『逃亡者』(とうぼうしゃ、原題: "The Fugitive")は1993年公開のアメリカ映画。妻殺しの罪を着せられた医師が警察に追われながらも真犯人を見つけ出すというサスペンス映画。1960年代のテレビドラマ・シリーズ『逃亡者』をベースとしたリメイク作品で、医師リチャード・キンブルをハリソン・フォード、連邦保安官補サミュエル・ジェラードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。物語の舞台が映画公開当時の現代へと置き換えられ、設定やストーリーは変更されているが、無実の罪を着せられながらも妻を殺害した真犯人「片腕の男」を追う医師キンブルと、彼を逃亡犯として追う好敵手ジェラード、という骨子はテレビドラマ版を踏襲している。本作では、キンブルを幾度となく窮地に追い詰めるジェラード連邦保安官補の非情さや、逃亡犯を追う職務を楽しんでいるような姿が描かれる一方、感情移入できるような描写が少なかったテレビドラマ版のジェラード警部とは異なり、逮捕の危険を冒して自らの無実を証明しようとするキンブルの行動に有罪を確信できず、自ら再捜査に乗り出す描写などが取り入れられている。ジェラード役を演じたトミー・リー・ジョーンズは第66回アカデミー助演男優賞を受賞した。なお、本作品のスピンオフ作品として、ジェラード連邦保安官補が主役を務める『追跡者』が1998年に作られた。本作の元となっているテレビドラマ版『逃亡者』は、1954年、アメリカ・オハイオ州でサミュエル・シェパード医師がその妻を殺害したとして逮捕された現実の冤罪事件(サム・シェパード事件)に脚色を加えた小説を元に作られている。この「無実の主人公が警察などの追っ手から逃げつつ、真犯人を捜し出す」という形式には人気があり、これ以外にも様々な「逃亡者」が作られ、逃亡者という題名を付与されずとも似たような形式の作品は多い。シカゴ記念病院の有能な血管外科医リチャード・キンブルがある日の夜に帰宅すると、妻のヘレンが家の中で何者かに襲われて死に瀕していた。キンブルは犯人と思しき「片腕が義手の男」を撃退するも、妻は既に致命傷を負っており手遅れであった。キンブルは自分が取り逃がした義手の男について捜査するよう警察に懇願するが、警察は死の間際のヘレンから受け取った通報の内容を誤解しており、キンブル本人が妻殺しの濡れ衣を着せられ逮捕されてしまう。キンブルは裁判で無実を証明することができず、死刑判決を受けて刑務所へと移送されることになるが、その最中に他の囚人たちが逃亡を企てたことにより、護送車が列車と衝突し爆発炎上するという大事故が発生する。事故を間一髪で生き延びたキンブルは混乱に乗じ、妻を殺害した真犯人を自らの手で見つけて汚名をすすぐため、事故現場から逃亡してシカゴへと向かう。一方、いち早く脱走した囚人がいることを突き止めたサミュエル・ジェラード連邦保安官補とその部下達はキンブルを追跡する。時には持ち前のヒューマニズムが仇となって窮地に陥りつつも、執拗なジェラードの追跡を幾度となく振り切りながら、キンブルはシカゴに帰り着いて証拠を辿り、同僚であり親友でもあるチャールズ・ニコルズからの援助も受けながら、ついには自分が目撃した「片腕が義手の男」がフレデリック・サイクスという名の人物であることを突き止める。そして犯人は妻ではなく自分を殺害することが狙いであったことや、事件の裏に大手製薬会社が絡んでいることを知る。また自分と同じ病院に勤務していた医師アレックス・レンツが関わっていたことも判明するが、レンツは少し前に交通事故で亡くなっていることをニコルズから知らされる。その頃、ジェラードはキンブルの不可解な行動から、彼は本当は無実ではないかと思い始めるようになり、キンブルが残した手がかりを元に独自に調査し始め、サイクスに目星をつけるのだが、彼に逃げられてしまう。