト4の傘下となった。シンは、バンバラ国の大統領から相続した遺産を使って大和航空株を買い集めプロジェクト4から買い戻し、経営権を元々同社のオーナーだった津雲家に返還した。エリア88の世界に登場する架空の中型双発旅客機(エアバス)。製造は米国のマックウェル・インターナショナル社。操縦しやすいというパイロットの評判と裏腹に、安全性・信頼性が問題視されている。登場人物によれば、というシロモノで、「あれでよくアメリカ連邦航空局(FAA)の耐空証明が取れたものだ」などと揶揄されている。運用する整備員からも部品の耐久性に疑問を持たれていた。案の定、同機を採用した大和航空で墜落事故を起こし、採用を決めた神崎の同社での地位が危うくなる。OVAでは4発機になっていたが、双発機よりコストが高くなるはずであり、作中の設定と矛盾する描写がある。いわゆる「死の商人」たちが集まり、自らの利潤を追求する為に世界中の戦争を継続的にコントロールしようとした計画およびその組織の名称。その計画の中には兵隊、「戦争で失われる命」をも計画的に量産するというものもあったが、作中では実現していない。計画の立案者は、イタリアのマフィア・ファリーナグループの総帥にして武器商人のジュゼッペ・ファリーナとイギリスの武器商人のバンビーンで、ファリーナがプロジェクト4と命名した。バンビーン曰く「死の商人の閻魔帳」にして「滅亡への計画書」。この計画図はファリーナの死後、スイス・バンク の金庫内から発見され、ファリーナの養子となった神崎により実行された。スポンサーはこの組織に賛同するヨーロッパやアメリカなどの経済団体だが、プロジェクト4の実権を握った神崎を快く思わない者もおり、彼らはアスランの首都陥落で反政府軍に転落したエリア88の所属するザク国王派に支援を行ったり、スエズ侵攻がエリア88の攻撃により計画通りに進行しないことを理由に、プロジェクト4に対する支援の打ち切りを宣言するなど、裏切り同然の行為も行った。目の療養のあとロンドンにあるマダム・ビンセントの屋敷を訪れたサキが、宝石鑑定家である彼女から譲り受けた宝石で、ネックレスに使用されていた。彼女の弁によれば、インドの宝石商から手に入れたルビーの変種。これを身に着けていれば、どんな激しい戦いの中でも身を守ってくれるという。ヨーロッパからエリア88に帰還したサキからシンに渡される描写があったが、その後の描写は特になかったため、伏線としての意味は不明である。その後、戦士(フェダーイーン)の魂という言葉で、ボッシュがこの言葉を使用している。非常時の国庫金の秘匿名称。しかし本来は「あの戦争」で旧日本帝国軍軍部が秘密裡に蓄えた軍資金の名称だと説明されていた。使用できるのは内閣総理大臣と海音寺くらいだと言われており、神崎が売り飛ばした日本国内の企業を外資系企業に買収されるのを防ぐため、海音寺がやむなく使用した。買収防衛にあたっては数兆円ではきかない規模の出費だったらしく、日本が非常時にこれだけの金を出せる資金力を諸外国から悪意的に受け取られないよう、また、シンの資金力が大打撃を受けたと見せかける為にシンの資産と見せかけて使用し、プロジェクト4や諸外国の目を欺いた。現実社会でも「M資金」と呼ばれるものの存在は噂としてよく語られており、もっぱら詐欺のネタとして用いられる事が多い。作中の人物にも「まさか本当にあったとは」と語らせている。サキが旧エリア88基地に調査で訪れた際、出会った亡霊から「サキがこちらに来る時は、最も信頼する七人の兵士に手を引かれる」だろうと予言された。これはサキと88主要メンバー7人が内戦中に死ぬことを示唆している。その七人が誰なのか確信を得ていないサキは、後にミッキーに「最も信頼する兵士を六人」挙げさせている(サキはミッキーをそのうちの一人として確信していることを物語る描写である)。このときミッキーは、兵士でないマッコイを除くならとグレッグ・ケン・ウォーレン・セラ・キム・シンを挙げた。この時点でシンはエリア88を除隊していることから、サキはその後に復帰したアッサンが七人目なのかもと考え結論を出しかねていたが、終盤にシンがエリア88に再入隊したのを見て彼こそが7人目と確信した。本編内においては、具体的に「七人」が明確に誰を指しているのかを示す直接の描写はない。また、この「七人」のうちシンとキムは生き残った(アッサンの生死は作中では判明していない)が、副官のラウンデルが空母を守る為にミサイルに体当たりして死亡している。