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Qt

Qt(キュート)はC++言語で書かれたアプリケーション・ユーザインタフェース (UI) フレームワークである。GUIツールキットとして広く知られているQtであるが、コンソールツールやサーバのような非GUIプログラムでも広く使用されている。ディジアの一部門Qtデベロップメントフレームワークスによって開発されている。Qt は、キュートと発音する。また、俗称ではあるがキュー・ティーと発音されることもよくある。ライセンスには商用版とオープンソース版があり、現在のオープンソース版のライセンスはLGPL(Qt4.5より)およびGPL である。商用版を購入するとQt商用ライセンス(Qt Commercial Developer License)でソフトウェアを開発することができる。LGPL版は、2009年3月にリリースされたQt 4.5から提供され始めた。これによりQtは営利企業にとってもより使いやすいライブラリーとなった。日本では SRA やアイ・エス・ビーなどが、Qt 関連サービスの提供、商用ライセンスの販売などを行っている。日本の Qt コミュニティには、日本 Qt ユーザー会などがあり、Qt に関する情報交換、交流の場になっている。また、公式のコミュニティサイト Qt Projectでは、Qt に関するドキュメント、フォーラム、ウィキ、グループなどのサービスが提供されており、英語の他に日本語などの言語にも対応している。QtはC++で開発されており、単独のソースコードによりX Window System(Linux、UNIX等)、Windows、Mac OS X、組み込みシステムといった様々なプラットフォーム上で稼働するアプリケーションの開発が可能である。またコミュニティーにより多言語のバインディングが開発されており、JavaからQtを利用できるようにしたQt Jambi、さらにQtをRuby、Python、Perl、C#などから利用できるようにしたオープンソースのAPIが存在する。このように開発が容易であり高速、スタイリッシュなQtはライセンスが多様なこともあり、KDEを始めとするオープンソースのアプリケーションに限らず、商業アプリケーションでの採用例も多く様々な分野で使用されている。OpenGLやSVG、XMLといった最新技術にも対応している他、日本語を含む多バイト文字入力フレームワークへも対応している。2012年8月9日にディジアがノキアからQtを買収した。AndroidやiOS、Windows 8へのQtの早急な対応を目標に、約125人のQt開発者たちがディジアに移籍された。商用版のQtにはConsole Edition、Light Edition、Desktop Editionの三つの形態があり、以下の違いがある。このほかにも教育・研究目的の使用のみ適用されるアカデミックライセンスや、小規模企業に対して割引が適用されるスモールビジネスプログラムがある。GPLまたはLGPLが適用される。LGPLは、バージョン4.5から適用できる。Windowsや多くのUnix系OS、Mac OS X向け、あるいはEmbedded Linux、Windows CE、Symbian(Qt4.6より)向けにパッケージが配布されている。最初のリリースにおけるQtの革新性は幾つかのキー概念に基づいている。Qtはプラットフォームを意図したネイティブの見た目をエミュレートしてきた。ときどき微妙な食い違いが発生することもある。エミュレーションが不完全な場合である。最近のバージョンのQtは異なるプラットフォームのネイティブAPIでQtコントロールの描画を行い、そのような問題によって苦しめられることも少なくなった。mocと呼ばれるmetaobjectコンパイラは、Qtプログラムのソースコードを入力として実行されるツールである。C++のコードから成るマクロをアノテーションとして解釈し、これを利用して、プログラムで使用されるクラスについての「メタ情報」とともに追加のC++コードを生成する。このメタ情報は、ネイティブのC++では利用できない以下のような特徴をQtに提供するために使われる:signal/slot system、introspection、非同期関数呼び出しQtScriptはクロスプラットフォームのツールキットであり、インタープリタ型のスクリプト言語を使うことで、Qt/C++アプリケーションをスクリプトに直すことができる: Qt Script (based on ECMAScript/JavaScript).Qt 4.3.0以降では、QSAにもとづくスクリプトAPIが外部のライブラリとしてではなく、Qtのコアに統合されるようになった。下の表に示すように、Qtは一定の幅のさまざまな言語用のbindingsを持っており、機能セットの一部または全部を実装している。