『美味しんぼ』(おいしんぼ)は、原作:雁屋哲、作画:花咲アキラによる日本の漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、1983年20号より連載中。1987年、第32回小学館漫画賞青年一般部門受賞。東西新聞文化部社員、山岡士郎と栗田ゆう子を主人公に、食をテーマとして毎回様々なストーリーが展開される。本作品は人気を博し、のちにアニメ、ゲーム、テレビドラマ、映画化など様々なメディア展開もなされた。タイトルの『美味しんぼ』は雁屋による造語で、フランス語の「グルマン」に近い意味である。「食べ物を題材にした漫画を描いて欲しい。」と依頼された雁屋は、自分でタイトルを考えるのが面倒なため、担当編集者に作品タイトルを考えてくれるよう依頼した。しかし、担当編集者が出したタイトル案は「味で勝負」「味キング」「味一番」などであり、それを聞いた雁屋は「腰を抜かして」自分で考える事にしたのだという。グルメ漫画および日本のグルメブームの中心となったと一般に言われている。また、題材となる食べ物の種類も、和、洋、中、アジア、精進料理に庶民の食べ物までと幅広い。米、鯨、食品添加物など食文化に関するもの、食と関係ない様々なテーマについても問題を提起する回もしばしば存在する。連載は取材のため長期休載することがあり、2000年頃からは1年のうち大半を休んでおり、東日本大震災などの一つの主題を連続で描く時も途中休載することがあり、休載せずに完結することは少ない。単行本はビッグコミックスより刊行され、単行本の売上は2003年に累計1億冊を突破した。文庫版、愛蔵版、テーマ毎に再編集した総集編、関連書籍(「美味しんぼ塾」「美味しんぼの料理本」など)も刊行されている。第1巻から第60巻までの収録分はネット配信(有料)もされていたが、配信サイト「ライコスジャパン」が日本から撤退したため終了となった。台湾では東立出版社が小学館から正式認可を受けた繁体字中国語版の単行本が『美味大挑戦』というタイトルで刊行されている。『ビッグコミックスピリッツ』2008年24号にて、作者や関係者の話し合いにより連載開始から25年間続いた親子の確執を和解させ、物語を一区切りさせた。同時に長期休載状態になっていたが、2009年13号にて連載を再開した。その後福島県の震災・原発事故被害に絡んだ内容表現が問題とされていた最中の2014年5月19日25号を最後に再び休載となっている。東西新聞文化部の記者である山岡士郎と栗田ゆう子は、同社創立100周年記念事業として「究極のメニュー」作りに取り組むことになった。しかし、ライバル紙の帝都新聞が、美食倶楽部を主宰する海原雄山の監修により「至高のメニュー」という企画を立ち上げたため、両者を比較する「究極」対「至高」の料理対決が始まる。士郎は海原雄山の実の息子であるが、母親の死をめぐる親子間の確執から絶縁しており、「究極」対「至高」は料理を通じた親子対決であった。士郎・ゆう子が「究極のメニュー」の担当者に選ばれる(第1巻)、食べ物を通じて、諸問題を解決するパターンが出来上がる。初期における士郎・雄山との料理勝負は、いずれも偶然出会って意地を張り合うことで始まっていた。帝都新聞は雄山が指揮する「至高のメニュー」を立ち上げ、週刊タイム誌上で究極側との同時発表していくことになる。士郎・雄山の対決の場として定着。東西グラフ誌の企画「世界味めぐり」に士郎・ゆう子らも同行し始め(第21巻 - )、主人公の活動範囲が国内外に広がる。この業務関係者のうちから、士郎・ゆう子それぞれに対し求婚者達が現れるが、同時に両者が惹かれ合っていることを自覚していく。士郎とゆう子とが婚約。元求婚者達とは良き友人となる。披露宴は究極・至高のメニュー完成発表会(一度目)の場を兼ね、総括的なメッセージを込めた前菜・主菜が発表される。その直後 審査員から究極・至高の続行を要請される(第47巻)。士郎・ゆう子らが新婚生活に苦労する頃、悪徳マスコミ経営者・金上が東西新聞および雄山に攻撃を仕掛ける(第50巻 - )。そうした事件を含めて、士郎と雄山の協力劇が増える。「日本全県味巡り」が提唱され、これも究極・至高対決の題材となる(第71巻 - )。士郎・ゆう子の間に長男・長女が双子として誕生(第75巻)。両メニューが雑誌として定期刊行を始めた頃から(第86巻)、士郎・ゆう子・雄山は究極・至高メニューの世代交代を考え始める。東西新聞文化部に配属された飛沢周一は、士郎と美食倶楽部との間を行き来し、後継者候補となる(第91巻)。