『アヴァロン』(Avalon)は、2001年公開の日本映画。おもにアニメ作品の監督を務める押井守が実写に挑んだ作品であり、彼の劇場用の実写映画作品としては4作目に当たる。題名の由来となっている「アヴァロン」とは、アーサー王伝説に登場する島の名前で、負傷したアーサー王がモルガン・ル・フェによって運ばれた場所とされる。日本ヘラルド映画等、日本の会社が製作しているため日本映画に分類されるが、すべてポーランド国内で撮影されている。このため、言語はポーランド語が用いられ、出演者も総てポーランド人の役者が配役され、日本人の役者は登場していない。作中の銃火器や軍用車輌なども一部を除いてポーランド陸軍が運用する本物であり、エキストラとしてポーランド陸軍兵士が多数出演している。押井は、ハインドが借りられるのを理由に、それも作品のためというよりは純粋にマニアとして本物に触りたかった為に、ポーランド撮影を選択したという。ポーランド滞在は半年に渡り、撮影はワルシャワのほか、ヴロツアフ、クラクフで44日間実施された。この作品の公開に際して、押井は「すべての映画はアニメである」という持論を語った。実写として撮影しても、編集や後処理によってコントロールすれば、それはもうアニメである。デジタルでは特にそれが顕著である、と。また、押井は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』で語ってきたテーマ、「現実ではなくても、それがその人にとって気持ち良いものならば、それはその人にとっては現実ではないのか?」というテーマに沿って製作したことも明かしている。元々この映画は押井の他の多くの実写映画と同じく、凍結中の『G.R.M. THE RECORD OF GARM WAR(ガルム戦記)』の「オトシマエ」、つまり書類上の企画を「落とさない」ために作られたものである。解散したデジタルエンジンのスタッフが多く参加しているのもこのため。アクション映画もしくはSF映画に分類されるが、押井が傾倒しているコンピューターRPG『ウィザードリィ』の要素が色濃く反映されており、登場人物の名称ならびに職名には、すべて『ウィザードリィ』に登場した用語が用いられている。即ち、押井版『ウィザードリィ』とも言える。2009年12月、本作と地続きの世界観でオンラインゲーム「アヴァロン」の新しいフィールドを舞台にした押井監督による実写映画『アサルトガールズ』が公開された。近未来、「アヴァロン」という名のオンラインゲームが若者の間で熱狂的な支持を得ていた。プレイヤー達は、専用端末を介して仮想現実空間に接続し、単独またはパーティを組んで、実在の武器や兵器を用いて戦う。ゲーム中でランクに応じたミッションをこなすことで、現実世界で使える報酬を得ることが出来るが、ゲームから抜け出せずに「未帰還者」となる人間を生み出すこともあるため、過激な非合法ゲームとされていた。「アヴァロン」の凄腕プレイヤー・アッシュは、かつては最強と呼ばれた伝説のパーティ「ウィザード」の戦士だったが、パーティが崩壊して以来、ソロプレイヤーとして「アヴァロン」に参加し続けていた。愛犬と暮らす自室と「アヴァロン」の仮想空間が、今の彼女の日常だった。ある時、挑発的にもアッシュと同じ戦法でアッシュよりも速いクリアタイムを記録したプレイヤー・ビショップが現れた。その正体をつかめずにいたアッシュは、元「ウィザード」の盗賊・スタンナと再会し、「ウィザード」のリーダーだったマーフィーが、単独でクラスAのステージに現われるという隠れキャラクター「ゴースト」を追い、そのまま「未帰還者」となってしまったことを知る。アッシュは病院に赴くが、廃人となったマーフィーは何も語らなかった。「ゴースト」と「未帰還者」の関連性を探るうち、「アヴァロン」プログラムの供給者とされる「九姉妹」の名に行き着く。アッシュは「九姉妹」を騙って襲いかかってきたプレイヤー達から、「九姉妹」の正体が「アヴァロン」の管理者であることを知らされる。やがてスタンナが「ゴースト」の出現条件を解いた。クラスAのステージをクリアした際、レベル12以上の司教=高位聖職者がパーティにいること。マーフィーはソロプレイヤーでありながら高位聖職者でもあったため、条件を満たしていたのだ。しかし戦士であるアッシュがそれまでの経験値を捨てて司教に転職し、さらにソロプレイヤーとして高位聖職者まで成長することは非現実的な話だった。現役の高位聖職者とパーティを組む必要があることは明らかだが、「ウィザード」のメンバーだったという過去がその障害になることをスタンナが指摘。アッシュは「九姉妹」との関係を疑いながらもビショップにパーティメンバーの招集を依頼した。そして始まるクラスAでの戦闘。メンバーにはスタンナも加わっていた。アッシュ・スタンナ・ビショップたちはクラスA最強の敵を倒してステージをクリア、「ゴースト」との遭遇を果たす。アッシュが一人でゴーストを倒すと通常とは異なる方法で別世界へ接続し、画面には「Welcome to Class Real」の文字。ゲームマスターに未帰還者の殺害を指示されたアッシュが建物から出ると、本編中常に淡い色だった世界が色彩豊かになり、活き活きとしたNPC達が生活する現代の世界が広がっていた。指示された場所へ行くと、Realを現実として生きるマーフィーと再開する。彼は殺し合いを望み、どちらかが死んだ後に「消滅」すればこの世界が現実でない証になると言う。そして、自ら敗北を選んだマーフィーは消滅し、アッシュは邪悪な笑みを浮かべるゴーストに銃を向ける。画面は「Welcome to Avalon」で幕を閉じる。オンラインゲーム「アヴァロン」の各フィールドの終端標的(ボスキャラクター)。いずれも3DCGIで描かれており、登場する実在兵器と同様に、ロシア系のデザインで纏められている。現地撮影では、ハインド、シルカ、T-72なとが使用された。『マトリックス』の監督ラリー・ウォシャウスキーは本作で押井を「彼は常に新しいスタイルを切り開く監督だ」と表現した。イギリスの映画評論家トニー・レインズは本作を「押井守の最高傑作。最高に刺激的な作品だ」と絶賛した。また、『アバター』、『タイタニック』などの監督で知られるジェームズ・キャメロンは本作を「今まで作られたSF映画の中で、最も美しく芸術的でスタイリッシュな作品だ」と評した。また押井自身は本作のインタビューにて「映像や音楽に対する理想が一番実現できた作品」と述べた。後に押井はスカイ・クロラの監督をするが、オファーが来た理由は原作者の森博嗣が好きな映画にアヴァロンを挙げたことによる。
出典:wikipedia
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