クロスプラットフォームの統合開発環境 Qt Creator、GUI エディタの Qt Designer、翻訳支援ツールの Qt Linguist、リファレンスドキュメントビューアの Qt Assistant 等の開発支援ツールが付属しており、これらを使用することで高速な開発が可能となっている。その他のものとしてWindowsの Visual Studio での開発を可能にするプラグイン Visual Studio Add-in が用意されている。また Java で作られているクロスプラットフォームの開発環境 Eclipse (統合開発環境) 上で開発を可能にする Qt Eclipse Integration も用意されている。また、Unix/X11(Linuxなど)では、KDevelop が使用できる。Qt/UNIX 上では GCC、Qt/Windows ではMicrosoft Visual Studio上のコンパイラが使える他、MinGW 等のコンパイラでの開発も可能である。Quasar Technologies社のHaavard Nord と Eirik Chambe-Eng(Qtの開発者であり、現在TrolltechのCEO、および社長)は、1991年にQtの開発をはじめた(Quasar Technologies社はその後Troll Tech社、Trolltech社へと社名を変更していく)。Qtと名づけられたのは、Qという文字がHaavardの使っていたEmacsのフォントの中でもっとも美しく見えたという理由からである。tはtoolkitの略語である。KDEがLinuxで主要なデスクトップ環境になることが明確になった1998年頃、KDEがQtベースで開発されていることから、フリーソフトウェアであるKDEがライセンス上、Trolltech社のQPLに抵触する可能性が懸念された。背景は以下の通りである。まずバージョン1.45まではQtのソースコードは、FreeQt licenseでリリースされていた。しかしバージョン2.0からは、このライセンスはQ Public License (QPL) に変更された。Free Software Foundationによると、QPLはGPLとは矛盾するライセンスであった。この問題はKDE側とTrolltech社との間で協議されることになり、結果、KDE Free Qt Foundationが発足されることになった。結果、QtはQPLとGPLのデュアルライセンスで配布されることが決まり、この問題は完全に解決した。さらに、将来、Trolltechが何らかの理由で新しいオープンソース版を作成することができなくなった場合でも、KDE Free Qt FoundationによりQtの開発を続けることが保証されることになった。最初の二つのバージョンでは、プラットフォームはUNIX及びWindowsプラットホームがサポートされた。当初はQt/X11上でのプロプライエタリライセンスはWindowsプラットホームでは使用できず、WindowsでQtを使用するときはQPLエディションのQtを購入する必要があった。2001年の終わりにTrolltech社はバージョン3.0をリリースした。バージョン3.0からはMac OS Xプラットフォームもサポート対象となった。Mac OS X上ではGPLで配布されている。2005年6月にTrolltech社はQtバージョン4をリリースした。Qt4では Windows上でも、QtをGPLでソースコードを公開することになった。これにより、Windows, Mac OS, Unixの全てのプラットフォームでGPLのフリーオープンソースアプリケーションが開発できるようになった。またこのバージョンからコア、GUI、ネットワーク、XML、OpenGLなど、機能別にモジュールが分割された。不要な機能は読み込まれないため、メモリの節約になる。その一方、Qt4はQt2および3とソースコードに互換性がない。このため現在でもQt3を使い続けるユーザーは多い。またKDEは3から4へバージョンアップする際、ソースコードの全面的な書き直しが必要となったためリリースが大幅に遅れた。2009年3月にLGPLが適用となるバージョン4.5が発表された。これはTrolltech社がNOKIA社に買収されたことにともなうもので、組み込み実績の多いQtをプロプライエタリなソフトウェアでもより使用しやすくするためである。バージョン4.5においても、Qtの商用ライセンスは存続し、LGPLですら許容できない(リバースエンジニアリング禁止条項を含むなど)場合は商用ライセンスを使用する必要がある。2009年5月には、gitリポジトリが公開され、ユーザからのパッチのコミットがより簡易になった。なお、初期のバージョンにおいては日本語固有の処理にバグがあり、ライセンス上それを修正し配付することが困難であったため、QtおよびKDEの普及が日本語圏において遅れることとなった。この問題はTrolltech社(当時)が日本語パッチを特別に認めることにより解決した。

出典:wikipedia

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