S-310ロケット(エスさんびゃくとう-)は東京大学宇宙航空研究所(後の文部省宇宙科学研究所(ISAS)、現宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(ISAS/JAXA))の開発した単段式固体燃料観測ロケットである。製造は日産自動車航空宇宙事業部(現アイ・エイチ・アイ・エアロスペース)。南極観測用にS-210ロケットと共に開発されたS-300ロケットの後継として開発されたものであり、S-300ロケットの問題点であった飛翔中に迎え角が異常増大する現象を、大気中を飛翔中から積極的にスピンをかけることで改善している。1号機飛翔以来40機以上の飛翔実績がある。また、国立極地研究所によって南極の昭和基地からも派生型であるS-310JAロケットが12機飛翔している。主に上空大気を観測するための理学ミッションに用いられるが、宇宙空間での工学実験を目的とした利用もされている。チャンバはクロムモリブデン鋼製である。後部が先に焼失する2段推力型の固体燃料グレインを持ち、重力損失が大きい低高度では高推力を発生させ、空力加熱が増大する燃焼後期では低推力を持続する。これによって空力加熱の緩和とより高い高度へ到達が達成されている。チタン合金製の尾翼は、S-300ロケットの失敗を受け、機体の軸を含む平面に対し0.8度傾けて取り付けられている。これによって発射後29秒の燃焼終了時には2.8Hzのスピンを持つが、科学観測時には1Hz程度に下げる必要があるため、計器部には発射後50秒で作動するヨーヨーデスピナが搭載されている。ノーズコーンはCFRP製でオージャイブ形状となっている。30号機以降はS-310改モータが用いられている。これは旧世代化した推進薬とチャンバ断熱材の世代交代と点火方式の一新をはかって計画されたものである。推進薬については、CTPB系のBP-28からHTPB系のBP-206Jへと変更され、それに伴いグレインも再設計された。この変更に伴って燃焼中期の内圧振動継続時間が改善されている。また、従来用いられていたグラファイト製ノズルスロートについては、M-Vロケット4号機の失敗を受けた信頼性向上の設計変更がなされ、新たな非破壊検査法が導入された。
出典:wikipedia
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