


潮流放送とは、海上保安庁の一部の海上交通センター(マーチス)が提供する、特定海峡を航行する船舶に対し、潮流の状況を音声・モールス信号で通達する中波放送である。電波法令では『特定業務の局』とされ、『潮流情報を送信する無線局』(無線局運用規則第140条)と定義される。ここでは、潮流放送とは別に、視覚情報で潮流を伝える『潮流信号』についても明記する。船舶が多く航行する海峡において、潮流が著しく強い、または潮流の方向が不定期的に変化することで、航行障害を起こして海上交通の妨げになる海峡、潮流の方向により航路が指定される海峡に設置され、音声ないしモールス信号で潮流の向き・流速・流速の変化の傾向について伝達する、特定業務の局である。日本では、来島海峡(西水道・中水道)、関門海峡(早鞆瀬戸)の2か所に設置され、識別符号"NT"、"おおはま"、"ひのやました"の3局(前者2つが来島海峡、後者が関門海峡)が運用されている。この2つの海峡では、潮流にさかのぼって航行する場合に潮流+4ノットを出して航行すること、また潮流7ノット以上のときに、停泊している船舶が潮に流されないよう処置をすることが義務付けられ、特に来島海峡では、潮流の流行と同じ方向(順潮時)に航行する時は中水道を航行し、潮流の流行に逆行(逆潮時)して航行する時は、西水道を航行する「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)」という、特殊な航法が実施されており、潮流が0ノットになり、潮流の向きが変化する「転流」のときに来島海峡を航行する際は「転流時通報」をしなければならない。このらことは、海上交通安全法に明記されている。ゆえに潮流放送・潮流信号は、このために利用される。(詳しくは来島海峡の項参照)流速は、書いていていに埋められた流速計を用いるが、故障したときは、天文儀から計算された流速を用いる。また同様の放送は、来島マーチス・関門マーチスからの船舶向け放送でも行われるが、こちらに比べて(1時間に日本語で2回)情報発信頻度は非常に多い。中水道の潮流について、モールス信号で送信される。終期とは、転流20分前~転流時刻までの時間を指す。(後述の『転流期』と混同しやすいので注意。)また、南流・北流は後述の『南への流れ』・『北への流れ』と同じ意味である船舶気象通報と同様に、合成音声による送信が行われる。内容は1度繰り返される。送信内容は、西水道・中水道・大角鼻沖合の、現在・30分後・1時間後の『潮流の向き』・『流速』、中水道の『転流時刻』である。船舶気象通報と同様に、合成音声による送信が行われる。内容は1度繰り返される。送信内容は『潮流の向き』・『流速』・『流速の変化の傾向』の3つである。来島海峡の西水道・中水道、関門海峡の早鞆瀬戸の潮流信号については、電光掲示板(来島海峡4箇所、関門海峡3箇所)による表示も行われている。表示は、潮流放送と同じように、潮流の向き、流速、流速の傾向として表示される。来島海峡には加えて、『転流期(転流20分前~転流20分後)』および『転流1時間前~転流時刻』という表記がある。表示はそれぞれ"潮流の向き→消灯→流速→消灯→流速の傾向→消灯"を繰り返す。更に、来島海峡については、潮流放送"おおはま"と以下の相違がある。なお、現在の中渡島灯台にあった、腕木式・色灯火式については来島海峡の項を参照。実際の表示例については、出典を参照されたい。
出典:wikipedia
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