精神保健指定医(せいしんほけんしていい、あるいは単に「指定医」)とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条に定める、医師の国家資格である。精神科医の精神科医療においては、患者に入院を強制したり、身体的拘束を含む行動制限を行わざるをえない場面が存在する。しかし、人身の自由を直接制約するものであるから、これらの人権の侵襲が妥当なものかどうかの判断は、精神医療及び法制度に通暁した者によって慎重になされなければならない。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律上の入院において、これらの判定を独占的に行える者とされたのが指定医である。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律における入院処遇について、行動制限を要するときにも本法の資格によるものであり、学会認定専門医制度とは根本的に違う点である。指定医の資格申請には、精神科3年以上を含む5年以上の臨床経験を有する精神科医が講習を受けた上で、措置入院または医療観察法1例、統合失調症2例、気分障害、中毒性精神障害、児童思春期症例、老年期精神障害、器質性精神障害各1例の、計8例のケースレポートを提出することが求められる。合格率は5~6割といわれる。前身の精神衛生鑑定医(鑑定医)から移行した者(約6,000人)と合わせ、2013年(平成25年)末時点で14,630人である。指定医の職務は、勤務先の医療機関における職務と、非医療機関における職務(みなし公務員)に大別される。医療機関における職務は、退院制限を要するか、措置入院の症状が消退しているか、医療保護入院や応急入院を要するか、隔離や身体拘束など行動制限を要するか、退院請求や処遇改善請求をした患者の診察、措置入院患者の仮退院が可能かどうか、の判断をすることなどである。また、医療機関内で著しく不適切な処遇がある場合には、管理者に報告などして改善する義務も課せられている。非医療機関における職務としては、措置入院や緊急措置入院を要するか、医療機関への移送を要するか、退院請求や処遇改善請求、精神科医療機関への立ち入り調査に際して現在の処遇が適切か、精神障害者保健福祉手帳の返還を要するか、の判断をすることなどである。神奈川県川崎市宮前区の「聖マリアンナ医科大学病院」で、精神保健指定医の資格不正取得問題が発覚し、2015年(平成27年)4月15日、厚生労働省医道審議会が不正取得に関わった精神科医20人(不正取得医師11人と指導医9人)の精神保健指定医を取り消す「異例の事態」となった。不正取得した精神科医は、統合失調症や依存症など8症例のケースレポートを「コピー&ペースト」で、同じ医局の精神科医が書いた症例を使い回し、あたかも自分が担当医となった様に装っていた。同年6月19日には、さらに聖マリアンナ医科大学所属の准教授2人と講師1人の指導医3人の指定医の追加取り消し処分を決定したと発表した。この処分で合計23人(内訳:医師11人、指導医12人)の精神保健指定医資格が取り消された。聖マリアンナ医科大学は、大学組織ぐるみでの不正については、これを否認している。他、厚生労働省が2016年に実施した実態調査で、日本国内の精神科医のうち数十人が、診療歴を偽るなどの手口で、指定医の資格を不正取得していた疑いがあることが判明している。この中には、相模原障害者施設殺傷事件の被疑者の措置入院に関わった精神科医も含まれていた。出版物
出典:wikipedia
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