国民年金(こくみんねんきん、National Pension)とは、日本の国民年金法等によって規定されている、日本の公的年金のことである。国民皆年金制度の基礎年金部分(1階部分、Basic Pension)に相当する。「国民年金」と呼ばれるが、実際に年金を受給する場合は給付の原因によって、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金などと呼ばれる(受給・給付に関しては「国民」の文字は付かなくなる)。無拠出の給付(いわゆる「20歳前傷病による障害基礎年金」)があるため、制度としては「保険」の名はつかない。現行法では日本国籍は要件とはされず、日本国籍を持たない人(日本に定住している在日外国人)も、所定の要件に該当すれば保険料を納めなければならない。また外国国籍のみを対象とする給付(脱退一時金)もある。日本国憲法第25条第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」に規定する理念に基づき、すべての国民を対象に、老齢、障害又は死亡による所得の喪失・減少により国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯により防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする(第1条)。この目的を達成するために、国民の老齢・障害・死亡(障害・死亡については、その原因が業務上であるか業務外であるかを問わない)に関して必要な給付を行う(第2条)。「国民年金事業は、政府が管掌する。」と定められ(第3条)、厚生労働大臣がその責任者となるが、実際の運営事務の多くは日本年金機構(以下、「機構」と略す)に委任・委託されている。また、国民年金基金に係る権限、日本年金機構が滞納処分を行う場合の認可の権限等については、厚生労働大臣の委任を受けて地方厚生局長が行使している。さらに国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、共済組合に行わせることができる。なお、以下の事務については、市町村長が行うこととされる(施行令第1条の2)。「国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。」(第4条の2)とされ、さらに 「政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における収支の見通し(「財政の現況及び見通し」)を作成しなければならない。」(財政検証、第4条の3)と定められ、将来の人口や経済の前提を設定したうえで、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているか確認する。そして「財政の現況と見通し」を作成したときは遅滞なくこれを公表しなければならない。「財政均衡期間」とは、「財政の現況及び見通し」が作成される年以降おおむね100年間を指す。政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(給付額)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとし、そして、政府は、調整期間において「財政の現況及び見通し」を作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない(第16条の2)。「財政の現況及び見通し」が作成されるときは、厚生労働大臣は厚生年金の実施者たる政府が負担し、または実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。国民年金は、創設当初、完全積立方式を採用していた。しかし、1966年(昭和41年)、1969年(昭和44年)、1973年(昭和48年)の法改正で給付額を大幅に引き上げ、保険料は段階的に引き上げを行うとされたことから、修正積立方式による財政運営に移行した。その後、年々の年金給付に必要な費用を、その時々の被保険者納付する保険料で賄われる部分が徐々に拡大し、1985年(昭和60年)の基礎年金制度導入を含め年金制度全体が世代間扶養の性格を強めてきたため、現在では賦課方式に移行した。国民年金は、被保険者が保険料を納め、納めた保険料に応じて給付を受ける社会保険方式を採用している。給付に必要な費用(給付費)は、保険料と国庫負担(税)により賄われている(第85条)。また、厚生年金実施機関が拠出する基礎年金拠出金や、積立金の運用の収入もある。国庫負担の割合は、基礎年金拠出金とは、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、厚生年金保険の実施者たる政府と、実施機関たる共済組合等が毎年度、第2号被保険者及び第3号被保険者に係る部分について納付する拠出金のことである。その額は次の算式で算出される。なお拠出金の額のうち政府負担分の2分の1は国庫負担であり、共済組合等負担分については共済各法の定めによる。また、国庫は、毎年度、予算の範囲内で、国民年金事業の事務の執行に要する費用を負担するとされ、原則として事務費は国庫負担(一部は保険料)である。積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。積立金の運用は、厚生労働大臣が、この目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し、積立金を寄託することにより行うものとする、とされている(第75条、76条)。GPIFは厚生労働省の所管する、年金ファンドとしては世界最大のものであるが、実際には運用の大半を運用会社や信託銀行に委託している。