青年海外協力隊(せいねんかいがいきょうりょくたい、)とは、日本国政府が行う政府開発援助 (ODA:Official Development Assistance) の一環として、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 (JICA) が実施する海外ボランティア派遣制度である。青年海外協力隊の募集年齢は20~39歳。募集分野には農林水産、人的資源、保険・医療などがあり、さらに120以上もの職種に分かれている。2013年7月末現在までに88ヶ国、計38,300名の隊員が派遣されている。1954年の日本のコロンボ・プランへの参加を経て、1957年に構想がスタート。1961年のアメリカ合衆国による海外ボランティア平和部隊創設、同年の日本平和部隊構想といった流れを経て、1965年に発足した。最初の派遣国は東南アジアのラオス。当初は海外技術協力事業団(1971年に国際協力事業団、後の国際協力機構 (JICA) に統合)により実施されていた。関連事業として、1990年にはより高い年齢層を対象としたシニア協力専門家(1996年にシニア海外ボランティアに改称)が、1996年には中南米の日系人社会をターゲットとした日系社会青年ボランティア・日系社会シニア・ボランティアが開始されている。2000年には派遣隊員数が2万人を突破、2013年7月末現在まででは、派遣国が計88ヶ国、派遣隊員数は延べ38,300名となっている。2013年には熊本県から初の親子で同じ国に派遣される隊員が誕生し、親子や兄弟で協力隊経験者という例も珍しくない。派遣国からの要請に基づき活動を行う。アフリカでの井戸掘りといったイメージを持たれることが多いが、実際の活動内容は派遣国・職種により大きく異なる。 例えば、コミュニティ開発であれば地方の村落を回っての生活改善や産業育成の支援、教師やPCインストラクターなら指導法の教育や実際の授業、家畜飼育であれば農家への飼育方法の教授、といったことを行う。活動目的としては下記の3点が掲げられている。2013年7月末現在の派遣国は71ヶ国、これまでの累計では計88ヶ国となる。高中所得国であるメキシコから、最貧国の一つであるバングラデシュまで、派遣国は多岐に渡る。地域別ではアジア・アフリカがそれぞれ派遣者総数の約3割を占め、ついで中南米が2割、中東・オセアニアが各1割弱である。ヨーロッパ(旧東側諸国やトルコ)への派遣も行っていたが、全体に占める割合は僅かである。国別では、マラウイが計1,599人で最も多く、次いでフィリピン、ケニア、タンザニアと続いている。また、同じ国であっても開発が遅れた地方の農村や都会のスラムから、逆に発展した首都の官公庁や大学まで、派遣先は隊員ごとに大きく異なる。大きく8つの分野に分けられる。2013年7月末現在では、人的資源分野が派遣者数全体の半分を占めており、過去の累計でも4割に達する。ついで計画・行政、保険・医療がそれぞれ2割弱を占める。かつては農林水産や鉱工業といった分野の割合も大きかったが、現在では1割以下に低下している。各分野の中では、コミュニティ開発が計2,595人で最も多く、次いで理数科教師、日本語教育、看護師と続いている。 日本語教育やコミュニティ開発は特別なスキルを持たない参加者の受け皿となっている。なお、以下の表も含め、本項目における名称・分類はJICAのものに従っている。応募資格は、日本国籍を持つ20~39歳までの、心身ともに健康な者。募集時期は年2回、4~5月の春募集と10~11月の秋募集がある。平成18年度秋募集より一次試験及び二次試験の内容が大幅に変更となった。現地の治安状況や職種によって、男性限定の募集が存在する。応募者数は1994年度の年間1万1832人をピークに以後減少傾向にあり、特に2011年春募集では、東日本大震災の影響やジャスミン革命を始めとする国際情勢の悪化、また前年の事業仕分けによる手当て削減により、半期としては過去最低の1351人となった。職種別では、コミュニティ開発と青少年活動の応募者数が多く、2013年春募集ではどちらも全体の1割以上を占める一方、農林水産や鉱工業といった専門性が高い分野では定員割れや応募者なしも発生している。全て書類審査。ただし一部の職種(日本語教師)については、Web試験が存在する。東京または地方数箇所で実施。技術的に合格基準を満たした者でも不採用となる場合がある。これは、各国からの要請内容と候補者の希望や履歴等を比較する「マッチング」に際し、要請国の文化や要請内容等に合わないと判断されたためである。そのため、不合格となった場合でも再度の受験により合格にいたるケースも多くある。また、技術レベルの高いものが不合格となったり、低い人が合格となったりする場合もある。また健康診断について、判定基準は厳しいものとなっている。日本では健康でも、開発途上国の環境下では問題となる場合があるためである。開発途上国により医療水準も異なり、派遣国により健康診断派遣基準は異なるものと思われる。二次試験の選考結果には「合格」「不合格」の他に「登録」がある。前述の“マッチングに漏れて不採用となった者”の一部は「登録」となる。