高等官(こうとうかん)は、明治憲法下の官吏の等級の一つである。日本国憲法の下では、国の職員を全て国家公務員と呼ぶのに対し、大日本帝国憲法の下では、国の職員を官吏とそれ以外の者(雇員、傭人、嘱託など)とに身分的に区別した。官吏は、公法上の特別権力関係に基づき、忠順無定量の勤務に服し、厚い身分保障と特権(俸給や恩給の支給など)を伴った。官吏は、天皇が直接または間接に任官大権(大日本帝国憲法第10条)に基づいて任命し、具体的な任命のあり方に応じて、親任官、勅任官、奏任官および判任官の身分的区分が定められた。このうち、親任官、勅任官および奏任官は、高等官とされた。高等官には、文官と武官の区分があった。任用については、文官は高等文官試験に合格した者を任用する方法が、武官は陸軍士官学校・海軍兵学校を卒業した者を任用する方法が、それぞれ主流である。ただし、文武官とも、判任官から昇進した者を任用する方法もあった。親任官は、高等官の最上位であり、官吏の最高位でもあった。親任官は天皇が直接任命する形式を採り、官記(辞令)には天皇の署名である御名御璽とともに、内閣総理大臣が副署した。親任官にあたる職には、内閣総理大臣、企画院総裁、情報局総裁、技術院総裁、国務大臣、軍事保護院総裁、特命全権大使、行政裁判所長官、朝鮮総督、朝鮮政務総監、台湾総督、東京都長官、枢密院議長、枢密院副議長、枢密顧問官、検事総長、会計検査院長、陸軍大将、海軍大将などが親任官にあたる。勅任官は、親任官に次ぐ高等官である。親任官以外の高等官は、一等から八等まで分かれ、一等と二等を勅任官と呼んだ。勅任官は内閣総理大臣が記名した官記を交付したが、併せて御璽も押印した。勅任官にあたる職としては、文官の内閣書記官長、法制局長官、賞勲局総裁、企画院次長、情報局次長、技術院次長、特許庁長官、各省次官、防空総本部次長、専売局長官、帝国大学総長、官立大学長、軍事保護院副総裁、食糧管理局長官、通信院総裁、気象技監、特命全権公使、大使館参事官、大使館商務参事官、行政裁判所評定官、東京都次長、警視総監、各府県知事、貴族院書記官長、衆議院書記官長、南洋庁長官、北海道庁長官、樺太庁長官、武官の中将と少将などがある。現行制度における指定職に類似する。昭和21年の官等制度廃止により事務官一級・技官一級となった。親補職とは、武官について定められたもので、本来は親任官である陸海軍大将をもってあてるべきところ、勅任官(高等官一等)である陸海軍中将をもってこれにあてることができる職位である。実際には、おおむね陸海軍中将が補されていた。親任官たる陸海軍大将という階級は、職位ではないので、異動しても親任官のままであるのに対して、親補職はその職位にある間に限って親任官としての待遇を受け、異動して親補職以外の職位に就くと、元の勅任官としての待遇に戻された。親補職にあたる職としては、参謀総長、軍令部総長、教育総監、総軍総司令官、師団長などがある。奏任官は、三等から八等の高等官を指した。内閣総理大臣が、天皇の裁可を得て、任命する形式を採った。武官では大佐から少尉までが奏任官とされた。昭和21年の官等制度廃止により事務官二級・技官二級となった。文官は、勤務期間や成績により判任官から昇任する方法と、所定の学歴を終えて試験に合格して任用される方法があった。後者の例に高等文官試験(高文)がある。武官は、陸軍士官学校・陸軍航空士官学校や海軍兵学校・海軍機関学校といった軍学校(補充学校)を卒業して任用されるのが一般的である。ただ、判任官に相当する准士官(准尉など。陸軍では将校待遇)や下士官(曹長など)や、国民の義務たる徴兵にて補充されるため官吏に当たらない兵から昇任する方法もある。昇任により任用する場合の例としては次のようなものがある。陸軍では、少尉候補者や甲種幹部候補生などを経て、少尉(奏任官六等)に任用した。海軍では、勤務期間と成績により准士官・下士官を経て、特務少尉(奏任官六等)に任用した。
出典:wikipedia
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