1985年から1986年にかけて、全3話のオリジナルビデオアニメシリーズがスタジオぴえろにて製作され、キングレコードから発売された。「ACT I 裏切りの大空」・「ACT II 狼たちの条件」・「ACT III 燃える蜃気楼」の全3巻。「ACT I」と「ACT II」は再編集され、1985年に映画版として公開された。その後、テレビ東京でも前後編に分けて放映された。岐阜放送は後編は同時ネットできず、1週間後に放映した。鳥海永行が監督、岡田敏靖が作画監督を務めて、第4回日本アニメ大賞オリジナルビデオソフト最優秀作品賞を受賞している。「ACT I」と「ACT II」の主題歌とエンディングはMIOが担当し、「ACT III」では北原志真が担当した。作品の都合上、シンの搭乗機体はF-8クルセイダーとF-5EタイガーII、F-20タイガーシャークの3機の他に、サキのクフィールを使用しての場面もある。また、チャーリーがF-16を使用しており、原作では最新鋭としてほとんど登場しなかったF/A-18が味方機として数多く登場する。DVD化はされているが、「ACT I」と「ACT II」は再編集で1本にまとめられた映画版のものでしか見ることができない。下記5曲は、いずれも新田一郎による作曲・編曲。全12話のテレビアニメがテレビ朝日の深夜枠とアニマックスで放送された。テレビ朝日での放送は2004年1月9日から同年3月26日。2006年にパソコンテレビGyaOでも全話無料配信が数回行われた。キャラクターデザインは、各キャラクターの印象が原作の絵と異なるものとなっている。戦闘機などのメカニックにCGが使われた。オープニングテーマにバッハの小フーガのアレンジ版が使われ、劇中のBGMの一部にはサイバートランスが使われた。オリジナルキャラクターとして、カメラマンの新庄真(しんじょう まこと。声:三木眞一郎)と女性パイロットのキトリ(声:小林沙苗)が登場。シリーズ全体がエリア88の取材から帰還した新庄の回想という体裁をとっており、新庄は作品の狂言回し的な役割となっている。なお、マッコイ役はOVA版でグエンを演じていた大塚周夫であり、新旧「エリア88」に唯一出演している。戦闘機のメカ描写については離陸用補助ロケットブースターが主翼上に設置される、ミサイルが模擬弾を示す青塗装で描かれている、旧式のF-8E(クルセイダー)がレーダーで一度に複数敵機をロックオンする、増槽を付けた状態で空戦を行う、AV-8Aハリアーのタービンが回っていない、ヘリコプターの脇をジェット戦闘機がとんだのになんの影響もない等、考証不足な面が幾つか見られた。他にも、原作の一部や台詞が改竄されたり前述したオリジナルのキャラクターが原作時のキャラクターの出番を持っていってしまうなど評価は低かった。シンが、F-8E クルーセイダー の次に乗る、F-5E タイガーII のカラーリングは、原作のF-20 タイガーシャーク のカラーリングになっている。CDはキングレコードからイメージアルバムとして2枚、アニメサウンドトラックとして2枚の合計4枚が発売されている。作曲・編曲はいずれも新田一郎。現在、各エンブレムは、原作者の「新谷かおる」氏の公認を受け「rose-ridge」から、販売されている。1/72で、コレクションをすると、「B-1」=レベル、「C-160 トランザール」=レベル、「C-47 スカイトレイン」=イタレリ、「C-130 ハーキュリーズ」=イタレリ、「CH-54A スカイクレーン」=レベル、など、大型のアイテムを揃えることができる。但し、「T-38 タロン」については、1/72での模型商品が、現在のところ、流通されていない。フジミの「Fシリーズ(1/72)」の「T-38 タロン」は、実際のところ1/48スケールである。シンの乗る、F-20 タイガーシャークについては、垂直尾翼のエンブレムや、機首にマーキングしてある「Tigershark」の有無など、いくつかのパターンが見受けられる。ミッキーの乗る、F-100 スーパーセイバー、及び、シンの乗る、F-8E クルーセイダーには、原作では、垂直尾翼に、エンブレムが、マーキングされていないことに、注意する必要がある。神埼が乗る「F-18(F/A-18)」については、機体は18Aではあるが、垂直尾翼は、18Cの描写がされており、再現するときのポイントになる。
出典:wikipedia
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