なお、厚生労働大臣は、GPIFに対して積立金を寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。積立金の運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず、運用職員がこれに違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない(第78条、79条)。2013年(平成25年)度末の国民年金積立金は時価ベースで8.4兆円であり、厚生年金積立金123.6兆円と合わせた132兆円が一体として運用されている。2014年(平成26年)財政検証では複数の経済前提が設定され、各ケースに対応できる長期の実質的な運用利回りとして1.7%が示された。厚生労働大臣は、国民年金原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況、基礎年金番号その他所定の事項を記録する(第14条)。被保険者又は被保険者であった者は、国民年金原簿に記録された自己に係る記録が事実でない又は記録されていないと思料するときは、厚生労働大臣(機構に事務委任)に対し国民年金原簿の訂正の請求をすることができる(第14条の2)。厚生労働大臣(地方厚生局長等に権限委任)は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨を決定しなければならない。この決定をしようとするときはあらかじめ社会保障審議会(地方厚生局長等に権限委任により、実際は地方年金記録訂正審議会)に諮問しなければならない。なお共済組合の被保険者期間のみを有する者はこの請求はできない。受給権者は厚生労働大臣に対し、所定の事項を届け出、かつ所定の書類その他の物件を提出しなければならず、当該届出は受給権者のほか、受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者に対しても当該届出の義務がある(第105条)。また、厚生労働大臣は、被保険者の資格に関し必要があると認めるときは、官公署、共済組合等又は健康保険組合に対し、被保険者又は国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法の短期給付に関する規定の適用を受ける組合員、私立学校教職員共済法 の短期給付に関する規定の適用を受ける加入者若しくは健康保険若しくは国民健康保険の被保険者の氏名及び住所その他の事項につき、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる(第108条)。過去の不整合記録を是正する観点から、2013年(平成25年)の改正により資料の提供等の対象となる者の範囲が拡大されている。受給権者が正当な理由なく届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払いを一時差し止めることができる(第73条)。 年金給付の受給権者の現況の確認は、原則として毎月、住民基本台帳ネットワークシステムからの本人確認情報の提供を受けることによって行う。本人確認情報の提供を受けることができる受給権者の「住所の変更」または「死亡」(7日以内に戸籍法上の届出をしたものに限る)については、国民年金法上の届出は省略でき、現況届の提出も不要である。当該現況確認ができない等のために厚生労働大臣から現況届等の提出を求められた受給権者等は、年金給付の全額が支給停止されている場合や、障害基礎年金・遺族基礎年金の裁定が行われた日から1年以内である等の場合を除き、現況届等を毎年誕生日の属する月の末日までに日本年金機構に提出しなければならない。なお、20歳前傷病による障害基礎年金や旧法の母子福祉・準母子福祉年金より裁定替えされた遺族基礎年金の受給者の場合は、誕生日や住民基本台帳ネットワークシステムでの確認にかかわらず毎年7月31日までに現況届を提出しなければならない。現況届に添付する医師の診断書等は、提出期限前1月以内に作成されたものでなければならない。正当な理由なく現況届等を提出しないと、年金給付の支払が一時差し止めとなる。厚生労働大臣は、国民年金制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知するものとする、とされ(第14条の5)。これに基づき被保険者にねんきん定期便が送付されている。国民年金の被保険者は、年齢・職業・就労形態等で、下の2つに分かれる。厚生年金保険に加入している者(第2号被保険者)は、同時に国民年金に加入していることになる。国民年金に保険料を直接納めるのは、強制加入被保険者のうちでは第1号被保険者のみである。第2号被保険者は厚生年金の保険料に国民年金(基礎年金)分が含まれているとされ(納付は事業主が行う)、第3号被保険者は本人の保険料負担はなく、配偶者の加入している厚生年金の実施機関が第2号被保険者たる配偶者の分とともに基礎年金拠出金として負担している。2014年(平成26年)度末の公的年金の加入者数は6,713万人であり、前年度末より約4万人(0.1%)の減少となった。第2号被保険者資格の取得は、厚生年金保険の被保険者の資格を取得した日に取得する(年齢にかかわらず)。第2号被保険者でない20歳未満の者は、20歳の誕生日の前日に被保険者資格(第1号・第3号)を取得する(第8条)。また第1号被保険者・第3号被保険者は60歳の誕生日の前日、老齢給付等の受給権を有する第2号被保険者は65歳の誕生日の前日に被保険者資格を喪失する(第9条)。よって20歳未満や60歳以上の者は、第1号被保険者、第3号被保険者となることはない。