登録者は、合格者の辞退などにより欠員が生じた場合や開発途上国から募集期間外に要請が寄せられた場合などに、合格に繰り上がることがある。また、次回受験時に一次選考が免除となる場合もある。試験に合格すると福島県二本松市の「二本松訓練所」と長野県駒ヶ根市の「駒ヶ根訓練所」で、65日間の訓練に入る。訓練所は派遣国によって分かれる。基本的な訓練内容訓練中の食費、宿泊費等はかからない。研修資金として月5万円が支給される。訓練中の外出は月〜土曜日の夕方と日曜日が可能となっているが外泊は土〜日曜日以外には認められない。派遣は19年度より、1次隊(6月末ごろ派遣)、2次隊(9月末ごろ派遣)、3次隊(12月末か1月初旬ごろ派遣)4次隊(3月末ごろ派遣)に分かれている。2007年度より4次隊がある。(語学などの最終試験に不合格となった場合は派遣延期という事で次の隊次に合流し、再度訓練を受けることが可能。但しこの場合の食費や宿泊費は自己負担となる。)原則として派遣期間は2年間で、任期延長可能なのは1年間(延長については、受入先、現地を管轄するJICA事務所、隊員本人の同意が必須)。生活費、医療費、渡航費などは支給される。支給される生活費は派遣国の物価などを考慮された必要最低限の金額であり、状況によって異なるが、現地社会と同等の生活レベルが求められる。家族等の同伴はできないため、単身赴任となる。また派遣期間中は別途、国内積立金が支給される(2年間で140万円、2009年の事業仕分け以前は250万円)。休職参加・休学参加の場合、帰国後すぐに元の職場・大学等に戻ることになる。新卒参加の場合や、退職参加の場合には、任期終了後にJICAから進路相談などを通じた支援があるが、一般企業が青年海外協力隊員経験を評価することはあまりないので、希望に添える就職を紹介されることは多くない。開発途上国での生活は、参加者の価値観・人生観を変えることが多く、日本の一般のサラリーマン社会に適応できなくなる人も少なくはないが、逆にその新たな価値観・人生観を元に国際企業・国際団体などで活躍する者も多くある。従って、再就職先の保証がない人が隊員になるにあたっては、自分の人生を自分で切り開く覚悟、心構えが必要である。大学・大学院へ進学する者も少なくなく、最近では自治体の採用試験や大学院等で協力隊枠が設けられる事例も増えている。調整員や専門家、ジュニア専門家など、JICAの契約職員として働く帰国隊員も多い。2014年、経験者を採用したいという求人が増え、この5年で8倍になり、毎年1200人前後が帰国するが、2013年度の求人は2506人で、2倍以上の求人倍率になったJICAボランティアには青年海外協力隊のほか、中南米の日系人社会を対象とした日系社会青年ボランティア(20~39歳)、40~69歳までを応募対象としたシニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアがある。また、派遣期間が一年未満とする短期派遣ボランティアが新たに設けられた。青年海外協力隊、シニア海外ボランティアの二種類があり、それぞれがボランティア経験のある者と経験の無い者を対象にした要請に分けられている。処遇等はそれぞれ青年海外協力隊、シニア海外ボランティアに準じており、異なるのは訓練期間が短いということと、語学はそのレベルを証明する書類が必要(例:英語の場合はTOEIC,TOEFLの点数、英検、国連英検など)となる。また応募期間は年6回設けられており、その要請数は少ない。また、JICAボランティア経験者は、国連ボランティア(国際連合ボランティア計画)選考の際、特別枠があるため若干有利となる。公益社団法人 青年海外協力協会 () は、青年海外協力隊のOB・OGが中心となり組織されている公益社団法人。1969年設立の日本青年海外協力隊OB会が中核となり、1983年に社団法人として設立された(2012年に公益社団法人に移行)。国際協力活動や関連施設の運営を行っている。2009年にJOCAがアフリカ8か国の協力隊事業を対象に行った調査研究では、以下のような問題点が指摘されている。なかでも派遣国からの要請と活動の乖離は、繰り返し問題点として指摘されている。想定していたものと違う活動を依頼されることは少なくなく、酷いケースでは「仕事がない」「カウンターパートがいない」「そもそも配属先がない」といった深刻な事態も報告されている。これらの原因としては、要請から派遣までに1年以上ものタイムラグがあることに加え、JICA事務所側が安易にボランティアの自主性を強調していることも指摘されている。また政治的な理由から、実際には必要のない要請が挙げられるケースも指摘されている。また、技術をもったボランティアが単なるマンパワーとみられたり、逆にボランティアがモノを援助をしてもらうためのパイプ役として扱われるなど、協力隊の活動内容が現地に理解されていないケースも散見される。協力隊事業に関する評価としては、人材育成の観点からは高い評価が寄せられる一方、現地社会への貢献については多くの隊員からも「役に立っている実感がない」との声が寄せられている。
出典:wikipedia
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