『ドラゴン怒りの鉄拳』(原題:精武門、英題:"Fist of Fury")は、1972年制作の香港映画。ブルース・リー主演。前作『ドラゴン危機一発』に続く香港GH社により製作された、リー主演第2作目。前作の興奮冷めやらぬ4か月後の1972年3月、香港で封切られるや興行記録を2週間で塗り替え、アジア全域で空前の大ヒットとなる。リーが演じた主人公・陳真は、この作品で生み出された架空の人物だが、「東亜病夫」、「華人與狗不得進入」など、中国人を侮蔑したような看板を次々と破壊することで中華圏では熱狂的に愛される非常に有名な定番キャラクターとなり、後に、ジェット・リー、ドニー・イェンなど、多くのカンフー・スターがこの役を演じている。また、監督のは、1976年に当時武術監督やエキストラなどをしていたジャッキー・チェンを主役に抜擢して、本作の続編『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』を製作している。日清戦争・日露戦争で大日本帝国が勝利した数年後の1909年、清朝末期の上海で、中国武術の大家・霍元甲が謎の死を遂げた。霍元甲がその年創始した精武館(上海精武体育会の前身である上海精武体操学校がモデル)の愛弟子の陳真(ブルース・リー)は悲しみに暮れながらも師匠の突然の死に疑問を抱く。時を同じくして始まった日本人柔道場からの執拗な嫌がらせ。ある夜陳真は、精武館に使用人として日本人スパイが紛れ込んでいる事を突き止め、やがて師匠の死の原因が、精武館を脅威だと感じた日本人柔道場主・鈴木寛(橋本力)の陰謀だと知り、陳真はたった一人で復讐の闘いへと向かっていく。※「ドラゴン怒りの鉄拳 エクストリーム・エディション」にはテレビ朝日版、TBS版の2種類の吹替を収録。テレビ朝日で放映した時は、日本人が悪役であることをぼかし、鈴木の名前も「リン」としている。そのため陳真が、吉田の弟が腹巻をしているのを見て、「貴様、日本人か」と詰め寄る場面も台詞が差し替えられていた。この作品からブルース・リーも製作に関わるようになり、リーのアイデアによりトレード・マークともなった怪鳥音とヌンチャクが初めて登場している。リーがキスシーンを演じた唯一の作品でもある。世界中の多くのファンにとってリーの最高傑作として認識されているが、『燃えよドラゴン』上陸時のインパクトや内容の問題により、日本ではそういった扱いをされることは少ない。ヌンチャクは香港映画に出演していた日本人俳優倉田保昭がリーと話をしている時、リー自身がヌンチャクのことを持ち出し、倉田がプラスチック製のヌンチャクを持っていたのでリーに贈呈したという。これらの話は倉田が語っているだけであり、リー側から明言されたことはない。怪鳥音はリハーサルの時にリーが偶然声を出したのをローが注目し映画で見るような独特の叫びとなった。撮影終了後、リーとローの関係がますます悪化した。リーはローが監督する『冷面虎』に主演を要請されながらも脚本にクレームをつけて相手にしなかった。結局、日本ロケのスケジュールの都合により、リーの主演は見送られることとなった。本作の舞台は上海となっているが、撮影は全て香港で、前作『ドラゴン危機一発』のタイ・ロケとは一転して、ほとんどがスタジオ・セットで撮影されている。屈強な外国人空手家として登場するボブ・ベイカーはリーのアメリカ時代の友人で、リーの要請で出演が実現した。ファーストネームが同じ事から『ドラゴンへの道』等に出演したと混同されるが、全くの別人。橋本力(日本人・鈴木役)と勝村淳は共に当時勝プロに所属していた日本人俳優で、橋本は『大魔神』シリーズの大魔神役で知られる。勝村は殺陣師であり、『座頭市』シリーズなどで勝のスタントも務めた。勝村は最近、インタビューに答えて当時のいきさつを語っている。それによればブルース・リー自身が来日し、勝新太郎の事務所を訪ねて来たという。まだリーが、日本では全く無名の頃である。勝村によれば、リーは、勝に面会して出演を要請。勝もリーの熱意に打たれて、「自分の弟子を出演させる」と応じたという。橋本も何度かインタビューを受けているが、それによれば、いきなり勝プロで「香港に行ってくれ」と言われて、前知識なしの渡航だった。リーとの一騎討ちの場面は、勝村が指導したという。ただし脚本も渡されず、ストーリー自体は全く分からなかったと語っている。元は俳優であったローが、警察署長役で出演。1976年に続編との趣旨で製作した『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』でも再び警察署長役で出演している。