厚生労働大臣は、被保険者の資格を取得した旨の報告を受けたとき、又は第3号被保険者の資格の取得に関する届出を受理したときは、当該被保険者について国民年金手帳を作成し、その者にこれを交付するものとする(第13条)。過去に一度も被保険者でなかった者が第1号被保険者となった場合に、資格取得月から60歳に達する日の属する月の前月までの期間が25年に満たない者(老齢基礎年金の受給資格期間を満たす見込みのない場合)は、いつでも厚生労働大臣の承認を受けて被保険者資格を喪失できる(任意脱退、第10条)。また資格取得日から3ヶ月以内に任意脱退の承認の申請を行い、承認されたときはその者はさかのぼって被保険者とならなかった者とみなされる。任意脱退は永住意思のない外国人を対象とするものであり、滞納を理由として期間を満たすことができなくなったからといって任意脱退することはできない。任意加入被保険者となるためには、次のいずれかを満たしたうえで(第2号・第3号被保険者および繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者を除く)厚生労働大臣に申し出なければならない(附則第5条1項)。65歳以上であっても、次の要件のいずれも満たす者(第2号被保険者を除く)は、特例任意加入被保険者として、厚生労働大臣に申し出ることで老齢基礎年金の受給権を取得するか、70歳に達するまで加入できる。任意加入被保険者が65歳に達した場合において老齢基礎年金の受給権を有しないときは、特例任意加入被保険者の申出があったものとみなされる。日本国内に住所を有する任意加入被保険者・特例任意加入被保険者の加入に当たっては、原則として口座振替の申出を同時にしなければならない。日本国内に住所を有する任意加入被保険者が保険料を滞納し、期限までに納付しないときは、その期限の翌日に被保険者資格を喪失する。日本国内に住所を有しない任意加入被保険者が保険料を滞納し、その後保険料を納付することなく2年を経過したときもその翌日に被保険者資格を喪失する。第1〜3号被保険者の資格を取得した場合や、資格喪失の申出が受理された場合はその日に被保険者資格を喪失する。任意加入被保険者が満額の受給資格期間(保険料納付済期間のみで480月)を満たしたときはその日に、また特例任意加入被保険者が老齢基礎年金または被用者年金各法における老齢・退職を支給事由とする年金給付の受給権を取得したときはその翌日に、その資格を喪失する。2004年(平成16年)法改正により、2005年(平成17年)度以降の保険料額が法律に規定され、2005年度より2017年度まで毎年280円ずつ保険料が引き上げられ、最終的な保険料の水準として2017年(平成29年)度以降は月額16,900円に固定される予定とされている(保険料水準固定方式の導入)。しかし、2005年(平成17年)度より調整期間が開始され、実際の保険料額は各年度ごとの法定額に保険料改定率を乗じて得た額(10円未満四捨五入)となる。保険料改定率は、各年度の前年度の保険料改定率に当該年度の初日の属する年の2年前の物価変動率および当該年度の初日の属する年の4年前の年度の実質賃金変動率(3年前から5年前のものの3年平均)を乗じて得た率(名目賃金変動率)とされる。2007年(平成19年)4月の保険料改定率が「0.997」とされ、その後も毎年度保険料改定率は改定され、その年度の4月以降の保険料について適用される(第87〜93条)。毎月の保険料は、第1号被保険者、任意加入被保険者が、翌月末日までに納付しなければならない。また、世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負い、配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。また半年(6ヶ月)や1年間の保険料をまとめて前納することもできる。なお、第2号被保険者、第3号被保険者については被保険者本人の納付義務はない。納付方法は以下の方法がある。口座振替の申し込みや引き落としに関わる手数料は不要である。厚生労働省の調査では、大都市ほど、また若年齢層ほどコンビニでの納付率が高い傾向にあるとされ、逆に小都市・町村や高年齢層ほど口座振替の割合が高いとされる。厚生労働省では口座振替を推進しているが、口座振替を利用したことがない理由をみると、若年齢層で「手続きが面倒だと思うから」の割合が、高年齢層に比べて高い傾向がある。なお、付加保険料については、2013年(平成25年)度までは納期限後の納付は不可であったが、2014年(平成26年)度より時効で徴収権が消滅していない過去2年分の納付が可となっている。保険料を通常の納付期限よりも前に納付することにより、納付額が少なくなる割引制度である。2014年(平成26年)度現在の保険料は月額15,250円(年額183,000円)となるが、前納制度によって納付すべき金額が以下の表のように減額される。これらの前納制度を利用するには、所定の期日までに年金事務所に申し込んで手続きをしなければならない。上記の方法の他に、年金事務所に別に納付書を発行してもらうことで、任意の月から年度末(3月)分までを一括して納めることができる。さらに、13ヶ月前納払いの方法を採用してる市町村もある。例として大阪府岸和田市など。割引額は年率4%で複利計算した額に相当し、それぞれ1か月、11か月、12か月間の複利で前納金が資産運用されて年額183,000円に成るとされるものである。前納期間の中途で第1号被保険者の資格を喪失した場合は、請求に基づき未経過期間に係る前納保険料は還付される。保険料その他国民年金法の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は期限を指定してこれを督促することができる。