


ミカエリス・メンテン式(ミカエリス・メンテンしき、)とは、酵素の反応速度論に大きな業績を残したレオノール・ミカエリスとモード・レオノーラ・メンテンにちなんだ、酵素の反応速度"v" に関する式で、で表される。ここで、[S]は基質濃度、"V" は基質濃度が無限大のときの反応速度である。また、"K" はミカエリス・メンテン定数と言い、"v" = "V" /2(最大速度の半分の速度)を与える基質濃度を表す。この式をもとにしたモデルをミカエリス・メンテン動力学 (Michaelis-Menten kinetics)という。この式により、反応速度"v" はとなることが分かる。ミカエリス・メンテン式は左辺に基質 S の濃度の時間微分を持つ微分方程式である。この方程式は変数分離形にして積分することで解くことができるが、解は初等関数で表現できる形にはならず、ランベルトのW関数 "W" を用いて以下のように表される。ここで "C" は積分定数である。2つのパラメータ、"V" とミカエリス・メンテン定数"K" の値は実験ではヘインズ=ウルフプロットやコーニッシュボーデンの直接的直線プロットで求めることができる。またはと式変形できるため、横軸に[S] を、縦軸に"v" をとってプロットすれば直線となり、最小二乗法などを用いて求めることもできる。これをラインウィーバー・バークのプロットまたは両逆数プロットという。酵素(以下 E)が基質(以下 S)と結合して酵素基質複合体(以下 ES)を形成、ES が E と S に戻るか反応生成物(以下 P)を生成する一連の反応機構を以下のように仮定する。この反応は formula_2 と formula_3 の 2 つの反応過程からできている。後者の反応を律速段階と仮定し反応速度定数を "k" と設定する。formula_2 の反応は迅速に化学平衡に達していると仮定し、解離定数を"K" と設定する。仮定されている反応系に存在する酵素種は、基質と結合していない酵素 E と、基質 S と結合した酵素 ES の 2 種類のみなので、全酵素濃度 [E] は両者の濃度の和に等しい。[ES] を未知数として (1), (2) の連立方程式を解くと、最初に仮定した反応機構では単位時間当たりに産生される反応産物Pの量は酵素基質複合体ESと速度定数 "k" の積で与えられる。(3)を(4)に代入して、(4)式から反応速度 "v" は [ES] に比例することがわかるが、[ES] の最大値は(2)式より [E] である。したがって反応速度 "v" の最大値 "V" は次式となる。(5), (6)より、迅速平衡法では formula_2 が迅速に平衡に達すると仮定されているため、formula_3 の速度定数が formula_2 の速度定数よりもはるかに小さい反応にしか成り立たない。定常状態法によって求めることで一般の反応でも同様の式が成り立つことが証明される。反応機構は同様で、formula_2 について右向きの速度定数を"k" 、左向きの速度定数を"k" とする。定常状態では各酵素種の経時的濃度変化はないので、この反応機構では E と ES しか酵素種が存在しないので反応産物は ES より"k" の速度で生成されるので(1)または(2)式と(3)式を連立方程式とみなして [ES] を求めると(5)式を(4)式に代入して速度"v" を得た後、分子分母を"k" で割る。速度パラメーターとしてと定義すれば、(6)式はとなる。阻害とは何らかの理由で反応が遅くなることで、酵素反応の阻害にはなどの種類がある。前述の両逆数プロットを使うとこれらを見分けることができる。次の図のように酵素基質複合体がさらに基質と結合して不活性となる場合を言う。この場合の解離定数は含まれる酵素種は E, ES と ESS の3種類なので、全酵素濃度はその他の値は迅速平衡法でミカエリス・メンテン式を求めた時のままで連立方程式を作り [ES] を求めると、これを "v" = "k" [ES] に代入しパラメーター"V" に変えると、競争阻害とは基質と阻害剤(以下、I)が酵素の同じ活性中心に結合する場合に起こる阻害のこと。反応機構は次式の通り。基質と阻害剤の解離定数は含まれる酵素種は E, ES と EI の3種類なので、全酵素濃度は他の値は迅速平衡法で求めた時と同じで連立方程式を作り [ES] を求めると、これを "v" = "k" [ES] に代入しパラメーター"V" に変えると、基質と阻害剤が酵素の異なる部位に結合し、両者が互いに他の結合に影響を及ぼさない場合を非競争阻害という。反応機構は次の図の通り:解離定数は、基質が遊離の酵素に結合するときも酵素阻害剤複合体に結合するときも同じで、阻害剤の結合定数も同様なので、反応機構の中にある酵素種は E, ES, EI と ESI の4種類なので、全酵素濃度はこの3つの式で連立方程式を作り、[ES] について求めると、これを "v" = "k" [ES] に代入しパラメーター"V" に変えると、基質と阻害剤が酵素の異なる部位に結合するが、阻害剤は遊離の酵素には結合できず、酵素基質複合体のみに結合できる場合を不競争阻害という。反応機構は次の図の通り:解離定数は、反応機構の中にある酵素種は E, ES, ESI の3種類なので、全酵素濃度はこの3つの式から連立方程式を作り、[ES] について求めると、これを "v" = "k" [ES] に代入しパラメーター"V" に変えると、
出典:wikipedia
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