『ダメおやじ』は、古谷三敏とファミリー企画による日本のギャグ漫画作品。また、それを原作としたテレビアニメと映画。12年間にわたり“少年サンデー”誌上にて連載された。第24回(昭和53年度)小学館漫画賞少年少女部門受賞。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、1970年43号から1982年30号まで連載。単行本は曙出版からアケボノコミックスとして全21巻、小学館から少年サンデーコミックスとして全18巻が刊行された。曙出版刊行版の続きが小学館刊行版となっており、両者間に二重収録は無い。社長就任後のいわゆる「マイウェイ編」は小学館刊行版の第4巻以降となる。また双葉社からも双葉文庫として傑作選が刊行されたが、収録作品のほとんどが社長就任後の話であり、この作品を世に広めたいわゆる前編は「地獄のオニババ編」として1巻にまとめられている。上記書籍はいずれも絶版となっているが、現在は電子書籍(地獄のオニババ編全24巻・マイウェイ編全15巻)として出版されている。なお、原作者のクレジット表記は、曙出版版では「古谷三敏 フジオ・プロ」、少年サンデーコミックス版では「古谷三敏 ファミリー企画」となっている。ただしアケボノコミックスの原作者クレジットは古谷のフジオプロ脱退と同時に「古谷三敏 ファミリー企画」とクレジットが変わっている1999年には『ダメおやじ〜平成版〜』が「20世紀最大の読み切りシリーズ」の1作として『週刊少年サンデー』に読み切りで掲載された。連載開始当初は赤塚不二夫のアシスタントと掛け持ちであり、古谷を「アイデア会議」に参加させるためとして赤塚が同作を代筆していた。赤塚は後にエッセイやテレビ(『徹子の部屋』など)でも代筆を公言していたが、それと同時に、同作に人気が出たのは古谷が本格的に描くようになって古谷独特の味が出て以降とも語っている。なお、赤塚作品を歌でフィーチャリングしたアルバム「赤塚不二夫ソングブック」にも「ダメおやじ」の歌が収録されている。ただし、この歌は赤塚が作詞したもので、テレビアニメの主題歌とは異なる別の作品である。赤塚作品の中には、ダメおやじがクロスオーバーおよび客演したのが一種ずつある。クロスオーバーは、1970年 - 1971年に『週刊少年サンデー』に連載した『ぶッかれ*ダン』の最終2話に、ダメおやじ一家がダン・アイちゃん・ゲスペタと共演するもの。客演は『週刊ぼくらマガジン』版『天才バカボン』の「BAKA型の輸血なのだ」で、「どうせわたしはダメですよ」と言いながらダメおやじが登場するというもの。また扉のみでは、『レッツラゴン』の扉で、サーフボードに扮したベラマッチャにゴンとおやじが乗っているまねをして、ダメおやじの上にオニババとタコ坊が乗っている。近年の日本では、親父は単なる家庭の男の側に過ぎない。このため、ドメスティックバイオレンスでは、女性に男性が虐待されているケースも見られる。しかし同作品が発表された1970年代には、まだ「親父の威厳」が存在しており、本作品では敢えてこれを徹底的に扱き下ろすことで、実際にはありえないダメダメっぷりを描くというギャグが成立していた。ただし、前半においては主人公が受ける暴力は、棍棒や針、熱湯などを情け容赦なく用いた、虐待というよりは壮絶な拷問を超えたものが多く(現実に行っていたら間違いなく死んでいるような)、同時期の赤塚不二夫や谷岡ヤスジにも共通する残酷ギャグとも共通するシュールさを示している。しかし連載が続くうちに、仕事中毒から家庭不在が続いて権威が落ち始めた親父像が実社会に出てくるに従って、作品内容にも若干の変化があった模様で、小学館単行本4巻以降では、その暖かい人間性から大会社社長に雇われることで内容は大転換する。性格的なダメっぷりは相変わらずだが、人生の機微を扱ったり、アウトドア薀蓄が顔を見せるなど、後の薀蓄漫画の原型とも言える動向も見られた。だが、作者自身によると、作品の内容が変わったことについては、「連載が始まって10年ほど経った時、妻から『まだ、(ダメおやじを)描いてたの?』と言われ、10年間全く変わらなかったダメおやじ一家の設定を変えてみようと思った」と発言している。以降社長を休業、放浪、いつしかナンセンスギャグ漫画に戻り、最後に素晴らしい仲間たちと大団円、という良い意味で奇異な漫画として成立した。ダメおやじこと雨野ダメ助(以降ダメおやじと記す)は、ドジでおバカとまるでいいところがない。会社では無能と蔑まれ、さらには後輩にも追い抜かれ、家に帰れば稼ぎが悪いとオニババこと妻冬子(以降オニババと記す)に虐待され、挙句に息子・タコ坊にまで馬鹿にされる。娘・雪子はオニババと一緒に虐待するか、相手にしないかのどちらかだ。彼は帰宅するたびに玄関の戸に祈る……「神さま、お願いです。この戸のむこうに平和がありますように!!」と。だが彼が望むのは、家族の安全や幸福ではない。彼自身の安全と安息である。ただ、そのあまりにも哀れな願望は、ひとたび玄関の敷居をまたぐとあっという間に打ち砕かれ、いつものようにオニババらから虐待される。