督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない(第96条1〜3項)。なお督促は規則に定められた様式(様式第15号)の督促状で行われるので、督促が口頭、電話または普通の書面で行われることはない(規則第83条)。 厚生労働大臣(機構に事務委任)は督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる(第96条4項)。市町村は市町村税の例によりこれを処分したときは徴収金の4%相当額が厚生労働大臣から当該市町村に交付される(第96条5項)。機構が国税滞納処分の例による処分を行う場合には、あらかじめ厚生労働大臣の認可を受けるとともに、滞納処分等実施規程に従い、機構の理事長が任命した徴収職員に行わせなければならない。また厚生労働大臣は機構からの求めがあった場合には自ら滞納処分を行うことができるほか、滞納者が悪質な場合には当該権限を財務大臣を通して国税庁長官に委任することができる(第109条の4〜109条の8)。「悪質な場合」とは、以下のいずれの要件も満たす場合とされる。督促したときは、滞納にやむを得ない事情がある場合を除き、保険者等は、徴収金額(500円未満の端数は切り捨て)に、納期限の翌日から徴収金完納または財産差し押さえの日の前日までの期間の日数に応じて、年14.6%(督促が保険料に係るものである場合は、納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については年7.3%)の割合を乗じて計算した額の延滞金(50円未満の端数は切り捨て)を徴収する(第97条)。なお現在の低金利の状況では年14.6%の延滞金は高すぎるとの問題意識から、事業主の負担軽減等を図るべく、当分の間特例が設けられ、各年の特例基準割合(租税特別措置法第93項2項の規定に基づき、「前々年10月から前年9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合」として財務大臣が告示した割合に年1%の割合を加算)が年7.3%に満たない場合は、とされる。2015年(平成27年)、2016年(平成28年)の場合、特例基準割合は年1.8%(告示割合年0.8%に年1%を加算)とされたので、実際には以下のようになる。保険料等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする(第98条)。保険料は納付期限(翌月末まで)より2年を経過したときは、徴収する権利が時効により消滅する。この為、余裕資金が出来たからといって保険料を納めようとしてもできず、将来受給資格を得られなかったり、受給できる年金額の減少が予想される。この問題点を解決する為に、2012年(平成24年)10月1日に年金確保支援法が施行された。同法によって、2012年(平成24年)10月1日から2015年(平成27年)9月30日までの3年間に限り、被保険者又は被保険者であった者(既に老齢基礎年金の受給権者となっている者は除く)は厚生労働大臣の承認を受け、滞納した期間の内過去10年間分(徴収する権利が時効によって消滅しているものに限る)の保険料を納付(後納)することができる。なお、2015年(平成27年)10月1日から2017年(平成30年)9月30日までの3年間、「過去10年分」が「過去5年分」に短縮されて後納制度は継続する。特定期間(時効消滅不整合期間)と5年後納制度が重なる場合は、特定期間の納付(過去10年分)を利用する。また5年後納制度は10年後納制度よりも高い加算額が設定されている(平成27年9月16日厚生労働省告示第377号)。後納制度を利用して納付する場合、未納期間の内、最も古い時期から納付しなければならない。なお厚生労働大臣は、後納保険料の納付の承認を行うに際して、当該承認を受けようとする者が納期限までに納付しなかった保険料であってこれを徴収する権利が時効によって消滅していないものの全部または一部を納付していないときは、当該滞納保険料の納付を求めるものとする。老齢基礎年金は原則25年以上保険料を納付しないと受給権は得られないが、これまで「保険料の納付期限は翌月末」と規定されていたため、結果として納付年数が25年に足らず、多年に渡り多額の納付をしたにもかかわらず、年金が受け取れない人々が多数生まれ、にもかかわらず日本国政府は救済制度を作っておらず、社会問題化していた。厚生労働省は、「(同法施行によって)後納期間によって、最大で1700万人が救済対象になる」と試算した(2012年(平成24年)9月時点)。2013年(平成25年)度までは付加保険料を納期限までに納付しなかったときは、その納期限の日に、納付辞退の申出をしたものとみなされることとなっていた。この規定により納付辞退の申出をしたとみなされた者は、2016年(平成28年)4月1日から2019年(平成31年)3月31日までの間、厚生労働大臣の承認を受けて、過去10年以内の第1号被保険者期間について事後的に付加保険料に相当する額の納付をすることができる(特定付加保険料)。特定付加保険料の納付は、対象となる期間のうち最も古い時期から順次納付しなければならない。付加年金の受給権者が特定付加保険料を納付したときは、その翌月から年金額が改定され、付加年金の受給権のない老齢基礎年金の受給権者が特定付加保険料を納付したときは、その翌月から付加年金が支給される。被保険者等は、法令の規定に基づいて行われるべき事務の処理が行われなかったことまたはその処理が著しく不当であること(特定事由)により手続きをすることができなかった又は遅滞したときは、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができる。