


スクリーンセーバー(Screensaver) は、コンピュータのコンソールに長時間ユーザによる入力がなかったとき、ディスプレイを保護するために自動的にアニメーション等を表示させるユーティリティソフトウェアである。かつては、ディスプレイといえばCRT(ブラウン管)がほとんどで、CRTの焼き付きを防ぐためのユーティリティとして使用されていた。CRT時代の後期には改良が進んだため焼き付きが発生しにくくなり、次第にエンターテイメント的な要素が強くなった。液晶ディスプレイが主流となった現在でも使われることがあるが、本来の焼き付き防止としての役割はほぼ失われ、代わりに「アクセサリー」としてや、スクリーンセーバーの多くが、画面を完全に覆い隠す(もちろん、本来の用途はブラウン管(CRT)の焼き付きを防ぐためであるから、例外もあるが)ため、作業画面を他人に勝手に見られないようにするというセキュリティー上の理由で使うことが多い。このセキュリティー対策としてのスクリーンセーバーの活用については後述する。本来の目的がディスプレイの保護であるため、コンピュータの使用状況にかかわらず、ユーザによる入力が無ければ起動する。また、実際の画面の変化を見ているのではない(もしそうすれば、時計ソフトなどが動いていればスクリーンセーバーは起動できない)。 設定を変えることによりBOINCを利用した分散コンピューティングの参加やアンチウイルスソフトウェアを起動することができる。 本来、スクリーンセーバーとは、ブラウン管(CRT)の焼き付きを防ぐ機能であるが、スクリーンセーバーの多くは作業中の画面を完全に覆い隠すことになる。これは本来、プログラム上の理由によるものである。 スクリーンセーバーはそれ自体で一つの独立した実行ファイルであり、実行時は、このプログラムをフルスクリーンで実行している。このため、スクリーンセーバーで作業中の画面を覆い隠すことなく実行するには、スクリーンセーバーの背景に透かしを入れる必要があり、プログラムとしてはかなり難しくなる。このため、スクリーンセーバーの多くは、作業中の画面を表示できず、覆い隠すことになる。 こうしたプログラム上の理由により、多くのスクリーンセーバーでは作業中の画面を覆い隠すことになるのだが、この作業中の画面を覆い隠すことに昨今ではセキュリティー上の効果が多くの場面で見いだされるようになった。それは、作業中の画面を完全に覆い隠すことによって、作業者が離席したときに他人に作業中の画面が見られることを防ぐことができるということである。OSメーカーも昨今のセキュリティー上の理由からスクリーンセーバーを利用することを認めたためなのか、ユーザが離れた隙に別のユーザが操作しようとしたときのために、パスワードを入力しないとスクリーンセーバーの動作を終了できないようにしたものもあり(あるいはOS自体の機能としてスクリーンセーバーからの復帰にパスワードを設定できる)、企業によっては、情報セキュリティ対策の一環として、使用を義務付けていることも多い。前述の通り液晶ディスプレイが主流となった現在では、スクリーンセーバーは本来の目的から離れた利用をされているケースが多くなってきており、主たる役目は終えつつある。また、通常の起動時と同様に電力を消費するスクリーンセーバーは、昨今の電力需要の逼迫に伴う省電力志向も含め、徐々に廃れつつある。特にモダンなOSにおいてはディスプレイのスリープモードがサポートされているため、スクリーンセーバーに取って代わっている。例えばWindows 7では既定の設定においてはスクリーンセーバーが設定されず、ディスプレイの電源オフが設定されている。また、Linuxのデスクトップ環境であるGNOME 3 においても標準ではスクリーンセーバーが廃止され、黒画面によるブランクスクリーンに変更された。日本マイクロソフトによる節電策の検証では、Windows 7においては、ブランクによるスクリーンセーバーが最も消費電力が少ないとしている。また、3D効果を利用したスクリーンセーバーなどは、CPUやグラフィックカードの消費電力を増加させる要因として推奨していない。Microsoft Windowsでは、スクリーンセーバーの拡張子は.scr ("scr"een saver) だが、その中身は.exeと同じ実行ファイルである。つまり、スクリーンセーバーが起動するというのは、(スクリーンセーバーに関連付けられた「スクリーンセーバー・プレイヤー」が実行されるのではなく)スクリーンセーバーそのものが実行されるということである。したがって、アプリケーションに可能なこと(ファイル削除、システムダウンなど)はスクリーンセーバーにも可能であり、コンピュータウイルスやワーム、トロイの木馬として悪用されることもある。しかし、このことは周知されているとは言いがたい。ダウンロードしたりメールに添付されてきたりしたスクリーンセーバーに対しては、.exeファイルと同様に警戒すべきなのだが、あたかも動画ファイルを開くような気分で起動させるユーザーが意外にも多く問題視されている。
出典:wikipedia
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