その後、士郎・ゆう子の間に二女が第3子として誕生(第99巻)。士郎・雄山の和解を望むゆう子は、2度目の両メニュー完成発表会を「相手を喜ばせる」対決とするよう図り、親子は一応和解した(第102巻)。そして士郎は雄山と過去を乗り越え、父子はついに真の和解を果たすこととなる(第111巻)。『ビッグコミックスピリッツ』2014年22・23合併号に掲載された「美味しんぼ 第604話 福島の真実その22」で、山岡や海原ら登場人物が福島第一原発に取材に行った後、疲労感をおぼえたり原因不明の鼻血を出したりするなど、体調の異変を訴え、実在の前福島県双葉町長の井戸川克隆が「"福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです"」と言う場面が描かれた。これに対して読者から「風評被害を助長する内容ではないか」との批判が寄せられ、スピリッツ編集部は「雁屋の実体験に基づいた表現を尊重したが、風評被害を助長するような意図はない」との声明を出した。これ以前にも雁屋は自身のブログ上で同様の投稿をしており、この件に関して「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」と語っている。後に「責任は全て私にあり、スピリッツ編集部に抗議するのはお門違い」とした。ただし井戸川が体験したという鼻血問題のメディア提示はこの作品が初出ではない。2012年4月25日参議院の憲法審査会に町長の井戸川は参考人として招致されており、出席した自民党議員の山谷えり子は審査会の最後に、雑誌に掲載されていたという、ほぼ同一の井戸川の意見を引用し政府に「双葉郡民は憲法上の国民ではないのか」と、対策を迫っているが、この際の雑誌掲載や国会での意見引用に関しては政府も自民党も県も双葉町も一切問題としていない。一方、双葉町は2014年5月7日に小学館に対して抗議文を提出し、抗議文中において、双葉町に対する公的な取材は全くなかった旨を示している他、同町に一部の読者から「福島の農産物は買わない」「福島に住めない」などといった苦情のメールが寄せられ、「県民や町民への差別を助長させかねない」と述べている。同日、福島県のサイトにも抗議文が公開された。環境大臣の石原伸晃は翌9日の記者会見で鼻血と原発事故の因果関係を否定した上で、『美味しんぼ』の描写によって風評被害を呼ぶことはあってはならないと述べた。さらにこの続き(5月12日発売号)で、井戸川が主人公らに対しこの鼻血について「(福島第一原発で)被曝したからですよ」と説明する件があるほか、福島大学の准教授の荒木田岳が除染作業の経験を基にして「福島を広域に除染して、人が住めるようにするだなんてできないと思います」と述べる件が描かれた。これに関連して福島県は「"『美味しんぼ』において、作品中に対する特定個人の見解が、恰も(あたかも)福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねないとする表現があり、県内外の多くのみなさん方に不安と困惑を生じさせており、福島県としても大変危惧しております。"」との見解を示した。更に同県知事・佐藤雄平は同日の会見で「登場人物が"福島県内には住むな!!"とする場面について、風評被害を助長するような印象で残念だ」と述べている。スピリッツ編集部はこちらについても「雁屋の意向を尊重し掲載した。騎西高校に避難した方が登場するが、鼻血と疲労の話とは関係ない。特集記事を25号に掲載するのでそれまで待って欲しい」と声明を出している。福島大学の荒木田が作中で述べたことについては、福島大学側では「個人の見解で、大学としての見解ではない」と公表している。上記2014年5月12日発売号において、被災した3県のがれきなどの廃棄物の処分を行っていた大阪市でも舞洲など焼却場付近で約8割が健康不安を訴えているとする旨の表現が掲載された。同市長・橋下徹は「漫画でもやりすぎ。作者が取材に基づいているといってるので、事実なら根拠を示すべき」と述べている。日本放射線影響学会はこの問題について「"成人で最も低い線量で現れる影響は、睾丸への被ばくによる一時的不妊で、しきい線量は100 mGyと推定されています(国際放射線防護委員会2007年勧告, ICRP Publication 103)。これより低い線量の被ばくでは、鼻血や全身倦怠を含めて臨床的に観察可能な放射線が直接原因となる身体的影響は報告されていません。"」と説明している。なお環境省では5月8日より、これらの事柄に関して、省としての見解を示したページを公開している。