厚生労働大臣は、当該申出に理由があると認めその申出を承認したときは、当該申出があった日以後、本来手続等が行われていたとすれば算入されるべき被保険者期間等とみなすこととされる。具体的には、特定事由が無ければ、被保険者期間、全額免除・一部免除期間、付加保険料納付期間、追納可能な期間が該当し、承認されれば対象となる期間の各月について保険料に相当する額を納付することができる。老齢基礎年金・付加年金の受給権者が承認を受け特例保険料・特例付加保険料を納付したときは、申出をした日の属する月の翌月から年金額が改定される。なお厚生労働大臣は、特定事由に係る申出の基準を定めるものとされ、基準を定めようとするとき又は変更しようとするときは、あらかじめ社会保障審議会に諮問しなければならない。国民年金の第1号被保険者は、保険料の負担能力に関係なく20歳から60歳になるまでの長期間にわたり定額の保険料を納めることとなる。しかし、40年もの間には様々な事情で納めることが困難になる可能性もあるため、所定の要件に該当した場合、本人の届出や申請により保険料が免除される。免除制度には法定免除と申請免除の2種類がある。なお、任意加入被保険者・特例任意加入被保険者については保険料の免除は行われない。2014年(平成26年)4月からは、前納後に免除に該当した場合、免除該当月以後の分については還付が可能となっている。免除申請は被保険者本人が行うのが原則であるが、2015年(平成27年)7月からは全額免除、若年者納付猶予については厚生労働大臣が指定する者(指定全額免除申請事務取扱者)が被保険者からの委託を受けて免除申請をすることができるようになった。この場合、当該委託をした日に免除申請があったものとみなされる。第1号被保険者本人が法律に定められている次のいずれかに該当するときは、すでに納付されたものを除き、該当する日の属する月の前月から該当しなくなった日の属する月まで、法律上当然に保険料が全額免除される。該当するに至った場合は、14日以内に所定の事項を記載した届出書に年金手帳を添えて届け出る。また第1号被保険者資格取得時に法定免除に該当する場合は、資格取得届の提出を怠っていたとしてもさかのぼって保険料は免除される(昭和35年9月21日保国発481号)。従来、法定免除者は保険料を納付したくても納付・前納はできず、追納のみができる扱いであったが、2014年(平成26年)の改正により、将来の年金確保のため、特に納付を希望する者は法定免除者であっても、保険料の納付・前納が出来る事となった。なお、遡及して法定免除に該当した場合は、2014年(平成26年)3月までは納付した保険料はすべて還付されていたが、2014年(平成26年)4月以降は納付した分について保険料納付済期間とすることができる。第1号被保険者本人及び保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者(所得審査対象者)が、経済的理由や災害に遭ったなどの理由で保険料を納めることが困難なときは、すでに納付されたものを除き、本人が申請し承認を受ければ、指定された期間につき保険料の全額あるいは一部が免除される。2014年(平成26年)の改正により、申請時点から2年1ヶ月前までの期間について遡及して免除申請は行える。「所得」は1月から6月までは2年前の所得金額、7月から12月までは前年の所得金額で判断する。これは個人住民税のサイクルとリンクしている。免除サイクルは学生納付特例が4月より翌年3月、その他は7月より翌年6月である。免除により全額・一部を免除されていた期間、納付が猶予されていた期間については、全額納付した場合と比べて以下のように老齢基礎年金額が減額される。なお、遺族基礎年金、障害基礎年金については減額はなされない。2009年(平成21年)3月までと4月以後で計算が異なるのは、2009年(平成21年)4月に国庫負担が2分の1に引き上げられたことに伴うものである。第1号被保険者(老齢基礎年金の受給権者を除く)は、厚生労働大臣の承認を受けて、過去10年間の納付を免除された保険料を納付すること(追納)ができる。ただし、免除を受けた月の属する年度の翌々年度よりも後に追納すると、(免除を受けた当時の保険料額に)経過した期間によって1.2〜12.3%の加算額が上乗せされる。なお、一部免除の場合は残余の額について納付されていなければ追納できない。付加保険料の追納はできない(保険料を免除されている者は付加保険料を納付できず、免除されている保険料を追納したとしても付加保険料を追納することはできない)。追納分は、まず学生納付特例又は若年者納付猶予により納付を免除された保険料について行い、次いでそれ以外の免除により納付を免除された保険料につき、先に経過した月の分から順次行う。ただし学生納付特例期間よりも先に保険料免除期間があるときは、どちらを追納するか選択する(第94条)。追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなされる。2013年(平成25年)8月末現在、保険料の全額を免除されている者(全額免除者)の割合は、第1号被保険者全体の24.6%となっている。内訳は法定免除が7.5%、申請免除による全額免除が8.6%、学生納付特例制度が7.1%、若年者納付猶予制度が1.5%となっている。地域別にみると、全額免除者の割合が最も高いのは沖縄県の39.5%である。沖縄県では申請による全額免除が24.7%を占め他の都道府県よりも突出して高い。全額免除者の割合が最も低いのは東京都の17.9%である。東京都では申請による全額免除が4.7%でありこちらも最も低い。総じて首都圏・中京圏は申請による全額免除の割合が低く全額免除者の割合も低くなっているのに対し、北日本、西日本はその逆となっている。なお、法定免除者の割合が最も高いのは北海道の12.2%で、最も低いのは茨城県の5.4%であった。