ヴィーンの変位則（ウィーンのへんいそく、）とは、黒体からの輻射のピークの波長が温度に反比例するという法則である。ヴィルヘルム・ヴィーンによって発見された。ヴィーンはドイツの物理学者であるため「ヴィーン」が正しい名称となるが、慣習的に英語読みのウィーンの変位則とよばれることも多い。ここでformula_2 は黒体の温度(K)、formula_3 はピーク波長(m)、formula_4 は比例定数でである。CGS単位系では formula_4 は約 0.29 ㎝·K である。物体の温度が高ければ、放射される波長は短くなる。例えば、太陽の表面温度 5780 K の場合ピーク波長は 500 nm にある。白熱電球をみると、温度の低い時、黄色っぽい光になりさらに温度が低い時赤くみえる（色温度も参照）。ヴィルヘルム・ヴィーンによって発見されたが、プランクの式から導くことができる。プランクの式によると、黒体輻射の分光エネルギー密度"u" は次式で表される：波長の最大値formula_3 を求めるために、波長分布 formula_9 をλで偏微分して、0 になる波長を求めればよい。ここでformula_12とすると、となる。この方程式は解析的には解けないが、ランベルトのW関数を用いて、と表現することができる。これを数値計算すると、となる。formula_16 からformula_3 を求めると、formula_18 として、を得る。振動数で表示されたプランクの公式を用いても、同様の導出が可能である。この場合、formula_21 はを満たすものであり、やはり解析的には解けないが、数値計算によりとわかる。したがってピークにおける振動数はとなる。formula_25ではないことに注意が必要である。

出典:wikipedia