『キッズ・リターン』("Kids Return")は、1996年に公開された日本映画。北野武の6作目となる監督作品。オフィス北野とバンダイビジュアルによる製作。さまざまな青年たちが大人の世界に踏み込み、さまざまな現実に直面する模様を描く青春映画。1996年カンヌ国際映画祭監督週間正式出品作品。落ちこぼれの高校生マサルとシンジは、高校が受験ムードになっても悪戯やカツアゲなどをして勝手気ままに過ごしていた。ある日、カツアゲの仕返しに連れて来られたボクサーに一発で悶絶したマサルは、自分もボクシングを始め舎弟のシンジを誘うが、皮肉にもボクサーとしての才能があったのはシンジであった。ボクシングの才能がないと悟ったマサルはボクシングをやめ、以前にラーメン屋で出会ったヤクザの組長のもとで極道の世界に入り、二人は別々の道を歩むことになる。高校を卒業しプロボクサーとなったシンジは快進撃を続け、マサルは極道の世界で成り上がっていった。しかし、ジムの先輩ボクサー・ハヤシからボクシング界の悪しき慣習を吹き込まれたシンジは、安易な道を選択するようになり、大事な試合で惨敗。一方、敵対する組から組長を狙撃され、親分に反抗して粋がるマサルもヤクザの制裁を受ける。若さが裏目に出て苦い挫折をした二人は、通っていた高校の校庭でかつてのように自転車の二人乗りをしていた。シンジは冗談混じりに本気の質問をマサルに問いかけた。「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」1994年のバイク事故で死に直面した北野武がブランクを経て撮影した復帰作。事故が作品の世界観に大きな影響を与えている。復帰作とあって、プロデューサーの森昌行は「北野武の復活」のアピールのために慎重に企画を立ち上げた。本作の企画が出たとき、他のスタッフからは「『ソナチネ』のリベンジをすべきだ」という声が挙がったが、森は北野武が考えていた「フラクタル」という映画の企画や、バイオレンス路線での復活は時期尚早として拒否し、本作を選んだ。そして北野に対してはクランクイン前に脚本の改稿を何回も行わせた。北野は漫才ブームの頃から「いつか『レイジング・ブル』のようなボクシング映画を撮ってみたい」と語っており、この構想の一端は本作で実現することとなった。本作の中で二人がジムに入門し、やがて異なる道を歩んで行くくだりは、北野がボクシングを習い始めた時代に活躍していた東洋フェザー級チャンピオン・関光徳のエピソードから着想を得ている。本作でデビューした安藤政信の出世作として知られる。また、金子もこの映画を機に俳優として飛躍した。安藤は元ボクサーとのボクシングの試合の撮影で鼻先にパンチをもらい、撮影後、楽屋で鼻が曲がって泣いて落ち込んでいるときに北野から「役者生命に支障はない、一生食っていけるから」と言われ慰められた。安藤のボクシング指導は実際にトレーナーで映画にも出演した梅津正彦がJ.Bスポーツクラブで行った。トレーナーの梅津はこの映画の構想を撮影の5年前に北野から聞かされている。最後のシンジの試合のダウンシーンは演技ではなく、撮影終了後、実際に医者が呼ばれ控室で処置がされた。ハヤシのモデルは、北野が若い頃に出会った先輩漫才師である。北野が飲みに誘われたのを撮影があることを理由に断ったら「芸人は飲むんだよ。面白い奴は面白いんだよ」と言われ、結局ついていって飲んで失敗したことがあったという。またハヤシの役は当初は役名もない端役であり、もとの脚本ではホステスの役回りだったが、「女で堕落するのでは当たり前すぎて面白くない」という理由から設定変更された。台詞を撮影当日に紙に書いて直接渡し、俳優はその場で覚えて即興で演じるという、北野作品で後によく用いられるようになる手法が初めて導入された。本作で登場する学校は、サレジオ学院高等学校が1995年4月に川崎市宮前区鷺沼から横浜市都筑区南山田に移転した際の跡地を利用したものである。作品中に登場する職員室の扉にある落書き“浜崎のウンコ野郎”の“浜崎”は、サレジオ学院に実際に勤めていた教員の名前である。シンプルなストーリーとしっかりした画面構成が淀川長治に絶賛されたほか、それまで北野の才能を評価しながらも一貫して辛口評価を続けてきた田山力哉が賞賛した作品でもある。田山が北野に直接賞賛の言葉を送ると、北野は驚いて「本当に?」と何回も聞き返してしまったという。2013年10月12日に原案ビートたけし、監督清水浩、主演平岡祐太、三浦貴大で続編「キッズ・リターン 再会の時」が公開された。物語は今作の10年後を描く。マサルとシンジは高校時代を共に過ごした親友同士。マサルはボクシングを習うためにジムに通うが挫折してヤクザの組員に。マサルに付き添ったシンジの方がボクシングに目覚める。いつも一緒だった二人はいつしか別々の人生を歩むことになる。物語の舞台はそれから10年後、刑務所から出所したばかりのマサルは、自身が所属する室沢の組事務所を訪れる。しかし室沢から数年前に組が解散して、シマのしのぎ集めにも苦労していることを告げられる。一方ボクシングを辞めたシンジは警備員として働くが、ある日同僚の松本が交通整理中にミスをしてチンピラに絡まれる。仲裁に入ったマサルに、騒動に駆けつけたシンジが気づき偶然再会する。その夜二人は、シンジの知人のマナミの店で久しぶりに語り合う。シンジが試合での扱いに不満を感じボクシングを辞めたことを告白。マサルは、高校の頃に言っていたように「ボクシングで見返してやればいい」と発破をかける。翌日、シンジは自ら辞めたジムの会長・沢田に頭を下げ、もう一度ボクシングをやらせてほしいと頼み復帰する。トレーナーの小林は、シンジがまた試合でかませ犬にされると心配するが、シンジの意志は固い。マサルは舎弟のユウジから、シマの経営者たちが崎山の指示でしのぎの金を減らしていることを知る。崎山の会社に訪れたマサルは、室沢の組の解散により扱いが曖昧だったシマについて話し合う。お互いのシマに対する認識が食い違う中、今後はマサルがシマを仕切ることを強引に押し通す。その後、崎山を恐れて支払いを渋る経営者たちには、マサルが暴力で脅して金を回収。崎山はマサルのしのぎ集めを渋々黙認していたが、部下づてに経営者たちの不満を知り苛立つ。高校時代にシンジがボクシングを始めた経緯をマサルから聞いたマナミは、シンジを応援する。ほどなくしてシンジは警備員を辞めて、ボクシングの練習に打ち込み試合に勝ち上がっていく。そんな中、マサルは室沢から九州に組みを持つ知人から将来シマを任せるために来て欲しいと話を持ちかけられる。しかし後日、室沢は直接崎山とシマのことを話しに行くが、後日崎山の策略により室沢が逮捕されてしまう。
出典:wikipedia
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