ビッグコミックスピリッツ編集部は、5月19日発売予定号で「ご批判、お怒りは真摯に受け止めて、表現のあり方を今一度見直していく」とする見解を示すとともに、福島の真実編が終了する次号から本作は一時休載に入ることを発表した。本作は元々1つのシリーズが終了する区切りで休載期間が入ることが過去何度もあったが、今回の休載も本問題発生以前より予定されていたことであり、原作者の雁屋哲も同月22日のブログで「休載は去年から決まっていた」と説明している。雁屋によると、福島の真実編は元から単行本2冊分(24話)で終わると決まっており、5月19日発売号の第24話までで予定通り終了したという。第22話が問題となり、読者から「圧力に負けないで勇気を持って書き続けて欲しい」との声が多く届いたが、その時点で既に原稿は最後まで出来上がっていたため「圧力に負けようにも負けようがなかった」と明かしている。実際に鼻血が増加したか否かについては、第三者による以下の報告がある。2011年11月に岡山大学、広島大学、熊本学園大学のグループが共同で行った疫学的統計を元に、公表された報告書では、双葉町において、体がだるい、頭痛、めまい、目のかすみ、鼻血、吐き気、疲れやすいといった症状が他地域に比して明確に多かったとあり、熊本学園大の中地重晴教授は調査結果を2013年8月に双葉町に報告しているとの見解を示している。また2012年3月14日参議院の予算委員会において自民党の熊谷大は、三カ月間に延べ469名もの児童に鼻血を含む内科的症状が発生した旨記載された、宮城県南地域に位置する小学校の保健だよりを示し、環境大臣の細野豪志に医学的対策を要求している。一方、2014年5月30日、片山さつきが自民党環境部会で福島県相馬地方(相馬市、南相馬市、新地町、飯舘村)で行われた「住民の健康状態に関するアンケート結果」を公表。アンケートは、「相馬地方市町村会」と「相馬郡医師会」に、「事故前と比較して鼻血が出るようになったという症状を訴えた人がいたか」と聞いたもので、相馬地方市町村会では、2011年度に計8695人、2012年度に計11710人、2013年度に計11705人の健康診断を行った結果、「鼻血が出るようになった」と回答した人はゼロであった旨を報告している。なお雁屋は「福島編」完結後に行うと告知していた一連の問題に関する取材の申し込み、抗議への対応など、自身の見解の表明延期をブログで明かした。雁屋は2014年5月22日付けのブログで「現在海外におり、個別の取材には対応できない。日本への帰国は早くとも7月末になる」とコメントしている。2014年12月10日に発売された当作品の単行本・第111巻「福島の真実2」では、主人公が鼻血を出す件こそ残しているが、問題となった被爆との因果関係などの件のセリフ、約10か所以上が差し替えられた状態で発売され、例として医者が山岡に対して「"福島の放射線と、この鼻血とは、関連付ける医学的知見がありません。"」としたところを、「"お話の様子からでは、原発見学で鼻血が出るほどの線量を浴びたとは思えません。"」などに修正されている。また巻末に編集部からの脚注として「"表現意図をより明確にするために、登場人物のせりふを一部修正しています。"」との訂正文と、放射能の影響などについての注意書きを掲載した。雁屋は2015年2月に単行本『美味しんぼ『鼻血問題』に答える』を遊幻舎より出版。「福島の環境であれば、鼻血を出す人はいる」「私が伝えたのは真実です。『風評』ではありません」などと主張し、『美味しんぼ』単行本の表現を修正したのは「証言者を守り、誤解を防ぐため」としている。なお、この本を出版している遊幻舎は、雁屋が自身の子育て本を出版するために設立した出版社で、同書は小学館とは無関係なので自分への意見は遊幻舎へ送れと主張している。2014年12月現在まで1988年10月17日から1992年3月17日まで、日本テレビ系列で放映された。製作はシンエイ動画。全136話。キャッチフレーズは「究極のアニメドラマ」。原作の初期が描かれている。レギュラー放送終了後、2時間のスペシャル版が金曜ロードショーで放映された(「究極対至高 長寿料理対決!!」は1992年、「日米コメ戦争」は1993年)。放送時間は番組開始から1年間は毎週月曜日19時30分 - 20時00分の放送だったが、1989年10月から放送時間を毎週火曜日19時30分 - 20時00分に移動した。なお、日本テレビが制作した19時台に放送されたレギュラーのアニメ番組は現時点でこの作品が最後となっている。