一方のキンブルは古巣のシカゴ記念病院で、レンツの研究に用いられていた検体が何者かにすり替えられていることを見抜く。さらに、その状況からレンツの上司でもある親友のニコルズこそが、自分の殺害をサイクスに指示した黒幕であり、今まで自分を欺いていたことを悟る。かつてレンツが研究中であった新薬に重大な副作用があることを指摘したキンブルは、その新薬によって富と名声を得ることを目論んでいたニコルズにとって邪魔な存在であったのだ。直ちにニコルズの元へ向かおうとするキンブルをサイクスが襲うが、キンブルはそれを返り討ちにする。サイクスを差し向けキンブルを始末したつもりでいたニコルズは、ホテルの会場で新薬の成果に関する講演会を開いていた。そこにキンブルは乗り込み、大勢の聴衆の前でニコルズを問いただす。ニコルズは話し合う素振りを見せつつも会場を離れ、キンブルに不意打ちを浴びせようとし、2人は格闘を始める。シカゴ市警によってホテルが封鎖され、キンブルの射殺命令が出される中、独自の調査で事件の真相に辿り着いていたジェラードも到着し部下を連れてホテルの中へ突入する。格闘戦の末、ジェラードの援護もあってキンブルはニコルズを打ちのめし、2人はジェラードに逮捕される。しかしキンブルの無実を確信していたジェラードは直ぐにキンブルの手錠を外し、報道陣が詰め掛ける現場から共にパトカーで去る。「片腕の男」の義手の資料を集めるためにキンブルが潜りこむ病院は、本作の1年後に放送が開始されたテレビドラマ『ER緊急救命室』の舞台にもなっている、シカゴのクック郡病院である。また、ジュリアン・ムーアが演じたイーストマン医師とのやり取りや、ERの第1話でも描かれるシカゴの聖パトリックの祝日(3月17日)も本作での見どころの一つになっている。共に配給元がワーナー・ブラザーズである関係とみられる。また、本作の出演を依頼された事があるケビン・コスナーは、『コーリング』でキンブルと同じシカゴ記念病院に勤めるER部長ダロウ医師を演じた。本作ではジェラードの役職がテレビドラマ版とは異なり、所轄の警察の警部(警部補)から連邦保安官補へと変更されているが、これはジェラードが逃亡するキンブルを追って広範囲の捜査を進めるという状況に説得力を持たせるための変更であると言われている。。映画のラストシーンでキンブルを車に乗せたジェラードが、部下のプールに“Where is that thing?”(例の物を 直訳では「アレはどこにある?」)と言って持って来させたのは冷却パックである。それらしい動作をしているだけで具体的に説明する台詞は無いが、日本では早川書房から出版されているノベライズ版では地の文で「アイス・パック」と描写されている。テレビ朝日の吹替え版では「アイスパックをくれ」という台詞になっていた。テレビ版の翻訳はたかしまちせこ。ジェラード役は洋画翻訳の経験がある小林清志である。脚本の初期稿ではキンブルがジェラードの妻を医療ミスで死なし、ジェラードが義手の男を雇って復讐するというストーリーであった。ジェラードが部下のニューマンに、頭髪が後ろで縛ってある髪型であったことに対し、「ポニーテールでもなめられるなよ」という場面がある。当時この髪型はマイナーであり、男性がする場合軟弱なイメージが一般的であった。映画の内容を基にしたノベライズ版が出版されており、日本では早川書房から日本語訳が出版されている。概ね映画に沿って作中の出来事を文章化したものとなっているが、映画では台詞に出して明言されなかった、登場人物たちの性格についても細かく描写されている。また、ノベライズ版独自に追加されたり省かれたりするなど、映画とは若干描写の異なる場面もある。同題の他の映画については曖昧さ回避ページを参照。
出典:wikipedia
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