電話交換機(でんわこうかんき)とは、電話回線を相互接続し電話網を構成するための交換機である。2000年代に入り、VoIPへの置き換えが開始されたため、日本ではNTTなど電気通信事業者(キャリヤ)向けの電話交換機はほとんど製造されておらず、事務所や工場などの内線電話用(自営設備)の構内交換機が製造されている。手動交換機からクロスバー交換機へ、さらにデジタル交換機に至るまでの間、交換機は段階的に、かつ大幅に小型化された。そして、従来交換機が陣取っていた場所は空きスペースとなり、現在はコロケーション(co-location=共同の設置場所)スペースとして、ADSLなどの他の電気通信事業者などに貸し出されている。各方式を開発された順番に記載する。電話番号・輻輳処理・料金計算などのための交換機間の情報伝送方式には、次のようなものがある。通話チャネルと同じ伝送路に多重化された別のチャネルで制御信号を送受信するものである。ISDNのDチャネルを用いる場合、「Dチャネル共通線信号方式」と呼ばれる。遠隔多重加入者線伝送装置 (Remote Subscriber Line Terminating Module) ・内線電話交換機と加入者交換機との間に用いられている。制御信号を、通話路とは物理的に別の伝送路で、送受信するものである。事業用のデジタル交換機・電子交換機相互間で用いられている。代表的なものにNo.7共通線信号方式がある。通話路と同じ伝送路で制御信号を送受信するものである。多周波数 (Multi Frequency) 信号が事業用クロスバー交換機相互間に、DTMF・モデムを用いるものが内線電話交換機と加入者交換機との間に用いられていた。デジタル交換機に置き換えが完了して以降は使われていない。デジタル交換機は、制御信号や通話信号を全てデジタル信号で処理し中継交換するものである。ISDN網の構築に用いられている。電子交換機(後述)は、通話信号をアナログのまま処理していたが、デジタル交換機はPCM伝送される通話信号をPCMのまま交換することに最大の特色がある。1980年前後に各国で開発が発表され、順次導入されていった。日本では、1982年に東京の大手町局において運用が開始され、以降、2000年代に至っても、なお主力の交換機として活躍している。電子交換機と同じく、ソフトウェアを書き換えるだけで機能の追加を行うことの出来る蓄積プログラム方式である。各機能を処理するため、優先順位つきの時分割多重化処理が行われている。自動故障検知・予備系切替えが行われる。遠隔保守・統計機能などのオペレータ向けヒューマンマシンインターフェースも充実している。通話路の監視・信号の処理、呼び出し音・話中音などの音声信号の発生をデジタル回路で行っている。通話路制御方式として、時分割 (Time Division) が用いられる。時分割により多重化された伝送路をハイウエイ (High Way) と呼び、回線交換操作に時間スイッチと空間スイッチとが用いられる。通話路スイッチを多段構成する場合は、多重化されるチャネル数が増大するにつれて網の使用能率が上昇するTST(時間SW - 空間SW - 時間SW)の構成が用いられる。D60形、改D60形、D70形、改D70、DMS-10形、DMS-100形などATM交換機は音声や動画、FAX等の情報を非同期転送モードにより同じ回線で送ることが出来る。従来の交換機技術の延長で開発された。一時期は次世代の主流になると期待されたが、ルーターを介したIPベースの通信網の方が優れていたため広範な普及には至らず現在では限定的な普及に留まっている。電子交換機は、それまでの#クロスバー交換機や#ステップバイステップ交換機といった電磁機械的制御と異なり、制御回路にマイクロプロセッサ等の電子回路を利用する交換機である。ただし、情報は依然としてアナログ信号で中継交換されていた。クロスバー交換機との最大の違いは、布線論理(ワイヤードロジック)からソフトウェア制御になったことであるが、扱う信号はアナログ信号のままであるため、通話品質がクロスバーと比較して向上したとは言い難い。米国のベル研究所によって開発され、1965年に公衆交換電話網用として実用化、日本では1972年にD10形交換機が銀座局などで運用を開始した。実質的にはコンピュータそのものであり、蓄積プログラム制御されている。ソフトウェアを書き換えることで機能の追加改訂を行うことが出来る。通話路の監視・信号の処理、呼び出し音・話中音などの音声信号の発生を、加入者線間で共用されているトランクと呼ばれるアナログ回路で共通制御している。また、BORSCHT機能を加入者線間で共用している。クロスバーと比較して、以下の特徴をあげることが出来る。通話路制御方式として空間分割 (Space Division) を用い、通話路スイッチを多段構成して多くの回線を接続している。また、通話路スイッチとして小型のリレーである多接点封止形スイッチ (Sealed Multi-Contact Matrix) を用いている。D10形(大規模局用)、D20形・D30形(中小規模局用)などエイモス・エドワード・ジョエルリレー「クロスバースイッチ」を用いる交換機。