本放送終了後も再放送が、地方ローカル局やCS放送のテレ朝チャンネルなどで繰り返し行われている。第1話から放送されているが、オープニングのみ2代目「Dang Dang 気になる」に差し替えられ(中には歌はサビ部分のみ放送、曲が続いている間に提供クレジットを流すなど、OPが数十秒で終わるという極端なカットをしていたケースもある)、EDは放送当時のまま流している。都合により再放送不可の話数が一部存在し、局側でも知らせている。また、日本テレビ本放送時の素材をあまり加工せずに使用している場合もあり、例としてTOKYO MXで2010年4月21日から同年11月15日に行われた再放送では、オープニング曲で「YOU」も使用され、かつて実施されていたクリアビジョンのテロップがそのまま表示されていた。アニメでの放送時に原作の掲載時とは社会情勢が変化したものについては、それに沿ったり(例:宍道湖の淡水化事業→アニメ放送前に中止が決定)、登場人物のセリフ(特に罵倒)が原作より抑えられた表現になっていることがある(例:「これに比べたら山岡さんの鮎はカスや」→「山岡はんのとは比べ物にならん」『鮎の思い出』「くろちゃん」→「訳のわからん外人」『牛なべの味』)本放送放映当時、新聞ラテ欄の声の出演紹介で、中松警部役の福留功男が出演する回は「福留功男、井上和彦」と、主役の井上より福留が先に表示されていた。福留は当時『ズームイン!!朝!』司会担当で人気絶頂期であり、現役の局アナウンサーの準レギュラー声優出演という珍しい例であった。1989年5月15日と22日にわたって放送された「激闘鯨合戦」に対して、第27回ギャラクシー賞・テレビ部門・選奨を受賞。映像ソフトとしては日本テレビグループのバップが担っており、20世紀にVHSでリリース(話数ではなく、タイトル別となっている)されていたが、21世紀では主流のディスクメディア化が長らく行われなかった。2016年12月から映像を高解像度化した「デジタルリマスター版」がDVD化およびBlu-rayに収録され、BOX形態で随時リリース予定。※放送日時は1992年3月終了時点(テレビ長崎については1990年3月中旬 - 4月上旬に放映された日時、宮崎放送と琉球放送については1990年9月中旬 - 10月上旬に放映された日時)、放送系列は放送当時のものとする。フジテレビ系の2時間ドラマ「金曜エンタテイメント」(毎週金曜日21:00 - 22:52)で1994年から1999年まで放送されたシリーズ。全5回。主演は唐沢寿明。平均視聴率16.8%フジテレビ系の「土曜プレミアム」(毎週土曜日21:00 - 23:10)で2007年から2009年まで放送されたシリーズ。全3回。主演は松岡昌宏。2007年1月16日、フジテレビの単発特別番組枠「カスペ!」にて『美味しんぼ塾 ラーメン道〜日本全県グランプリ〜』が放送された。本作とはほぼ無縁の、ラーメン特集番組だった。勝負は日本全国から代表となったラーメンを審査員が点数制による審査、上位2店が麺とスープのみのラーメンで決勝審査を行う。☆が優勝、★が準優勝。漫画原作を忠実に実写化したドラマではなく設定をかなり変更してあり、大原社主が昔から士郎の後見人になっていたりと、ごく基本の設定だけを生かしたほとんどオリジナルの作品となっている。原作者は「映画である以上リアリティを追求するのはやむを得ない」とこの改変を(公的な場では)承認している。海原雄山が漫画原作のような偉丈夫ではなく、むしろモデルの北大路魯山人に近いイメージの三國連太郎が演じていて、性格も原作ほどの激しさはなくなっている。三國が雄山を演じることについては、原作者の要望である。士郎と雄山の配役を、実の親子である佐藤浩市と三國が演じていることが話題になったが、これも三國に雄山役のオファーがあった際に、三國が士郎役として佐藤を指名している。三國と佐藤はこの当時は確執があり、親子でありながら互いに「佐藤くん」「三國さん」と名字で呼び合う関係であり、会見でもかなり気まずい雰囲気であり、役柄そのままの状態だった。海原の妻には「はつえ」という名前が付けられている。2007年3月8日、バンダイナムコゲームス・ナムコレーベルから発売。収録レシピは119種類。各料理のレシピのほか、その料理が登場する原作漫画(各1 - 3ページ)、材料や道具・技法などの豆知識、それらの情報を用いた「クイズ究極VS至高」が収録されている。
出典:wikipedia
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