『トロイ』("Troy")は、2004年のアメリカ映画。古代ギリシアのトロイア戦争を元にした歴史戦争映画である。ホメロスの叙事詩『イリアス』などで描かれた神々と英雄の織り成す神話としてのトロイア戦争ではなく、架空の人間のドラマとしてのトロイア戦争を描いているが、興行的には成功を収めている。作品内容及び登場人物が人間性を強調して描かれているため、主人公アキレスも神の庇護を受けた英雄としてではなく、ごく普通の人間の武将として扱われている。トロイの王子パリスとスパルタの王妃ヘレンの禁じられた恋を口実に、ヘレンの夫であるスパルタ王メネラオスと、ギリシアの諸王国の盟主、メネラオスの兄であるミュケナイ王アガメムノンはトロイを征服しようとする。監督を務めたウォルフガング・ペーターゼンは、ホメロスの『イリアス』からインスピレーションを受けた、としている。しかし、この作品は、トロイ戦争の伝承と様々な点で異なる事が指摘されることが多く、批判の対象となった。映画自体が完全なフィクションでありながら、元ネタがあまりに有名であるがゆえに、神話でも歴史でもないというこの映画のスタンスは、視聴者ならびに評論家からはあまり理解されず、受け入れられなかったので、後述のような批判が後を絶たなかった。しかしながら、トロイ戦争もイリアスもただのモチーフに過ぎないので、映画の内容と神話上の設定ならびにイリアスの違いを論じて批判するのは的外れであるという意見や、登場人物の役回りと設定の変更は、オリジナル映画としては当然であるという肯定的な意見も少なくなかった。このため、作品内容の評価が賛否両論を呼んだにもかかわらず、豪華スター共演で興行的には大成功するという結果となった。作品のストーリー展開が伝承と違う事について、『文藝春秋』誌上で塩野七生がこの映画を酷評する評論を書いている。指摘の内容は、以下の3点である。また、『イリアス』は、ヘクトルの死で終わっているので、その後の「トロイの木馬」などの陥落のエピソードはその他のトロイ戦争の伝承によっている。これらの伝承と大きく違うのは、以下の2点である。他にも、メネラオスが中盤でヘクトルの不意打ちによって死んでしまう点や、アガメムノンがブリセイスに刺殺される点、パリスが死なず、ヘレン、アンドロマケとともに逃亡している点、ブリセイスとヘクトルは従兄弟という設定になっている点などが挙げられる。そもそも、映画自体が神話を元にせず人間ドラマの観点から制作されているため、『イリアス』で神々が関与する場面は、何らかの形で人間によるフォローが入れてある。事実、「神々」といっても、はっきり名前が登場するのはアポロンとポセイドンくらいで、ポセイドンはたった一度名前が出されるだけである。ブラッド・ピットが当作品に満足していないと噂されると、彼に直接電話をかけて「うちに所属していれば、あんな映画には出演させなかった。」と勧誘したエージェントがいたという。しかし彼は耳を貸さず、エージェントも替えなかった。2009年には33分の未公開シーンを追加したディレクターズカット版ブルーレイが発売された。
出典:wikipedia
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