国家憲兵隊治安介入部隊(こっかけんぺいたいちあんかいにゅうぶたい、, GIGN)() は、フランス国家憲兵隊の特殊部隊。1972年9月に西ドイツで発生したミュンヘンオリンピック事件は、隣国フランスにおいても、大きな衝撃として受け止められた。またこれに先駆けて、フランス国内でも、1969年にジロンド県で発生した人質事件、そして1971年のと事件といった凶悪事件が発生していた。セスタの事件は、精神錯乱に陥った父親が、憲兵隊の突入の際に2人の子供を殺害、本人も自殺した。またビュッフェとボンタン事件でも、憲兵隊は国家警察の保安機動隊(CRS)と共同で介入したものの、やはり人質の殺害を阻止できなかった。これらの教訓を踏まえて、1971年ごろより、国家憲兵隊は人質救出作戦・対テロ作戦を重視した特殊部隊の編成を検討しはじめていた。そして1973年9月にパリで発生した、パレスチナゲリラによるサウジアラビア大使館占拠事件が決定打となった。この事件の際には、国家憲兵隊は施設警備を担当していたにも関わらず、パリ警視庁のコマンド対策部隊(BRI-BAC)に対処を任せざるを得なかった。まず同年11月3日、メゾン=アルフォールの機動憲兵隊第2/2中隊(EGM 2/2)内に、実験的に地域圏介入コマンド部隊(、ECRI)が編成された。そして1974年3月1日、これを増強改編して設置されたのが本部隊である。GIGNは人質救出作戦・対テロ作戦部隊であり、国家憲兵隊の管内で生じた事案のうち、県憲兵隊や機動憲兵隊などの当該部門では対応が困難なものを取り扱う。フランスの警察制度では都市圏は国家警察が管轄していることから、GIGNはそれ以外の地域で発生した事件に対応することになる。空港や原子力施設の警備も国家憲兵隊の管轄であることから、ハイジャックや核テロリズムへの対処も任務となる。また、国家警察の特殊部隊の作戦が基本的にフランス本土と海外県の一部に限定されるのに対し、国家憲兵隊はその他の海外領土や国外でも活動することから、これらの地域での作戦もGIGNの担当となる。1974年の編成当初は、ECRIを発展させてメゾン=アルフォールで編成されたGIGN 1と、機動憲兵隊第9/11空挺中隊を母体としてモン=ド=マルサンに編成されたGIGN 4の2個隊にわかれていたが、1976年、メゾン=アルフォールにおいて1個隊に統合され、1982年にはヴェルサイユに移駐した。1984年に空挺介入中隊(EPIGN)が設置されると、これとGIGNを統合指揮する上部機関として特殊安全対策群()が設置されたものの、2007年にEPIGNがGIGNに統合されるのに伴ってGSIGNも解体され、国家憲兵総局()の直率下に戻った。当初は、将校5名、下士官82名が、15名ずつの作戦部隊4個と、4名からなる交渉班に編成されていた。2000年代に入ると、上記のEPIGNの統合なども含めて体制が拡充され、下記のような編制となった。隊員は全員が志願制であり、国家憲兵隊で5年以上の勤務実績があり、かつ勤務実績が優等であったもののみが対象となる。選抜課程は極めて過酷であり、このように厳格な条件をクリアした隊員ですら、合格率は平均7パーセント程度に留まっている。選抜課程を合格した隊員は、10ヶ月の訓練課程を経て部隊に配属される。GIGNは射撃術の優秀さで知られており、射撃訓練課程は他国からの受講生も多い。GIGN隊員は1日300発もの銃弾を費やして射撃訓練を行い、射撃スキルを保っている。全員が狙撃訓練を受け、高い精密射撃能力を備えることから、専任の狙撃手が指定されていないのも特徴である。GIGNは国家憲兵隊の最精鋭部隊として、標準的な装備品以外にも、多彩な装備を備えている。特にシンボル的な装備とされているのが、マニューリン MR 73回転式拳銃である。この銃は、国家警察では主力制式拳銃として広く用いられていたものの、装弾数の少なさから、国家憲兵隊での採用はごく一部に留まっていた。しかしGIGNではその射撃精度が評価され、狙撃銃では威力過剰となる近距離での狙撃のために、銃身を延長して二脚を装着した専用モデルも装備している。短機関銃としては、H&K MP5のほか、FN P90やH&K MP7も装備された。また自動小銃としては、国家憲兵隊で標準的なFA-MASのほか、H&K G36CやH&K HK416も装備されており、H&K AG36グレネードランチャーの装着も可能である。GIGNは創設当初より頻繁に活動しており、1974年から1985年までに650回以上出動し、500名以上の人質を救出、1,000名以上の犯罪者・テロリストを拘束した。一方、この期間に、訓練中に5名の隊員が殉職している。上記の通り、国家憲兵隊のほうが国家警察よりも広い地域を管轄していることもあり、GIGNの出動回数は、国家警察の同種部隊である特別介入部隊(RAID)の3倍に及ぶとされている。またフランス軍の一部として軍事的な作戦を実施する場合や海外での作戦行動に備えて、第1海兵歩兵落下傘連隊(1er RPIMa)や第2外人落下傘連隊(2e REP)との連携も重視されている。
出典:wikipedia
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