食事抜きなど当たり前、殴る蹴るも日課のごとく、車にはねられればオニババらから「いっそ死んでくれれば金ががっぽり取れたのに!」と言われてしまう。会社の出張で北海道に行って自由を満喫していると、いじめる対象がいなくなって虚脱感を覚えたオニババらが押し掛けて来て、やっぱり虐待される。だがそれでも、ダメおやじは家族のために働くのを止めようとしない。辞めればどんな酷い虐待が待っているか知れたものではないからだ。必死になって働くが、それでも家族が欲しがる大型カラーテレビが買えない。挙句に、町の相撲大会でカラーテレビが優勝賞品に出ていると知ると、オニババはダメおやじの体格を省みずに無理矢理出場させるが、他の参加者にメタメタにのされてしまう。憤慨したオニババはダメおやじのマワシをわし掴んで虐待しつつ「おまえの安月給では一生色のついたテレビは見られないんだ!」と罵るが、ダメおやじは「勝ち負けは時の運、参加することに意義があるんだ」と言い、オニババは「勝つことに意義があるんだ!」とやり返し、そのオニババ自らが相撲大会に出場して見事優勝、カラーテレビをモノにした。オニババは「情け無いおやじに比べてなんとたのもしい母ちゃんではないか」と得意満面に語った後、家族でカラーテレビを見るが、ダメおやじに対しては両目をクリップで止めて一切見せずに「おまえには見る資格はない!」とオニババは言い、ダメおやじは「そんなこと言わずに見せてください」と言っては部屋を徘徊していた、そんなダメおやじの話である。ダメ生活から競馬競輪に嵌り、見せしめのため知床に左遷され、原野を放浪した末、気が狂い、あれだけ痛めつけてきたオニババも哀れむようになる。その後、ふとした出会いから、大財閥令嬢大和ヒミコにその心の温かさを買われ、人生のパートナーとして大会社ダメおやじ株式会社の社長に抜擢され、一大転機を迎える。以降 社長就任後は、大和じいさんとアウトドア生活や豆腐作りをしながら、独自路線で会社を掻き回し、ダメ時代とは打って変わって成功の連続に。それも彼の人間性による。途中、猛勤務によりオニババが「そんなに頑張らなくても良いんだから」と後押ししたのもきっかけで3か月の休暇を取り、山小屋を自らの手で建設。家族を呼び寄せる。家族が帰ると、地元のツッパリ青年サダオらが転がり込み、楽しい山小屋生活が続くものの、会社から呼び出しがかかり、社長業に戻るが、ネクタイの締め方が分からず、重役に叱咤されてしまう。その後、左遷される役員の代わりに社長を辞任。おんぼろ会社「大躍進株式会社」の所長となる。それを小躍進させ、何でも屋「(株)おてつだい」を起業。といっても売り上げはわずかだが、そこでは様々なくだらない依頼により「人間」を描く。それを足がかりに「HOTELダメおやじ」を開業。初めてのお客様に嬉しさのあまり過剰な接待をし憤慨させる。ホテル業が軌道に乗ったころ、ヒミコから「ユートピア」について相談を受ける。人類の幸福について考えを及ばせ、最愛の家族にもわけを話さずに放浪の旅に出る。その後は「奥山村」のある空き家に居つき、迷犬「大左エ門」との奇妙な生活に入る。ここでは「二種類語」として鳥や牛も人語をしゃべりまくる。そして、ここで「祥雲」と名乗る奇妙なマセガキと出会うが、この少年は、実はCIAの調査研究員であった。そんな時、ヒミコから連絡が……。1974年4月2日から10月9日まで東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送。全26話。それまで外国アニメや他局製作のアニメの放送を行ってきた東京12チャンネルにとって初の自社製作アニメシリーズとなる。近畿広域圏では、当時東京12チャンネルとNET系列とのクロスネットであった毎日放送ではなく、朝日放送が当時TBS系列のローカルセールス枠だった日曜18時 - 18時30分に番組購入して放送、中京広域圏では、中京テレビで放送された。諸般の事情により、未放送に終わった回は、後に販売されたビデオソフトに収録されたが、本放送版最終回である26回は収録されていない。ただし、16回・18回・19回・22回は19時00分 - 19時26分。本放送当時はOPは短縮バージョンで、EDは次回予告(タコ坊役の雷門ケン坊が担当)だけを流し、EDは放送されなかった。番組購入により30分枠で放送された朝日放送ではOPはロングバージョンを放送し、EDテーマを加えた。これはNET(現:テレビ朝日)の土曜20:30枠で放送されたアニメ(『デビルマン』など)や、後に日曜18:00枠で放送されるアニメシリーズ『マグネロボシリーズ』と、全く同じである。1973年11月22日に松竹系で公開。映画版ではダメおやじの本名は「雨野大助」となっており、雪子は登場しない。また原作やアニメの天野家は一軒家住まいだが、一軒家住まいの会社同僚の南村との対比のため映画版では団地住まいとなっている。
出典:wikipedia
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