各バーとリレー、回線を流れるダイヤルパルス・DTMFなどの電話番号情報は全てアナログ信号である。クロスバー交換機は、それらを一時的に記憶し通話・課金制御を行う。1926年にスウェーデンでエリクソン製のものが世界で初めて使用開始された。日本では、1955年に群馬県の高崎局において米国製のクロスバー交換機が導入され、これが日本国内初のクロスバー交換局となった。翌年、日本国産のクロスバー交換機が開発され、日本全国の電話局に順次設置された。布線論理方式である。つまり、全ての動作ロジックはハードウェアで決定されている。共通制御回路で電話番号などの制御情報を一時的に記憶し通話路制御などを行っている。ステップバイステップでは不可能だったこととして、以下の特徴をあげることが出来る。通話路としてクロスバースイッチ(腕木式)が用いられる。C8形、C82形、C63形、C400形、C460形、C4・5形、C2、C1形等加藤 善男 他ステップ・バイ・ステップ(SxS)交換機は、発信電話機のダイヤルパルスによる直接制御で、ソレノイドとラチェット機構で駆動されるワイパー(可動接点)が上昇回転しながら、順次二次、三次セレクターへと接続していき、特定の相手先電話に接続する仕組みの電話交換機。このSxS交換機に対応した電話機は、10pps (Pulse per second) のダイヤルパルス式黒電話(3号・4号・600-A1・650-A1など)であり、クロスバー交換機以降に使われるようになった20ppsの電話機は対応していない。また、クロスバー機以降の機能であるプッシュ回線機能も備えていない。米国のStrowger()によって1887年から1891年に開発されATM社によって製作されたA型と、ドイツのジーメンス・ウント・ハルシュケが1889年に開発したH型とがある。Strowgerはこんにちでは発明家とみなされているが、交換機の発明に関しては、当時営んでいた葬儀屋業が、ライバル業者の奥方が電話交換手で、電話を横取りされて妨害されていたことから発明に及んだものである、と逸話的に(英語版ではanecdotallyとしている)言い伝えられている。日本では、1926年に京橋電話局がステップバイステップ方式であるA形交換機を導入し、最初の自動交換局として開局した。その後、1923年の関東大震災を契機として、自動交換機の大幅導入が本格的に決定された。当時、ステップバイステップ方式以外にも自動交換を実現する方式はあったが、ステップバイステップ方式はそれらの中で震動に強い構造であったことが決め手の一つになったと言われる。以降、ステップバイステップ交換機は大都市を中心に設置され、ダイヤル即時自動化に貢献したが、次のような欠点もあり、次第にクロスバー交換機に取って替わられることとなった。クロスバー以降の自動交換機と異なり、その機械構造自体が制御機能を規定している。布線論理方式と言えなくはないが、逆に「制御方式として特記すべきものはない」とも言える。何より、交換手不要の自動交換を実現出来ることが最大の特徴と言える。(そもそも、論理回路の概念が発見される以前に発明された)手動交換機は、発呼者の要求に従って交換手が通話路・課金制御を行うものである。交換台とも呼ばれ、交換手が所定の方法で電話線のジャックを「ひも回線」と呼ばれるケーブルで接続する。6.3mm(1/4インチ)径の標準フォーンプラグ・ジャックは、この交換台向けに開発された。通話トラフィックの増大により交換手の負担が過重となったことや、通話の秘密保持などの理由から、自動交換機の開発へと進んだ。なお、大企業等の内線電話の交換手は、電話局の交換手より長く残存した。現在、電話事業者の持つ交換網は巨大であり、そのため、交換網はレイヤ構造となっている。そのレイヤ構造の各層(階梯)において、交換機の機能は異なる。加入者線、いわゆる電話線を直接接続(加入者の収容)し、回線交換を制御する交換機であり、交換網の最下層に相当する。LS (Local Switch) とも呼ばれる。例えば、NTT DoCoMoでは、MLSと呼ばれる最下階梯の交換機があるが、これはMobile Local Switchを略したものである。ある交換網の中において、交換機間を接続する。TS (Toll Switch) とも呼ばれる。1つのLSはその地域にある多くの加入者を収容しているので、その地域内の相互通話はLSのみで可能であるが、別のLSに収容されている加入者と通話するには、TSを通じて回線交換する必要がある。全てのLSを直に接続すると、接続数がきわめて膨大になるため、必要時のみ、その間を取り持つ、というのがTSの存在意義である。交換網間を接続する。GS (Gateway Switch) とも呼ばれる。機能的にはTS機能を含む。ある交換網が別の交換網と相互接続したい時、その関門 (POI) に設置される。TS機能の他に、信号変換の機能を持つ事が多い。歴史的に見て、電話は磁石式から共電式へと発達したが、携帯電話や高機能電話の出現により、共電式はむしろ過去のものとなりつつある。
出典:wikipedia
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