ヘルマン・ティルケ(Hermann Tilke、1954年12月31日 - )はドイツ人建築家。1990年代以降に新設・改修されたサーキットの設計者として知られる。1984年、建築、土木工学、電子工学の三者を併用し、モータースポーツやその他の種々のプロジェクトに最適なソリューションを提供するため、ティルケエンジニアリングを設立した。1990年代以降、F1サーキットはそのステータスを保つため、毎年おびただしい数の変更と安全のための改良を必要としている。ティルケはエステルライヒリンク(現レッドブル・リンク)の改修を手がけて以降、F1開催地の決定を取り仕切るバーニー・エクレストンの信任を得て、それらの契約をことごとく勝ち取ることに成功している。なおティルケはエクレストンの娘婿にあたる。これらの事業から、サーキット専業のデザイナーと思われがちであるが、実際にはそれ以外の建築デザインや、大規模な都市開発を含めた総合的なデザインを幅広く手がけている建築家である。ティルケ自身はアマチュアドライバーとしてニュルブルクリンク24時間レースにも出場するなどのキャリアを持っている。セパンや、イスタンブール、ブッダなどの新設サーキットは、攻め甲斐のあるコースとしてドライバーから好評を得ている。中でもイスタンブールの「ターン8」は、スパのオー・ルージュや鈴鹿の130Rと並ぶ、度胸試しの超高速コーナーとして賞賛されている。また、近年では珍しい反時計回りのコースも比較的多い。ティルケ設計のサーキットは増加の一方であり、2016年度に開催されるアゼルバイジャン・グランプリも市街地を用いた設計である。しかし、ティルケがデザインしたサーキットはロングストレートとコーナー区間という全体的なバランスが共通しているため、規格化された印象を与えがちである(全長も5km〜5.5km程度と共通している)。スパや鈴鹿などのオールドコースの魅力と比較され、一部では「ティルケ・サーキット」と揶揄されている。ティルケが設計したサーキットでのF1開催数が増えるにつれ、こうした批判も増えている。また、テレビ中継では目に付きにくいが、改修後の富士の1コーナー観客席で指摘されたように、コースサイドからマシンが見難くなる傾向がある。取材するカメラマンにとっても撮影場所がコースから遠く、迫力あるシーンが撮り難いという不満がある。ただ、オールドコースよりは安全性は抜群でセーフティーカーが本選中皆無であったサーキットも珍しくなく、信頼を勝ち得ているのはこれである。元F1チャンピオンのジャッキー・スチュワートはF1でオーバーテイクが減った原因のひとつとして、サーキットのランオフエリアが広くなり過ぎたことを挙げている。「一言で言うと、新しいサーキットはそれぞれ互いのコピーのようにそっくりで、(ドライバーが)ミスの代償を払わずに済む傾向にある」と指摘し、ティルケについて「彼はF1に快適さと豪華さをもたらし、ある意味では素晴らしい仕事をした。しかし残念ながら観客のためには十分な仕事をしていないのではないかと思う」と批評している。また、ヤス・マリーナやバレンシア市街地コースのように、レイアウトの問題でオーバーテイクがほとんど見られないサーキットもある。レーシングカー・デザイナーのマイク・ガスコインは、砂漠に建設されたヤス・マリーナやバーレーンを指して、「立地的に自由裁量で作れたはずなのに、退屈きわまりないレースが行われているのは残念だ」と述べている。
出典:wikipedia
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