すべての被保険者に共通する基礎年金(老齢・障害・遺族)と第1号被保険者のみの独自給付がある。老齢基礎年金の年金額は、1984年(昭和59年)度における65歳以上の者の雑費を除いた基礎的支出が、単身の場合が、47,600円/月、夫婦世帯の場合が、83,700円/月であったこと、1984年(昭和59年)度で25年間保険料を納付した場合の年金額が、48,000円/月であったことなどを勘案して、1985年(昭和60年)の年金制度改正で50,000円/月(年額60万円 1984年(昭和59年)度価格)となった。その後の財政再計算や物価スライドなどにより年金額の改定が行われ、現在の年金額の水準となっている。現在の調整期間における改定率については、新規裁定者の改定率であれば原則として「名目手取り賃金変動率」に「調整率」を乗じたもの、既裁定者の改定率であれば子の加算額に係るものを除き原則として「物価変動率」に「調整率」を乗したもの、を基準にしてそれぞれ改定される。ただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ名目手取り賃金変動率が1以上となるときは、名目手取り賃金変動率を基準に改定される。2015年(平成27年)度の場合、物価変動率がプラス2.7%、名目手取り賃金変動率がプラス2.3%であることから、名目手取り賃金変動率を基準として改定され、となる。いっぽう2016年(平成28年)度の場合、物価変動率がプラス0.8%、名目手取り賃金変動率がマイナス0.2%であることから、マクロ経済スライドは発動されず、年金額は前年度から据え置きとなる。年金を受ける権利は、法律で定められた要件を満たしたときに発生するが、実際の支給を受けるためには、年金請求書に添付書類(戸籍謄本、世帯全員の住民票、所得証明書(課税証明または非課税証明)、その他必要書類)を添えて提出し、厚生労働大臣に事実の確認を求め、受給要件の存在の確認を受けなければならない。年金請求は国民年金と厚生年金とを一体として行う。この裁定請求をしなければ、受給権があっても年金は支給されない(第16条)。審査の結果、受給要件を満たしているときには、受給権者に年金証書、年金決定通知書が送付される。年金の時効は5年なので(後述)、受給権が発生したときから5年以内にこの手続きをしないと、受給権は消滅する。年金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げる(第17条)。各支払期月の支払額(年金は偶数月に前月までの2ヶ月分がまとめて支給されるので、年金額の6分の1)に1円未満の端数が生じたときは、その端数は切り捨てる。そして各支払期月に切り捨てた金額の合計は2月期の支給額に加算される(加算額についても1円未満切り捨て)(第18条の2)。2015年(平成27年)10月よりそれまでの100円単位から1円単位へと計算が変更となった。ただし、基礎年金の満額、厚生年金の加給年金額・子の加算額・中高齢寡婦加算額、障害厚生年金の最低保証額については従来通り100円単位の計算を行う。また2015年(平成27年)10月前に裁定・改定が行われた給付については従来通り100円単位の計算を行う。年金給付は、その受給権者の希望により、給付額の全部の支給停止を申し出ることができる(一部のみの申出は不可)。支給停止はいつでも将来に向かって撤回することができるが、撤回前の給付は遡って支給されない(第20条の2)。なお、年金受給権者の所在が1ヶ月以上不明となった場合、世帯主その他同居の親族等は所在不明である旨の届出をしなければならず、届出をすると年金の支給が一時差し止めとなる。一般的に「基礎年金」と呼ばれているものは、「老齢基礎年金」を指して言うことが多い。年金額は満額の場合780,900円×改定率(マクロ経済スライドによる本来の年金額。実際には年金額の据え置きにより2014年(平成26年)度までは特例水準の年金額が支払われてきた)であるが、保険料納付期間等に応じて減額される。被保険者期間中の病気やけが等が原因で障害を有することとなった場合、所定の要件を満たしていれば支給される。年金額は2級は老齢基礎年金の満額と同額、1級は2級の1.25倍となる。受給権者に生計を維持されている18歳以下の子もしくは1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がある場合は所定の額が加算される。被保険者(であった者)が死亡した場合、所定の要件を満たしていれば死亡した者に生計を維持されていた遺族(子のある配偶者または両親共に不在の子)に支給される。年金額は老齢基礎年金の満額に、子の数により所定の額を加算する。(共通の注意事項)死亡一時金・脱退一時金の「納付月数」とは免除を受けない月数での計算である。また、半額免除、4分の1免除、4分の3免除の場合、納付した割合が免除を受けない月数分に相当する場合も該当する(半額免除の場合だと月数は2倍必要となる)。なお全額免除の場合は月数にカウントされない。なお 「生計同一関係」とは、被保険者と住居及び家計を共同にすることを言い、「生計維持関係」とは、生計同一関係に加え同居家族一人あたりの年収が850万円未満の場合を指す(健康保険法における同居家族一人あたりの年収130万円未満と比べて条件が緩やかである)。給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえをすることができない(第24条)。「譲渡」については、法律上いかなる例外も認められていない。「担保」については、独立行政法人福祉医療機構が行う小口貸付の担保に供する場合は例外である。「差し押さえ」については、老齢基礎年金・付加年金・脱退一時金の受給権を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は例外である。