ラストで、鈴木が陳真の飛び蹴りを受けて障子を突き破るシーンを、スタントマン時代のジャッキー・チェンが演じている。トランポリンとワイヤーを使い、ハイスピードで撮影された難易度の高いスタントは初公開当時から予告編のラストカットに使われるなど本作の見せ場の一つとして扱い、スタントマンとしてのジャッキーの出世作となる。リーはこの若きスタントマンに最大級の賛辞を贈ったと云われ、リーとの関係を語る際、欠かすことの出来ないエピソードである。また、リーが宙返りするシーンをスタントするのは、日本領事館でリーに絡み殴られる日本人役も演じるユン・ワーである。劇中、リーが人力車を一人で持ち上げるシーンは監督であるロー・ウェイの考案だが、このシーンの撮影に対してリーは「人が乗った人力車をあのように持ち上げるのは不可能で非現実的」と当初は拒んでいた。最終的にリーが折れる形で撮影し、収録されている。このシーンで支木はリーの背中にあったが、投げるシーンでは前になっている。登場する日本人役の半分くらいは、袴を前後反対にはいている。これに関して橋本は監督のローに指摘したが、「この方がカッコよく見える」と言い、そのまま撮影が行われた。しかし、橋本が登場するシーンのみ全員普通にはいている。メインテーマ曲は『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲にも酷似している。本作の音楽担当はジョセフ・クーであるが、彼が作曲した曲に加え、ライブラリー音楽や多くの既成曲が追加音楽として使用されている。以下は曲名が判明している使用楽曲。なお香港初公開時の劇場予告編では、本編にも使用された「ウエスタン・テーマ」とR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」(『2001年宇宙の旅』サントラから)等が使用されている。日本公開版の英語主題歌は、近年まで日本人歌手が歌ったものとされていたが、これを歌っていたマイク・レメディオスとは中国人歌手であり、本作ヒロインのノラ・ミャオや、リーの実弟ロバート・リーとは、香港ラサール高校時代の同級生であることが知られた。そこから、彼ら3人を招いてトークショーも実現した。オリジナル北京語版とそれに対応する英語字幕を比較すれば、分かることだが、「Fist of Fury」とは精武門の奥義、迷踪拳のことを意味したものであり、必ずしも「怒りの鉄拳」を訳したものではない。単純に「怒りの鉄拳」を英訳する場合、複数形の「Fists of Fury」のほうが正しい。アメリカでは『"The Chinese Connection"』として知られているが、これは本来なら麻薬組織との対決を描いた『ドラゴン危機一発』(米公開名:Fists of Fury)につけられるはずの題名の間違いであった。"Connection"とはルート(麻薬の)を指し、当時ヒットした米映画『"The French Connection"(邦題:フレンチ・コネクション)』のもじり。現在、本作はアメリカを含む英語圏では『Fist of Fury』、『ドラゴン危機一発』も『The Big Boss』として認識されている。ラストシーンで、ローは陳真を逃したいと考えていたが、リーが「何人も殺している人間を生かすことはできない」と主張したため、映画のラストは主人公が抹殺されることになったという。また別の説では、もともと陳真の死でラストとなる予定だったが、リーが「英雄が殺されるのはおかしい」とクレームをつけてきたため、最終的には死の直前でストップモーションになるラストシーンになったともいう。なお中国語版では、ラスト近くに陳真と署長が会話をする場面で、署長が「私を信じてくれ。君と志を同じくする人間だ」と語りかける。ラスト近く、一同が道場から出ると、門の外では日本の憲兵、列強の外国人が銃を構えて陳真を殺そうと待ち構えている。だがよく見るとその背後に、陳真の名前を大声で呼ぶ民衆の姿がある。列強に支配されていた中国人の怒りと悲しみが伝わる屈指の名場面となっている。『死亡遊戯』の中で、主人公のビリー・ローはこのシーンの撮影の際に暗殺されかけたという設定になっている(死亡遊戯#ストーリーを参照)。日本では日本人が悪役で登場して最後はリーに退治されるというストーリーから、当初は公開が危ぶまれたが、『燃えよドラゴン』『ドラゴン危機一発』と連続で大ヒットしブルース・リー人気が高まる中、リーの一周忌にあたる1974年7月20日に公開。
出典:wikipedia
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