特許(とっきょ、、パテント)とは、法令の定める手続により、国が発明者またはその承継人に対し、特許権を付与する行政行為。国別の特許制度については右に掲げた各項目を参照されたい。特許は、有用な発明をなした発明者またはその承継人に対し、その発明の公開の代償として、一定期間、その発明を独占的に使用しうる権利(特許権)を国が付与するものである。特許権は、無体物(物ではない、形のないもの)である発明に排他的支配権を設定することから、知的財産権のひとつとされる。日本の特許法においては、特許制度は、特許権によって発明の保護と利用を図ることにより、発明を奨励し、また産業の発達に寄与することを目的とするとされている(特許法1条)。そこで法定の特許存続期間、日本では出願をした日から20年をすぎると(特許法第67条)、実施が自由解放される仕組みとなっている。日本では公的な特許検索サービスとして、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)があり、特許以外にも実用新案、意匠及び商標等の産業財産権をインターネット上で調べることができる。また、欧州特許庁(EPO)のEspacenetに代表されるように、日本以外の各国でも同様のサービスが提供されている。さらに、民間企業も有料又は無料のサービスを提供している。日本では、パトリス、日立製作所、NRIサイバーパテント、トムソン・ロイター等が有料のサービスを提供している。また、米国の特許は2006年12月13日からGoogleのGoogle Patentsでも検索できるようになっている。(#パテントマップも参照のこと)英語で特許を意味する"patent"の語源は、ラテン語の"patentes"(公開する)であるといわれている。中世ヨーロッパにおいては、絶対君主制の下で王が報償や恩恵として特許状を与え、商工業を独占する特権や、発明を排他的に実施する特権を付与することがあった。しかし、これは恣意的なもので、制度として確立したものではなかった。イタリアのヴェネツィア共和国では、現在知られる限り最初の特許は、1421年に、ブルネレスキに与えられ、1474年には世界最古の成文特許法である発明者条例が公布された。このことから、近代特許制度はヴェネツィアで誕生したとされている。1623年にイギリス議会で制定されたは、それまでエリザベス1世とジェームズ王が塩税やデンプン税のため恣意的に認めてきた特許を原則禁止にした。例外的として発明と新規事業のみは、一定期間(最長14年間)に限って独占権を認めるとともに、権利侵害に対する救済として損害賠償請求を規定した。この条例の制定により特許制度の基本的な考え方が確立した。この条例はチャールズ1世にも乱用された。後に専売条例はジェームズ・ワットの蒸気機関(1769年)や、リチャード・アークライトの水車紡績機(1771年)などの画期的な発明がなされる環境を整え、英国に産業革命をもたらした。専売条例はイギリス本国で欧州特許条約が結ばれるまでこの分野のメルクマールであり続けた。オーストラリアでは今なお通用している。1883年には、工業所有権の保護に関するパリ条約(パリ条約)が締結され、内国民待遇の原則、優先権制度、各国工業所有権独立の原則など、特許に関する国際的な基本原則が定められた。日本では、明治維新後の1871年(明治4年)に最初の特許法である専売略規則(明治4年太政官布告第175号)が公布されたが、この制度は利用されずに当局も充分な運用ができなかったため、翌年には施行が中止された。その後、1885年(明治18年)4月18日に本格的な特許法である専売特許条例(明治18年太政官布告第7号)が公布・施行された。1888年(明治21年)には審査主義を確立した特許条例(明治21年勅令第84号)が公布され、1899年(明治32年)には旧特許法(明治32年法律第36号)を制定してパリ条約に加入した。1922年(大正11年)に施行された大正10年法では先願主義が採用され、現在の特許法の基礎が作られた。現行特許法(昭和34年法律第121号)は、1959年(昭和34年)に全面改正された昭和34年法を累次、部分改正したものである。発明に対して特許制度により独占的権利を与える根拠としては、いくつかの説が提唱されている。それらを大別すると、基本権(自然権)説と産業政策説の2つに分けられる。現在では、産業政策説に属する公開代償説が最も広く受け入れられている。発明に対する権利は、人間に与えられた基本的な権利(自然権)であるとする説。1791年のフランス特許法等で採用された考え方である。財産権説と受益権説に細分される。発明に対する権利は、国の産業政策として発明の権利保護を図るために与えられるとする説。公開代償説、発明奨励説、過当競争防止説(競業秩序説)に細分される。パテントマップとは、特許に関する情報を整理・分析・加工して図面、グラフ、表などで表したもので、特許マップ、または、特許地図とも呼ばれている。パテントマップを見ることで、特許をマクロな視点から把握することができる。大企業同士の特許係争ともなると出願全件の侵害・非侵害を調べることが現実的ではない場合もあり、交渉の材料としてパテントマップが用いられることもある。パテントマップの作成業者は、特許庁ホームページ上特許情報提供事業者リスト集から調べることができる。ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツは、知的財産権は諸刃の剣であり、技術革新を生み出すための研究投資に動機付けを与える一方で、知識の拡散を阻害する要因も働くと述べる。その財産権を有する企業が、企業利益を最大化するために知識を独占しようとするためであり、その場合には技術発展は阻害されてしまう。ノーベル賞経済学者エリック・マスキンも同様の見解を示し、ソフトウェア産業のような技術革新が間断なく起こる産業においては、特許の基準を厳格にするよりも、特許制度を廃止した方がよいかもしれないと論じる。ソフトウェア産業では、先に起きた小さな技術発展をもとにして次の小さな進歩が起きるというように、ドミノ倒し式に技術発展する構造となっている。多くの独占者が行うように、特許権者は高額なライセンス料を課す。これによって各々の小さな進歩が妨げられ、全体としてイノベーションが阻害されてしまう。米国では、特許政策によって制御のきかない独占が数十年間も製薬会社に許されていた。合衆国以外の先進国では、ある程度そうした製薬会社による市場独占に制限を課しており、薬価にも抑制がかかる。米国民は、米国の特許政策のために、それら先進国での価格の2倍の価格で処方薬剤を購入している。
出典:wikipedia
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