年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる(第19条1項)。この場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかったときは、未支給年金の請求者は、自己の名で、その年金を請求することができる(第19条3項)。なお脱退一時金は未支給であっても死亡後に親族が請求することはできない。死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であったときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であった者の子は、1項に規定する子とみなす(第19条2項)。これにより、養子縁組をしていない配偶者の連れ子等にも生計同一であれば請求権がある。 優先順位は上述の順である。未支給の年金を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす(第19条5項)。租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。ただし老齢基礎年金・付加年金についてはこの限りではない(第25条)。国民年金のうち、老齢基礎年金・付加年金はその額が一定以上である場合、雑所得として所得税が課せられる。原則として、所得税は年金から源泉徴収される。なお、障害年金・遺族年金は非課税である。源泉徴収の対象となるのは、その年の最初の支払日の前日の現況において、65歳以上は年金額が158万円、65歳未満は108万円以上の者である。毎年10月末ごろに機構から送付される「扶養親族等申告書」を提出することにより、配偶者控除、扶養控除等、各種の所得控除を受けることが出来る。源泉徴収額は、年金額から各種保険料・控除額を除いた額の5.105%(うち0.105%は復興増税分)である。扶養親族等申告書の提出がない場合は、源泉徴収額は、年金額から各種保険料を除いた額から、さらにその額の25%を引いた額の10.21%(うち0.21%は復興増税分)となる。税額に過不足がある場合は、確定申告により精算を行う(雑所得であるため、年末調整は行われない)。なお、2011年(平成23年)度分より、公的年金等の収入額が400万円以下であり、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告の必要はない。本人負担の年金の保険料・掛金については、全額が社会保険料控除の対象になる(証明書の添付が必要)。いっぽう、年金受給者の社会保険料控除、生命保険料控除、損害保険控除、小規模企業共済等掛金控除などは源泉徴収時の控除対象とはなっていないため、確定申告により過払いとなっている税額の還付を受けることになる。政府は、障害もしくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する(求償)。この場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責めを免れる(控除)(第22条)。なお死亡一時金は控除の対象とならない。控除は36月を限度として行う。被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害の程度の審査に関する処分を除く)に不服がある者は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に社会保険審査官に対して審査請求をすることができる(第101条)。審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない(社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条2項)。なお、脱退一時金に関する処分に不服のある者は、社会保険審査会に対して直接、審査請求をすることができる(一審制)。以上の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官・社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない(審査請求前置主義。第101条の2、行政事件訴訟法第8条1項但書)。社会保険審査官の決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる(二審制)。審査請求をした日から2ヶ月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。なお2016年(平成28年)の法改正により、再審査請求を行うか処分の取消しの訴えを提起するかは申立人の任意となった。保険料その他国民年金法の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は社会保険審査会に対して再審査請求をすることができるが、2016年(平成28年)の法改正によりこの場合は審査請求前置主義が適用されないので、審査請求をせずに、または審査請求と同時に処分の取消しの訴えを提起することができる。審査請求及び再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。被保険者の資格に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく給付に関する処分の不服の理由とすることができない。なお、国民年金原簿の訂正請求に対する措置による厚生労働大臣の決定は、第101条の対象とならず、行政不服審査法に基づく審査請求及び処分取り消しの訴えを行うこととなる。年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日から5年(死亡一時金は2年)を経過したときは、時効によって消滅する(第102条)。ただし当該年金給付がその全額につき支給を停止されている間は、時効は進行しない。また、年金時効特例法により、厚生労働大臣は、国民年金法による給付の受給権者または受給権者であった者(未支給年金の請求権者を含む)について記録の訂正がなされた上で裁定が行われた場合においては、その裁定による当該記録の訂正に係る受給権に基づき支払期日ごとに又は一時金として支払われる給付の支給を受ける権利について消滅時効が完成した場合においても、給付を支払うものとされる(年金時効特例法第2条)。つまり訂正がなされた場合、過去5年よりも以前の分の年金であっても給付される(時効特例給付)。2013年(平成25年)7月1日以後に記録の訂正がなされたことにより時効消滅不整合期間となった期間を有する者であって、2013年(平成25年)7月1日において当該不整合期間が保険料納付済期間として老齢給付等を受けている者については、2018年(平成30年)3月31日(特定保険料納付期限日)までの間は、当該不整合期間は保険料納付済期間として扱われる(附則第9条の4の4)。つまり訂正によって年金額が減少してしまう場合であっても、訂正前と同等の年金額の支給を受けることが出来るのである。保険料その他国民年金法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、2年を経過したときは時効によって消滅する。保険料その他国民年金法の規定による徴収金についての督促は、時効中断の効力を有する。※満額とは、1941年(昭和16年)4月2日以後に生まれた人が、40年間(20歳から60歳まで)すべてが保険料納付済期間である場合の支給額である。ただし、1941年(昭和16年)4月1日以前に生まれた人は、生年月日により25〜39年納付すれば満額の支給額になる。1959年(昭和34年)、第31回国会に国民年金法案を提出、国民年金法が制定され、同年11月から施行された。国民年金は、自営業者や農林水産業従事者等の被用者年金に加入していない人を対象とした「福祉年金」(無拠出年金制度)として発足した。その後、適用事務は1960年(昭和35年)10月から、拠出制年金の開始に伴う保険料徴収は1961年(昭和36年)4月から開始され、その後制定された「通算年金通則法」とともに国民皆年金の基盤となった。 また、1959年(昭和34年)11月当時70歳を超えている人等を対象に全額税負担の老齢福祉年金を支給する制度が設けられた。1966年(昭和41年)に夫婦で1万円、1969年(昭和44年)に夫婦で2万円、1973年(昭和48年)に夫婦で5万円の年金が実現した。そして、難民条約締結を受けた法改正により、1982年(昭和57年)1月1日以降は国籍条項が撤廃された。産業構造の変化等により、財政基盤が不安定になっていたことや、加入している制度により給付と負担の両面で不公平が生じていたことから、1985年(昭和60年)、全国民共通の基礎年金制度を創設する年金制度の抜本的改革が行われた。1986年(昭和61年)4月から、国民年金は、学生を除く(学生の強制加入は1991年(平成3年)4月から)20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人を強制加入とし、共通の基礎年金(1階部分)を支給する制度になった。また、厚生年金等の被用者年金は、基礎年金の上乗せの2階部分として、報酬比例年金を支給する制度へと再編された。1997年(平成9年)には、全制度共通の一人一番号制として基礎年金番号が導入され、各制度間を移動する被保険者に関する情報を的確に把握することにより届出の簡素化、未加入者の発生防止などが図られた。2000年(平成12年)、長期に安定した信頼される年金制度を維持していくための改正が行われた。2004年(平成16年)、急速な少子高齢化の進展が予想され、将来にわたり年金制度を安心できるものとするために、給付と負担の見直しや収納対策を徹底する改正が行われた。2004年(平成16年)4月7日、自由民主党衆議院議員の安倍晋三は、衆議院厚生労働委員会で、自営業者らが加入する 国民年金について、現状のままだと積立金は2017年(平成29年)度に枯渇するとの見通しを述べた。また厚生労働省年金局長の吉武民樹は、毎年280円の引き上げでも2023年(平成35年)に積立金が枯渇するとの見通しを示した。2004年(平成16年)度に導入されたマクロ経済スライドは、長期化したデフレーションの影響により、2014年(平成26年)度まで結局一度も実施されなかった。2004年(平成16年)度実績で233.8兆円だった積立金は2011年(平成23年)度実績では196.5兆円となり、厚生労働省の想定を上回るスピードで取り崩しが進んでいる。首相となった安倍は年金制度の改革に着手し、2013年(平成25年)10月より3度にわたって、特例水準(物価・賃金の下落に伴い下げられるはずだった年金額を据え置いた分)の引き下げを始め(2013年(平成25年)10月に1%、2014年(平成26年)4月に1%、2015年(平成27年)4月に0.5%。計2.5%の引き下げ)、2015年(平成27年)度に特例水準が解消したことで、ようやくマクロ経済スライドが初めて発動された。年金問題(ねんきんもんだい)は、年金に関する諸問題のこと。各項目を参照のこと。その他、年金#年金制度の課題も参照のこと。
出典:wikipedia
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